ピカルディの三度。~T.H.の音楽日誌/映画日誌(米国発)

May 9, 2022
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カテゴリ: 映画、テレビ
「カムカム、not エヴリバディ」(評価 ★★★★☆ 四つ星)

 「指揮者」という題名のドキュメンタリーを鑑賞。ここでいう指揮者とは、アメリカ人マエストラ、Marin Alsop マリン・オルソップ氏。
 日本(語)では未公開。公式サイト(英語)は、 www.theconductordoc.com

 一般に指揮者といえばほとんどが男性という保守的なオーケストラ業界において、アメリカ主要オケで初めて女性の音楽監督となったのがオールソップ氏。彼女の生い立ち、および米ボルチモア市、伯サンパウロ市、墺ウィーン市などでの活動を密着取材。
 子どもの頃からバイオリンを勉強しつつ、将来は指揮者になりたいと公言してきたにも関わらず、周りからは「女が指揮者になれるはずなどない」と言われ続ける。結局大学はバイオリン専攻で修了するも、持ち前の行動力で指揮者として台頭していく。

 興味深く観られた。編集もわかりやすく上手くまとめてある。時折マーラー「巨人」が背後に流れるのもいー感じ。
 そしてオルソプさん、指揮者だけあって話が上手い。「女はつらいよ」的なひがみや悲観、開き直りなども特に感じさせず、淡々と自分のことや周囲の状況を分析なさっている。いちいち感情的になるなんて逆効果だし、理路整然と語るのはさすが。
 でも、金持ちおじさんたちによる排他的な仲良しこよし集団(←英語で old boys' network と呼ばれる)の牛耳るこの社会を遠回しに非難してもいて、なかなかお見事。

 レナード・バーンスタインさんから認められ、直に指導を受けられたそうで、そのときのお宝映像も紹介される。ほかに登場する重要人物としては、彼女を金銭的に援助し、世に羽ばたくきっかけづくりをしてくれた日本人実業家トミオ・タキ(滝富夫)さん。



 ぼく自身、オケ奏者目線では指揮者の性別なんて確かにどうでもよくて、そんなことより、とにかくわかりやすく明確に振っていただきたい。ほかにもぼくは指揮者に求めることはいっぱいあるけれど、言い出したら止まらないのでここでは割愛。

 ただ、このドキュメンタリーでも触れられてて興味深かったのが曲想表現。男性指揮者が「優雅、滑らかに」あるいは「険しく、力強く」とかいうのを手や腕を使って指揮した場合と、女性指揮者が全く同じ動作を行なった場合とで、なぜかオケの発する音が異なってしまうということ。おそらくオケ奏者の側の意識の問題か。





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最終更新日  May 14, 2022 07:58:35 PM
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