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著者は、海将補まで勤めた元自衛官。本書は、海上自衛隊のカウンセリング経験から生まれたという。その割に内容はソフトかつ具体的で、職場や学校で通用するだろう。
たとえば「ほめる」にしても、「ほめるときに、『あなたは素晴らしい人だ』とか、『さすが、理知的ですね』といった、人格(人柄)についてはほめないで、むしろ『行動』についてほめた方がやる気が出る」(62 ページ)というように、とても具体的なアドバイスが記されている。また、「狭量な人」とは、「心が小さいのではなく、心に鎧を着せているから縮こまっているにすぎない」(92 ページ)と指摘する。
バブル後の社会では終身雇用が崩れ人材が流動的になったといえば聞こえが良いのだが、自分の「居場所」が無くなった人も多いような気がする。そんな人の中には、自分探しの旅に出たり、ニートになったり、鬱病になってしまう人もいるのではないだろうか。著者は、帰属欲求が大切なことだと言う。そして、「『居場所を取り上げる話』をしてしまった場合には、必ずや人がダメになってしまうであろうということを忘れないでいただきたい」(26 ページ)とアドバイスしている。
会社で学校で、後輩や部下が一人でもいたら、本書に書かれているような配慮は必要である。
■メーカー/販売元 渡辺秀樹/新日本文芸協会/星雲社/2006年12月
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