綴れ織り夢日記

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2024.09.29
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 実家に着くと、母は特に変わりはなかったが、父が「ちょっと体調が悪くて…。」と横になっていた。
口数も少なく、起き上がっても隣の和室で静かに座っている父。

 ちょうど息子が母ちゃん何時の電車で帰る?と訪ねた時に、次の電車は今から出ても間に合うか、間に合わないかというところだろうが、父の落ち着かない様子を考えて、「ああ、次の電車で帰ろう。」と答えた。

 母が「そんな!来たばかりなのに!」と残念がったが、父がその瞬間安堵した様子になり「電車代の足しにして。」と息子に小遣いを渡して、車は出せないが駅まで送っていく、と着いてきた。
「お父さん、無理しなくていいよ。」と途中で別れたが、案の定乗り遅れた電車を待っている時に、父と母がまた駅まで来て、見送った。

 電車を待っている間、家の中での様子とは違って父は小さな声ながらも、色んな話をし始めた。

 私が推測するところ、最近かなり認知機能が落ちている父は、家に突然来た私と息子を「知ってる人だと思うんだけど…誰だろう…。」くらい思っていたように思う。このため不安が増強し、ソワソワしていたのだと思う。
 いざ電車の時間を調べて帰る、となった瞬間安堵して、「ああ、娘と孫だった。」と思い出し、息子に小遣いを渡し、駅まで送っていく、となったのだと感じた。

 私は職業柄、高齢者の認知度や、不安、健康状態は、そうでない人より把握できると思うのだが、父を見た感じ、物忘れなどの認知機能の低下よりも、鬱症状が強いという印象だった。
決まりきったこと以外は、何もしたくない、何も出来ない。
極端に狭まった世界の中で、暮らしている。
それでやっていけるのは、母の存在があってこそなのだと思うが、すぐに帰ると決めた私に「とても寂しい。」と言った。
それは、父と暮らしていても、まるで一人暮らしのように、父は物静かになってしまったのである。何かに対する、興味も関心も持たなくなってしまった。

 私の父はちょっと前まで、話し方などが活気で溢れているタイプだったのだが、その「活気」が全く無い。
私は父の自我が「消失」してしまったような印象を受けた。
少なくとも私が「父」だと認識している「父の人格」は、どこかに行ってしまって出てこない。

 帰りの電車で「それをなんとかしなければ、と干渉することは、父を傷つけるのだろうなぁ…。」と考えた。

 昨日、オンコールで呼ばれた高齢者みたいだな、と思う。
元々は、歌が大好きで、友達も多く、旅行などがお好きだったらしい。
だが今はただ無表情で「空」を見つめる日々。
精神科受診で「コロナ鬱」だと診断されたが、果たして本当にそうだったろうか。
※その方は、結局先週肝臓がんだと発覚した。
かなり進行していてステージ4だった。

 どうすることも出来ない。ただ老いてく父や母を目の前にしても。






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最終更新日  2024.09.29 21:14:04


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