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2006年11月14日
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カテゴリ: 日記
あとがき

 山崎種二氏には「そろばん」という立派な自叙伝が残されている。
 今更、私ごとき者がその伝記を書くことに忸怩たるものを感じたが、若い頃何度もお目にかかって、「偉い人だなあ」と憧れた熱い思いは年とともに深まって、この偉人の伝記を書きたいという気持ちがつのった。その思いの一つは、種二氏に対する世間の評価である。いま一つは、種二氏を主人公にして書かれた幾つかの小説である。そのどれをも私は気に入らなかった。というより、読んでいて腹が立った。なんとなく悪玉めかして、茶化して書いたとしか思えないものだったからである。
 たとえば、彼が相場であくどい儲け方をしたとか、本社ビルの敷地を手に入れるのに、あくどい方法を使ったのではないかなぞと、なんとなくほのめかされている。挙句の果ては、「偉大なるケチン坊」なぞというテレビドラマに使われたりしていることに我慢がならなかったのである。
 彼ほどに妻子を愛し、社員をかわいがり、彼ほど誠実で、善人で、努力家だった男性を、大正・昭和にかけて生きた相場界の人々の中で、私は見たことも聞いたこともない、彼は相場の偉人である。
 彼の真実の姿を理解して欲しい。数々の悪評や茶化しに対して、一言の言い訳もせず、怒りもせず、一片の弁解も世に問うことなく、広い大きな胸に善意に善意に受け止めて、男らしく口をつぐんでこの世を去った種二氏、その胸の中の思いが少しでも晴れることを願うと同時に、種二氏が沈黙の中でこの世に残した目立たない、地味な社会奉仕の数々を世の人々に知って欲しいという願いもあった。気配をたてずに大きな相場を地道に、手堅く、じっくり張ったように、彼は派手に宣伝することもなく、自叙伝にも書き残さない、地味で大きな社会奉仕をこの世に残して去った。ひっそりと人々を豊かにして去った。一言の自慢めいた言葉も残さず、人知れず美徳を残して去った。そのことを書き残しておきたいと思い、私は山崎種二伝を書くことにした。

昭和60年7月 


(・o・)(・o・)(・o・)

なかなかよく出来た伝記です。


三冊とも単行本を持っていましたが、引っ越すときに処分してしまいました。
ネットで古本を検索してみると価格が「¥ 3,000」と「¥ 7,500」すごいプレミアムです(・o・)






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最終更新日  2006年11月14日 15時27分31秒
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