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くよくよと心配ばかりしている人に向かって、 「もっと前向きに考えろよ。ポジティブに考えろよ」 と励ます人がいる。これはもちろん、一面で正しい。しかし、こういうことを言う人が、本当にポジティブかというと、そうでもないときがある。 しかし、ポジティブに考えようと人一倍こだわる人は、実はネガティブなことを見たくない、とネガティブを避けている場合がある。これを偽ポジティブ人と呼ぼう。 「矢でも鉄砲でも持ってこい!」という言葉がある。これは矢も鉄砲も、きたらきたでしかたない、と迎え撃つ気持ちがある。 これに対して、「矢がきたらどうしよう、鉄砲がきたらどうしよう」と心配しているのが、くよくよ性の人。 そして、偽ポジティブ人は、「矢のことなんか考えるな、鉄砲なんかこないさ。きっと素敵な未来がやってくるよ」と、人生の暗い一面を見ないようにしている人だ。 本当は、人生には、ときには厳しい時間もやってくると、うすうす感づいてはいるのだが、それを認めるのがこわい。そこでカラ元気を発揮して、くよくよ性の人を、やたらと励ましてしまう。アリとキリギリスの話でいえば、キリギリスのような人だ。 冬になったら困りそうだということは考えないようにしている。実際に今が冬でも、「寒い」と感じないようにしている。他人から見たら、かなり困った状況に陥っているのに、本人は平気な顔をしている人がたまにいるものだ。キリギリス人である。 一方、クヨクヨしているだけの人は、冬がくることは予想しているし、冬になれば「寒い、寒い」と寒がることはできる。しかし、冬のために適切な準備をしたり、「寒いから毛布を手に入れよう」とか「暖かい小屋を建てよう」ということができない。 しかしこういう人は、冬を乗り切る技術さえ身につければ、いちばん賢い人間になれる。適切な準備をして冬を乗り越える、アリのような人間になれる。 寒いと感じる心があるなら、ぜひ、それをなんとかする手立てを考えて欲しい。同じように「寒い」と感じている人間と集まって、その寒さをどう乗り切るか、知恵を寄せ合おう。そんな人が、キリギリスのめんどうまで見てやれる人間なのである。
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