コミックや小説の感想つれづれ書き~かなり雑多に

コミックや小説の感想つれづれ書き~かなり雑多に

PR

2025.10.25
XML
カテゴリ: コミック感想


話自体はそこそこおもしろいといえなくもないのですが…致命的といっていいほど絵が稚拙です。もちろん漫画としての出来もけっしてよくありません。

かわいらしいイラストですので嫌いではないしどちらかといえば好きな方なんですが、この漫画家さんもあまたのなろう系コミカライズ担当漫画家さん同様、体のデッサンが未熟です。たぶん、全身絵がかけないんでしょう。
漫画自体の見せ方もはっきりいってつまらないんですよ。

なのでずっとバストアップのままコマが割り振られて、しかもムダなコマが多いっていうね…
なんといいますか、マンガを読んでいるというより、せりふの中の「説明」を延々と読まされている感じがするんですよ。

キャラが全身でかかれる率は異常に低く、どこでどのような間隔でキャラ同士が立って話しているのか、といういわゆる俯瞰した「絵」がほぼないんですよ。もろちん「ない」とまではいいませんが、それによってわかる「情報」ってないんですよ。

ヒロインのアリーチェが公爵の家にくるんですが、その屋敷の大きさについても台詞で説明するだけですし、使用人もほぼ描かれてない。
そして「温室」に案内されるんですが、その温室が屋敷のどのあたりにあり、どの規模の大きさ、奥行きはどうなのか、どういった外観の温室なのか、まったくもってわからないんですよ。


のちに公爵と温室に向かうというエピソードもあるんですが、そこがとにかくひどい。

まずひとつ、園丁とおもわれる人物が「ひしゃく」で花に水をやっていて、それがアリーチェにかかりそうになるところを公爵が魔法で防いで濡れなくて済む……んですが、園丁が「ひしゃく」をもってちょっと離れたところから駆けてきて謝罪するんですよ。

何がおかしいって、そんなに離れていたら「ひしゃく」の水がかかるはずないんですよ。
そのくらいの距離で描いてしまってる。
くりかえしますが、「ひしゃく」で水をやってるんですよ。
それがどうして頭から水をかぶりそうな状況になるんです?
柄杓で水をやってるなら、花や木の根元にかけてるはずなんですよ。そしてその水にあたりそうになるって、その園丁の真正面あたりにいないとかからないのに、めっちゃ遠くから園丁が「すみませーん」と描けてくるんですよ。

つまり、距離感を漫画家さんが把握してない…というよりは、その状況を「絵」として描けないんでしょう。
一応見せ場の一つなのに、全身描いてないですからね?

さらにアリーチェと公爵は温室の中に入ってちいさな「じょうろ」を使うシーンが出てきます。魔道具の具合を確かめて、そのじょうろからめっちゃ水があふれだす…という、これまたアリーチェと公爵にとってそれなりに見せ場でもあり、大事なシーンなんですが、…何が起こってるのかさっぱりわからなくて、公爵が水にぬれたところを見せられるんですが、それも全身絵でもないし、そもそもどうやって水があふれて公爵にかかったのかが、まったくわからない。

ここにいたるまで、ほぼバストアップのコマだけで、俯瞰した絵が一つもないんですよ。


「台詞」で「説明」してくれるので、何が起こっているのかはわかりますが、いちいち台詞やモノローグで「説明」してくるものだから、これもう…漫画じゃないんですよ。しかも挿絵にすらなってません。

上でも書きましたが、話自体はそんなにわるくはないと思うんですよ。
なろう系少女漫画のテンプレにすぎないのはたしかですが、主人公の持つ「付与魔法」についてや、婚約相手の公爵が心…感情を封じている事情など、一応は物語に必要なイベントがいくつか語られているので、そこは読み物としていいと思うんですよ。

けどねー
漫画としてはかなり稚拙で、楽しめないんですよ。


これのなにがよくないかって、主人公といっていい公爵の顔が、脇キャラと同じ、つまり特別かっこいいってわけではない、と思えてしまうところなんですよ。

少女漫画なんですから、ヒロイン・ヒーローは特別でなきゃならないと思うんですよ。
全部が全部美形にするのなら、それなりに描き分ける技術がいりますよね?

でも、公爵と王子の顔が同じなもんで、このコマの台詞はどっちの台詞やってわかりにくくなるところまであるっていう始末。

また、ヒロイン・アリーチェの全身絵が大きく描かれていたところがあったんですが、明らかに頭身がおかしいんですよ。
丈の長いスカートでごまかしてるせいでしょうね、これ。
ああもうほんとに全身絵が描けないんだなって、脱力しました。

そしてこれはわたし個人の好みの問題なんですが…ドレスのセンスが壊滅的…ダッサ…としか思えなくて。昭和の塗り絵に出てきそうなドレスというか…いやまあ、そっちの方が華やかなくらいかな…
シンプルなドレスならまだしもなんですが、派手なドレスになるとやたらトーンを張ってるせいか大阪のオバチャンみたいなセンスになってるんですよ。
とくにリボンですね…なんだろその、縫い付けてあるのか、きちんと結わえているリボンなのか…
というかリボンの使い方がダサくて…

妹の乳デカのドレスも壊滅的なほどひどい…というか、おっぱい描けない人ですねこれ…


ま、まあ、それは好みの問題ですのでスルーするとして。

あと、変だなと思ったのは日本語の使い方です。

妙にひっかかるんですよ。

例えば
「うーん」「う~ん」といった、考えてるときなんかに使うこの表現を、この漫画家さん…原作からなのかもしれませんが、
「ううん」と描くんですよ。
別に間違ってるわけではないんですが、
これだと「NO」という意味での「ううん」かと思ってしまうんですよ。
これは微妙にひっかかる。

他にもいろいろありすぎるんですが
乳デカ妹と町で遭遇するんですが、その時の乳デカ妹の台詞が明らかにおかしいんですよ。

アリーチェが「公爵には良くしていただいているのでそれを父母に伝えて」といったようなことを乳デカ妹にいうのですが、その時の妹の返しが
「おめでたいわ」
なんですよ


???
いや、わかりますよ?
「相変わらず能天気ね」みたいな嫌みを言いたいんでしょう。そういう厭味ったらしい顔を描かれてましたから。
でも、「おめでたいわ」って。
これってたぶん、別におめでとう、という意味ではなく
頭お花畑、みたいな意味での使い方をしてるんでしょう。
「おめでたい思考回路ね」みたいに、馬鹿にしてるんですよね?

でも、その前のアリーチェの台詞を鑑みても、返しがそれって、意味が通じないんですよ。
だって「公爵には良くしていただいてます」とアリーチェは言ってるわけで、それに厭味ったらしく返したいなら
「そんな能天気なことを言ってられるのも今のうちよ」
ぐらいが妥当じゃない?

そのあと、アリーチェのモノローグで
「私の言葉は相手にしてもらえない」
っていうんですが、……ここも変でしょ?
「私の言葉は受け入れてもらえない」あたりじゃない?
相手にしてもらえないって、なんじゃそれ?


こういう、意味は分からんでもないけど、言葉の使い方がちょっとおかしくない?とか、わかりにくくない?ってのがめっちゃある。

付与魔法の説明というか付与魔法をためしてみるシーンでの説明も、すんごいわかりにくい。
こんなん下手に説明するより「絵」でみせりゃいいのに…まあ描けないから仕方ないか・・・

やたら難しそうなことを説明してます感だしてるけど、もっとシンプルな言葉で伝えたらいいし、ポエミーなモノローグだとさらに何言ってるのかが分かんないんですよ


正直に申しまして、絵は微妙で顔しか描けない…稚拙極まりない漫画の構成…読み進めようと思える作品ではありません。
内容自体は悪くないと思うんですが、結局は薄っぺらい世界観でしかないし、日本語もあやういので…さすがにこれはお勧めしにくいかなぁ、と





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2025.10.27 16:16:33
コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: