Pecan Nuts  Cafe ~ from NZ

Pecan Nuts Cafe ~ from NZ

PR

×

Profile

toska

toska

Favorite Blog

まったり気まぐれ (o… *ひろキ*さん
食い意地っ張りっ! たらお♪さん
ももりかわーるど しゅな吉さん
Ibanahの放浪の旅 Ibanahさん
北欧浮き草暮らし モナくまこさん
hankomama in NZ hobchanさん
♪もね心地♪ ななみnanami773さん

Keyword Search

▼キーワード検索

Calendar

Archives

2026年07月
2026年06月
2026年05月
2026年04月
2026年03月

Comments

toska @ Re[1]:小さな親孝行(08/15) hobchanさん、こんにちは。 >あら~か…
toska @ Re[1]:小さな親孝行(08/15) くまこさん、こんにちは。 >土を全部…
hobchan @ Re:小さな親孝行(08/15) あら~かわいいですね(^-^) それはツボも…
2006年12月23日
XML
カテゴリ: NZ生活
火曜日の朝を迎えた。


私は11時から仕事だが、彼女は今日、多分1時ぐらいにキッチンを出るだろう。
顔を合わせてる時間はたった2時間だ。
そしてその後、私はたっぷり時間がある。

オーナーにはこの電話の内容を話すつもりでいた。
彼女には昨日の夕方に、ヘッドシェフの夫が我が家に電話を掛けてけんとと話し合うことを伝えたので、結果が気になっているに違いないから。

そうして仕事に行くと、さっそくオーナーが小声でどうだったか聞いてきた。
彼女も、ヘッドシェフに見られると後で詮索されることがわかっているので、ヘッドシェフが見ていないのを確認しながらだった。

でも、とりあえず私の要求はちゃんと通ったはずだと思う、と伝える。

キッチンに入っていくと、ヘッドシェフは何事もなかったかのように私に普通に話しかけ、私はできるだけ普通に返事していた。
普通の1日のようだった。
新しい契約書もちゃんと用意されていて、家に持って帰っても良さそうだった。

1時前になり、もうすぐ彼女がキッチンを出るというとき、私に土曜日は何をしてるの?と質問した。
さぁ、特に私は計画を立ててないけど、と答えると彼女は言った。



10時ごろ、10分ぐらいここに来れるかしら?


夫が来て、クリスマスの挨拶を


スタッフみんなにするつもりなの




私は、あのブタと顔を合わせることを考えると、急になんとも言えない痛みがズンと体にのしかかった。
絶対に顔なんか見たくない。
私は「けんとが何か計画してるかもしれないから、彼と話さなきゃ返事できないわ」と苦しい言い訳をした。

すると、では明日キッチンに電話するからその時に土曜日どうするか教えてね、と言って、彼女は帰っていった。

ヘッドシェフが1時過ぎに帰った後も途絶えないオーダーをさばき、一息つけたのは3時をまわった頃だった。


オーナーはとても気になっていたようで、座るなりすぐに電話はどうだったのか尋ねた。

私は昨日の電話の内容を、出来るだけ正確にけんとが言ったとおりに伝えた。
言葉は詰まり詰まりだった。
電話の内容を思い出すだけで、悔しさが蘇る。
泣くべきじゃないけど、まだ落ち着いて話せるほど悔しさを消化していなかった。


そして言った。



この話は、Aも知っておくべきだわ


とすか、Aにも話してくれる?




そうして、オーナーはA(オーナーの息子で、今はワイナリー全体の責任者)を呼んでくるから、と席を立った。
その時、お客さんが入ってきてメニューを見ているのが見えた。
オーダーが入ってくるかもしれない。キッチンにいたほうがいい。
私はキッチンに戻り後片付けを始めた。

その後Aがキッチンに入ってきたのは、オーナーがオーダーを持ってきたのとほぼ同時だった。

私は、できるだけお料理の方に気をやりながら、Aに電話の内容を話した。
話に集中すると泣きそうだった。

でも、あのブタに「アシスタントシェフに値しない」と言われたことを話したとき、こらえていたものが一気にあふれて、涙が流れた。
私は泣きながら全てを説明した。

Aはキッチンの台の上に両手をついて、下を向いたまま私の話を聞いていた。

Aの顔は無表情ともいえるぐらいだった。
私と同じように、Aもショックを受けているのが見て取れた。

私が話し終えたとき、Aが口を開いた。



まず、本当に君には申し訳ないことをしたよ


謝るね


僕らは、こんな結果を招くためにカフェを貸したわけじゃない




そして、Aは次々に語った。
カフェは貸しているだけなのでいつでも取り戻せること、ヤツの言ってることは無茶苦茶で、私がしたことになんら落ち度はないこと。
もし、私がキッチンで働くのがイヤなら、ワイナリーとぶどう畑での仕事を私に用意すること。
そして、何より私をもっと泣かせたのは、Aが言った、



僕らが今までどれだけとすかを大事に思ってきたか!


とすかはここのアシスタントシェフだし


もらってる給料に値しないなんて、有り得ないよ!




という言葉だった。

今まで一生懸命働いてきたことをちゃんと認めてくれる言葉に、どどっと涙があふれた。

ヤツの



アシスタントシェフの名前に値しない







給料に値しない



という私の一番悔しかった言葉を、覆してくれる言葉だった。

そしてAは続けた。



今まで働いてきた人たちをこんな風に扱うなんて、許せないことだ


ヤツはこのビジネスを借りてるだけだ


オーナーは僕たちなんだよ


彼は大きな誤解をしてるね


ヤツに電話してくるよ、今から




そうしてAはキッチンを出た。
私は急な展開に驚いた。
Aの電話で一体どうなるのかわからなかったが、私は成り行きに任せることにした。
今さらどうなる訳でもない。

しばらくしてAが戻ってきた。
そして



ヤツに今日はとすかに連絡するなと言ったので


今晩よく考えて明日に返事をくれればいいよ




と言ってくれた。

私はその後このことで頭がいっぱいで、片付けながらもずっと同じ事を考えていた。
辞めるべきか、続けるべきか。
考えても考えても、答えが出なかった。
でも明日には答えを出さなきゃいけない・・・

きれいにキッチンを片付けてキッチンを出ようとすると、オーナーがキッチンに入ってきた。
私の泣いていた目を見て、大丈夫?と気を遣ってくれる。

私は、今晩ゆっくり考えますと言った。
オーナーは言った。



とすかにはずっといてもらいたかったけど


こんなことになってしまって・・・


辛かったでしょうに




そう言ったオーナーの目には涙があふれていた。
そしてお互いに半分泣きながら、肩を抱き合った。

オーナーは気分を変えるようにして、明るく「ワインを飲んでいきなさいな」と言った。
私とオーナーはワインバーに戻った。
するとそこには、オーナーの旦那さまのBがいた。

オーナーが今日あったことを説明した。
すると、Bが言った。



彼らは自分達でビジネスを扱うのは初めてだ


彼らは学ばなきゃいけないことがたくさんあって


今、最初の曲がり角に立ってるんだよ




なんとなくわかりやすくて、納得できる言葉だった。

そうだな。
彼らも初めてで、学んでるんだと思えばいいかもしれない。
こんなふうに働く人を押さえつけるようなことをしては、ビジネスはうまくいかないってことを、私を通して学んでるんだ。

そうして、ワインを飲みながらオーナーと話をして落ち着いた後、お礼を言って駐車場に向かった。
すると、駐車場の方から旦那さまのBが歩いてきた。

私の近くまで来ると、Bは立ち止まった。
そして私に話しかけた。



とすか、僕たちに話してくれてありがとう


僕らはこういうことを知る必要がある


君は正しいことをしたんだよ


よくやったね、とすか


ありがとう




私はオーナーやAに話したことで、オーナー一家に余計な頭痛の種をまいたような気がしていたのだが、Bはそんなことも見透かしたみたいに、私にこう言ったのだった。


私は恵まれてるな、と思った。
悔しくて泣いていたことを帳消しにしてあまり余るほどのサポートを、こんなに周りの人から受けられるなんて。

私は、本当に恵まれている。







つづく





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2006年12月23日 15時30分15秒
コメント(10) | コメントを書く
[NZ生活] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: