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「あのとき、ああしていれば・・・」 「あそこで、あれさえなければこうなっていたかもしれないのに・・・」 そんなふうに過去のことをいつまでも悔やんでいる人がいる。しかし、そんな人にかぎって、はたから見ていたら充分、幸せな人生に見えるものである。 ある女性が、大会社の社員の男性と知り合った。その彼は、自分のことを「不幸だ、不幸だ、ちっともいいことがない、俺にはいつ、いいことが起こるのか」と嘆いているのだそうだ。 そこで思わず、「でも、こんないい会社に就職なさって、生活の苦労もなくて、いいじゃありませんか」と言えば、その会社に就職したことがどんなに間違っていたかを話し始める。 そこでまた、「でも、今の奥様とはその会社で知り合ったんでしょう。それでご結婚なさったんだから良かったじゃありませんか」と言えば、家庭がうまくいっていないことをほのめかし、その結婚が間違っていたことを訴えるのだそうだ。 たぶん、こういう人にとっては、何もかもが間違いのものなのだろう。どこでどうなっても、「これで良かった」と思うことはないのだろう。 「あのとき、この会社に就職したのは間違っていた。別の会社に就職していれば・・」本当にそう思うなら、今からでも挑戦すればよい。 「こいつと結婚したのが間違っていた。別の結婚をしていれば・・・」 本当にそう思うのなら、離婚すればよい。 自分の持っているものは守っておいて、つまらない人生を浮気でもしてごまかそうという人もいるだろう。相手もそれを分かってつき合ってくれるなら、それもいい。 しかし、こういう人間はまたまた、「それが全ての間違いのもとだった」ということになるのではないか。 「・・・たら」「・・・れば」と自分の選ばなかったもう一つの可能性ばかり見ていても、何もならない。過去は変わらない。その過去の上に現在を積み重ねて、未来を変えていくしかないのである。 ある占い師さんがこう話していた。 「とことん悩める人は、立ち上がるときはスーッと立ち上がるんですね。どん底までいったら、それ以下はないでしょう。ところが、中途半端に悩んでいる人は、どん底に落ちない代わりに悩む期間が長引くのです。いつまでもグズグズと悩んでいて、いい解決法も見つからないようです」 悩んでいるときには、いい解決法が見つからないのが普通だ。しかし、解決法はあっても、それは自分がやりたくないことだったりする。 「ああすればこうなるんだろう。こうすればこうなるからイヤだ。あの道もイヤだ。この道もぴったりこない。ああ、どうすればいいのだ」 と悩み、身動きがとれなくなって、どんどん落ち込んでいく。 しかし、そこからが、こういう人の強みだというのである。いろいろな道を断わって、八方ふさがりになったときに、見えてくる道がある。それが本当に進むべき道だ。 何もかもなくしていったときに、「これだけは守りたい」と思うことがある。それが、あなたが人生で本当に大切にしたいものだ。たくさんのものを持っているときには分からない。失ってみたとき、初めて自分が本当に欲しいものが分かるのだ。 それをつかんで這い上がった人は強い。自分が本当に大切にしたいものをしっかり握って生きていけるのだから、迷いも少なくなるだろう。とことん迷った末に自分でつかんだ実感だ。今度迷ったときには、どちらを選べばいいかすぐに分かる。 反対に、「この辺でいいや」と中途半端にごまかしてしまった人は、いつまでたっても、本当に自分が欲しいものが何なのか、実感できないのではないだろうか。 しかし、かといって、部屋の中で悩みながら一歩も動かないのでは、それもまた、なかなか結論にいきつかない。やってみて「これはダメだった」またやってみて、「これもダメだった」と行動していくことは大切だ。 あなたは、人生でとことん悩んだ期間があるだろうか。もしもそんな機会がやってきたら、チャンス到来である。とことん悩んでみるといい。自分が人生に何を求めているのか、きっと見えてくるはずだ。
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