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知人の女性が、結婚して6年、まだ子供が出来ないことで悩んでいる。検査をしたが、夫婦ともに身体に異常はない。あとは精神的な問題だけと言われたそうだ。 彼女は、とても周囲に気を使い、みんなに合わせる協調的な性格である。ご主人のご両親と同居しているが、ふたりにも可愛がられ、関係も上手くいっている。決して舅や姑と同居することを、うっとうしがったりもしていない。 しかし、そんな彼女の「いい子」な性格、「優等生」な性格が、実はプレッシャーとなっているのではないかと医者に言われたのだそうだ。もっと自分のやりたいようにやりなさい。家事も、ご両親に気に入られるように完璧にやらなくてもいい。そのほうが、心身がリラックスして子供もできやすくなるだろうと言うのだ。 彼女も、同居をやめて夫婦ふたりだけで生活することも考えた。しかし、やはり、もう60歳を超えたふたりをほうっておくわけにはいかない。 「ちっとも意地悪されたわけでもないし、可愛がっていただいているのに・・・」 彼女はそこでまた悩んでしまった。 そして、どうしたら「いい子」でなくなれるかを悩んでいるのである。 みなさんの中にも、こんな真面目な人がいるかもしれない。 そこで私は、そんな人にこう言いたい。それなら、「いい子」のままでいいではないか。あなたは、「いやな子」の自分をいつも責めて、「いい子」であり続けようとしてきた。そのうえ、「いい子」の自分まで責め始めたら、いったいどうやって生きていけばいいのだ。 あなたは今まで、充分、よくやってきた。「いい子」であったのがいけないわけがない。あなたが「いい子」なのを責めている人は誰もいない。医者がそういうのは、「悪い子になってもいいんですよ」ということなのだ。 悪い子になっても、あなたはきっと、旦那様にもご両親にも愛されるだろう。けれども、いい子であるのがいけないわけではない。 もしも「いい子なのがいけない」などとゴチャゴチャ言う人が周囲にいるのなら、そんな人はほうっておきなさい。 もしも、あなたが今、厳しい環境にあるなら、「きっと着々とした美しい芝生になるためだ」と思ってみてはどうだろう。 「これは、私に合っていない環境なのだ」と恨まずに、 「これが私には、ほどほどの厳しさなのだ」と思うように心がけてみよう。 精神科医の間で、以前「ハイテン・パニック」という言葉がよく使われた。これは「配置転換パニック」のことで、突然の人事異動にパニック状態になった人をこう呼んだ。 ハイテン・パニックになる人は、いわゆるエリート・サラリーマンに多い。それまではとんとん拍子に出世コースを歩んできたのに、突然、地方転勤などを命じられ、「いったい、私のこれまでの人生は何だったのだ・・・」と落ち込んでしまう。 今まで、温室で育っていたので、いきなりずかずかと踏みつけられて、すっかり荒れてしまった芝生のような状態だ。若い頃から踏まれ慣れている人は強いから、こうはならない。しかし、惜しくも若い頃は苦労せずに、中年になって挫折感を味わってしまった人でも、「私はもうダメなのでは・・・」とがっかりする必要はない。今から、踏まれ強い芝生になればいいのである。「今からでは遅い」とか「もうやり直しがきかない」と思ったら、本当にそれまでだ。 「私は、この歳で厳しい状態に置かれるのがぴったりの芝生だったのだ」 と思えばいい。実際そういうものである。人間は、一人ひとり違う。人生のどの時期にどんなことがあっても、他人と比較して、良い・悪いとは決められないのである。 芝生も、寒すぎたり、人の足で踏みつけられすぎれば育たない。しかし、この「適当な量」を見つけるために、何回か失敗することも必要なのだ。肥料をやりすぎたり、厳しすぎる環境に置かれたりしながら、だんだんに分かってくるものなのだ。 枯れてさえしまわなければ、より強い芝生になってよみがえることができる。 楽しみにしていよう。
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