ピカルディの三度。~T.H.の音楽日誌/映画日誌(米国発)

Sep 6, 2009
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カテゴリ: 映画、テレビ
「老人と海」

 本国ニッポンでは昨年の公開。やっとのことで米国に上陸。
 監督/脚本は是枝裕和。氏のほかの作品をちゃんと観ていない自分を恥じた。こんなスゴい人が日本にいたとは。

<あらすじ>

 かつて長男を海の事故で失った家族の話。
 長男の命日でもある夏のある日に、老いていく両親(原田芳雄、樹木希林)のもとに、長女(You)と次男(阿部寛)がそれぞれの家族を伴って訪ねる。

<感想>

 完ペキ。僕が今年劇場で観た映画では、今のところ一番。いろんな国のいろんな映画を観てきたけど、やっぱり邦画を上位に選んでしまうとは我ながら誇らしい。別に贔屓してるつもりはなく。

 特に大事件が起こるわけでもないし、起伏の少ない内容なのに、映画の前半でいろんな伏線が敷かれ、後半で次々と応用されていく手法はお見事。

 音楽はギターだけ(たぶんゴンチチ)。あとは蝉の鳴き声と海沿いを電車が走る音など。天ぷら揚げる音とかも。
 映像も良かった。狭い日本家屋(特に長身の阿部寛がそう見せる)と、青くて広い海との対比。



 例えば、海で息子を失い、今でも立ち直れていない母は、思わず孫に「海に行っちゃダメ!」と声をかける。一方、父は逆。「一緒に海に行こう」と孫をさらりと誘う。
 こうゆう何気ない場面にいちいち唸ってしまった。

 この作品、去る四月のニューヨークの映画祭で、「おくりびと」とともに日本から出品されてて、そのときに鑑賞なさった米国人の友人が大絶賛してた。以来ずっと気にはなってたけど、ガイジンさんの好む日本映画と日本人の好むそれにはズレがあることが多いし、半信半疑だったのも事実。今回、たまたま訪ねているワシントン市内の映画館で運よく観られた。
 この映画はガイジン目線で観ても日本人目線で観ても文句ないと思う。

 「おくりびと」を越えている作品ではないかと。敢えて例えると小津安二郎系。
 近年の同様の作品と言えば、 フランス映画「夏時間の庭」





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最終更新日  Sep 7, 2009 08:05:15 PM
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