コミックや小説の感想つれづれ書き~かなり雑多に

コミックや小説の感想つれづれ書き~かなり雑多に

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2025.10.29
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カテゴリ: コミック感想

絵はそこそこ綺麗ですし読みやすい話ではあるんですが、それだけ、といった感じです。

話というか、キャラの設定のつくり込みがめっちゃ甘いんですよ。
ちなみにヒロインのフローラは変装しているときの方が見た目好みです。
そしてフローラの兄の方が王子より好きです。

男二人…つまり王子と兄はどちらもそんな嫌いではないです。
キャラが立ってそうなのは兄の方ですけどね。


この話のなにがおもしろくないかって、ヒロインの設定なんですよ。
このヒロイン・フローラはやたらと「平凡がいい」「普通の暮らしがいい」と鳴きますが、そのための努力をまったくといっていいほどしてないんですよ。


フローラの両親と兄の影響で、自分の魔力がいかに優れているかを知らなかった…つまり自分は「非凡な才能」を持っているという自覚はなかったんですよ。
ヒロインの相手となる王子のレイに指摘されて気づく、という流れがあります。
それ自体はいいんですが、つまり自分は「非凡な魔力を持っていない」と思い込んでいて、魔法で瞬間移動することに関しても、「こんなことは普通だと思っていた」というんですよ。

「普通になりたい」と言ってるんですよ、このヒロイン。
でも自分の評価は「普通」なんですよ。
じゃぁもう「平凡」になってるってことでじゃないですか。
矛盾が生じるんですよ。

ちなみに王子が求人広告を出してるんですが、それもなんか滑稽で、シンデレラよりひどいんですよ
輝く髪ってなんだよっていう。白い肌に翠の瞳って…
そもそもこんな広告を学校に張り付けるとか、どんなちっっっっさい国やねん。
こんなの広告ださずに私兵でも何でも使って探せばいいでしょ…



ま、まあここはいいや…どうでも


フローラが「平凡」を望む理由も実のところよくわからないんですよ。
ただそういってるだけで具体的なバックグラウンドがない。

たとえばですよ?
「輝く髪」が目立ち、そのうえかわいらしい容姿も相まって変質者に付け狙われたり危険な目に合うことがおおかった…そのせいで自分の容姿に関してかわいいや美しいと言われてもトラウマでしかなく、とくに髪色は隠したいってんならわかります、「平凡」でいたいというのは。



それならば、王子と国王がだした噴飯ものの広告を見て、自分の容姿に合致してるから地味に変装しようってなるのもわかるんですよ。


それと、なんでわざわざ目立つ魔法の学校に通ってるんだよ?
義務教育なの?
他の、魔法を持ってない子供たちだけの学校って存在しないの?
治療師になるためにはどうしても学校を卒業しなければならないという設定があり、しかもそれは今現在ヒロインたちが通っている学校でしかその「資格」を取れない、というのならまだわかりますよ?

でも、そうじゃないっぽくて、ただの魔法学校なんですよ。

なにがなんでも王子の嫁になるのは嫌ってんなら、学校やめてほかに移るとかしたらいいんじゃないの?
どうしても王子の嫁にはなりたくないんでしょ?

そしてここでも足を引っ張るのが「どうしても」の部分なんですよ。

なにがなんでも、目立ちたくない、普通に暮らしたい、とフローラは思うんですが、その理由がないので説得力がない。


せっかく王子バレしたレイに、あなたのことは好きだけれど王子の隣には立てない、とフローラは言うんですが、その台詞も生きてこないんですよ。

将来の「王妃」になる自信がない、という理由だっていいわけですよ。

この王子の想いにはこたえられない、王子との婚姻はできない、と断り続けるのだって、うまくすればドラマチックになるんですよ。

レイのことは胸が締め付けられるほどに好きで、恋をしている。
けれど「王子」の想いに応えて城に上がるなんてできない、自分には治療院で働く夢があるし、何よりも王太子妃になる基礎知識もないのに無理だ、だから求婚は断る。断固として断り続ける。

それでもレイはフローラを心から愛していて、どうしても結ばれたいと願っている。
フローラとともに生きるためならば玉座を放棄してもいい。

それを聞いたフローラはさらに強く王子を拒むようになる、玉座を放棄だなんて軽々しいことは言うな、と。それは国民を見捨てるというに等しい、と。

ベタな展開だけど、こうした「盛り上がり」はありだとおもうんですよ。
そこから溺愛にもっていけばいいわけですしね。やりようはいくらでもあるでしょう。

けれども、フローラには「意志」がないんですよ。
ただ、めだちたくなーい、ふつーがいいんですーっていうだけ。

なんで目立ちたくないのか、普通がいいのか、「こだわり」がない。だからたぶんすぐこの「ふつーがいいんですー」な鳴き声も捨てるでしょう。

話の展開も、フローラの性格設定と同じくらい、かなり雑です。


フローラは目立ちたくないと言いながら、学校で「ひとり」なんですよ。友達もいない。
これって悪目立ちしてるだけなんですよ。
ふつーがいいーっていうんなら、まずフローラ目指す「普通」をリサーチしてきなさいよっていう。
それもせず、魔法実技の試験で一位とって、筆記試験ではドベっていう、あほなことやらかしてるんですよ。これのどこが「目立ちたくない」なんでしょうか?

入学して初めての試験ってならわかりますが、たぶんそうじゃないっぽいんですよ。

周りをみて、「普通」の基準をだいたい定めておいてそこにあわせるくらいのことしないとっていう。

ヒロイン優秀!をやりたいがためにこんな安易なことしちゃったんでしょうが、これは大失敗だと思いますよ?

ただ、実技試験の出来はいいのに、筆記試験の方はダメってのは、わりに共感できるエピソードだったんで、ここもっと膨らませて、話を広げてほしかった。

なんかこー、話の展開が悪い意味ですごく早いんですよ。

この筆記試験のくだりは、いいエピソードになったとおもうんですよね。
兄妹ひろって勉強はできないっていうのは、なんか可愛くて面白かった。

実技試験はいいんだけどってのが共感しやすいのは、たとえば自動車の教習所でもあるあるで、仮免にしろ車の運転の「実技」は余裕でパスするのに、なぜか筆記試験はパスできず…っていうの。

勉強は苦手なんだけど、運動神経はいいみたいで、話広げられそうだし、レイとのいろんなやりとりで話を膨らませることもできたじゃないですか、もったいない。
ここでレイが勉強できることも見せられたわけですし、レイのいろんな一面をしるきっかけつくりにもなったと思うんですよ。


しかしさくっと流されたあげく、今度は筆記試験でも一位って……
安易っていうか、もうちょっと丁寧に話をすすめていってくれよっていう…ここはせめて、平均点以上をとれたよ!くらいにしてほしかった


そんなこんなで、なんというか不満の多い話なんですよ。
そのため、ヒロインに「だけ」好感が持てなくて、これならいっそ、兄とシーナとの恋物語だけでよかったかなって…うん、そっちが別に描かれそうな感はあるけれど

王子のレイに関しては虚無というか、これといって好きになれそうなキャラ設定なくて、地味なんですよ。
いやー、じつに平凡…すごく脇役っぽいんですよ。
主人公はフローラの兄で、その友人モブにいそうなやつっていうか。

ヒロインのフローラにしても、嫌悪感とか不快感はないんですが、すごく「虚無」なんですよね。
何がしたいのかがわからんし、つまるところ無自覚無双系のつまんない主人公の一人でしかないっていうね…性格が悪くないことだけは救いでしょうか。


世界観や性格設定のつくりこみが甘く読みごたえは皆無ですが、絵は丁寧ですし、イケメンはちゃんとイケメンなので、さらっと読む分にはいいかもしれないですね。


主人公無自覚無双がお好きな方なら読んでみてもいいかもです。





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最終更新日  2025.10.31 21:04:32
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