Hallelujah☆

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January 11, 2006
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カテゴリ: いろいろ・・・





そのキタのバーで、唐突に現れた女、会うときはいつもグレーのスーツ。



黒でもなく、白でもない・・・・・。




ただ、薄暗いバーの中で目立たないはずの彼女に意識がいくのは彼の職業病かもしれないし、見慣れたいつもの店で見慣れない女を見たせいかもしれない。





自分より2~3歳は年上ではないかと、彼は思っているそうだ。


言葉を交わすことも無く、目が合ったときは薄く笑って目礼してくる。



30分も経っただろうか、彼女のほうもずっとこちらを気にしていることを感じた友人はふと振り向き、カウンターの上の彼女のグラスが空になっていることに気づいてバーテンダーに注文する。


同じ物を、と自分も注文して話しかけた。


他に客も無く、バーテンダーはおしゃべりではない。


私もその店でひとりで飲んでいると退屈をもてあましたほかのお客によく声をかけられる。













最初、どうやってそこへ行ったのかはあまり覚えて居ないと言う。



本当に覚えて居ないのか、話したくないのか・・・・・・・・。



大阪市内から兵庫県へ入り、海の見えるホテルへ。



『あんた女遊びの話聞かせたかったの?』



呆れた私があくびをかみ殺しながら茶々を入れる。



「いいから聞けって」


女の体は酒を飲んだとは思えないほど冷えていて、そして、とても静かだった。



不気味だ・・・・・・・・・。


どこがどうというのではない。



聞いていて薄ら寒い。



冷たいのだよ。






行きずりに遊ぶ女がずっとおとなしく静かだなんて、あまり聞いたことが無い。


そりゃ別に、しょっちゅう男友達から遊んだ女の話を聞くわけじゃないけれども。


遊ぶ女と聞けば明るく笑い、コケティッシュな女性、もしくは物静かだとしても媚を含んだ目で見上げるような、解りやすい、頭の軽そうな女を連想するのは、水商売の人間に限らないはずだ。


遊ぶ女は、偽名でも本名でも、何か、名前を言わないのだろうか。




フローズンダイキリは半分も楽しまないうちにすっかり溶けてしまっていた。







グラスを前に滑らせ、グリュワインを頼むと作り方を知らないという。


簡単に作り方を説明して、すぐに作ってもらう。



マスターが厨房へ火を使いに引っ込んだとき、友人が私の顔色を伺うように覗き込んできて茶化す。




「お前、熱かったり冷たかったり、忙しい女だな・・・・」

『うるさいっ』


前に向き直り、続きを促す。








彼女の冷たい体は、冷たいままで・・・・・・・・。



そして、どういう駆け引きが彼らの間にあったのかは知らないが、ついに彼は言ってしまった。




「また、会えるかな」


「また、会えたら・・・」





奇妙な答えである。


会えるか会えないか、彼は女の都合を聞いているのではない。



彼女の意思を聞いているのだ。



彼もそこそこの売り上げを上げるホストである。


自分の職業は明かして居ないとはいえ、そこはあいまいな返事をされると女性を口説くのが得意と自負しているプライドが疼く。




彼女の手を握る指に力を込め、もうひとつ聞く。



「名前は?」


無言で笑い、その女はシャワーも浴びずに服を着ると部屋から出て行った。





ぞっ!Σ(゚Д゚(゚Д゚(゚Д゚ノ)ノ




この、この薄ら寒さ、なんといえばいいのだろうか。



目の前にグリュワインが運ばれてくる。



私と肩をくっつけるようにして顔を近づけ、なおさら声を潜め話を続けようとする友人が怖い。



私が座るスツールの背もたれに置かれた彼の手が服越しに背にあたり冷たく感じる。




続きを聞きたくないな・・・・・・・((((;´Д`)))))アワワワワワ




なんだよ、女遊びの話かよと思うかもしれないが(私も最初そう思って聞いていた)、一つ一つの細かなことが総じて不気味である。


なんと言えばいいのか・・・・(-公- )ゥ~ム





なぜ、聡いはずの彼が、店に入ってきた女性に気づかないのか。



なぜ女の体は冷たいのか。


どんなにひどい冷え性女だとしても、お酒を飲んでいるのだよ・・・・。


てか、体の末端だけではなく、胸も、背中も、全てが冷たいらしい。



そんなこと、あるもんかい?


ヒーターの効いた車で1時間近く移動してるのに?



なぜ、無言で笑って出て行くのだ。



名前なんて、会う気があってもなくっても、偽名でもいいのだ。


何か、答えるだろう・・・・。






その後、2年くらいは何かのたがが外れたように遊んでいた友人だが、いったい何があったのか・・・・。



「どうしちゃったの、あいつ」



なんて噂されていたほどである。



何か、関連があるのか?



でも本人にそんなこと、不躾に聞くわけにもいくまい。




ただ、その女のことが気になって仕方が無いのだと彼は言う。



翌年も、その翌年もそのグレーのスーツの女は真冬の雨の日にやってくる。



そして、数杯グラスを開けた後、彼と神戸のホテルへ消えるのだ。




連絡先も知らないのに、会える日がわかるというのだ。



女が彼の休みを待ち侘び、そのバーへ雨のたびに通っているのか?


それとも・・・・・



寒気がやまない。



都市伝説でも、聞いているような・・・・・。





なぜそんな話をしたのか自分でも解らないという彼。




でも真実だと念を押す。






そして、4度目の冬が来た。



次に雨が降った夜、自分は仕事を休んで彼女の姿を見るために、あの店へ行くだろうと言う。


きっと、彼女はまた、そこに座っているだろうと。





たとえ、彼が結婚して、子供ができても。



ホストを辞めても。



きっと、彼女は毎年現れるだろうし、自分もあの店に行ってしまうだろうと言う。



どんなに平和で幸せな家庭を気づいてもその日だけは、彼女と会ってしまうだろうと。



冬の雨、グレーのスーツ、名前も知らない女。




火サスかよ。



半分呆れ、半分寒気を感じつつ、半信半疑なその話は終わった。







ただ、彼はまっすぐこちらを向き直り、最後にこう聞いてきた。




「なぁ、俺はもうあの女と会わないほうがいいと思うか?」



どういった立場でものをいえば良いのか解らない。




彼の恋人を知っている。


彼自身、俺はきっとこいつと一生過ごすんだろうなと言っている相手である。


いつ結婚するとも決まって居ないが、ずっとそばに居る彼女である。


その彼女なら、なんと言うかと聞いているのだろうか。


ただの、醒めた口きくいつもの友人として聞いているのだろうか。



彼は止めて欲しいのだろうか?




・・・・・・・・・・・・・・・・





『止めたら行かないのかよ?』


「・・・・・・・・どうだろ」




きっと、今年も雨が降ったら、彼は神戸のホテルを予約するのだろう。




店内にかかる曲は『トラエメ パス』





席を立ち、ジャケットを返す。


彼の香りが強く鼻先を掠める。


思い出した。


ファーレンハイトのキャッチコピーは


『支配と服従』





恐怖に私が支配されそう(;´Д`)



友人は雪女にならぬ霙女に支配されているのかしらね?



不気味な話である。



・・・・・・この話、本当かしら?




近畿地方の天気予報では、今週末は雨らしい。






どうか、友人が私をからかっただけでありますように。





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Last updated  January 11, 2006 01:40:46 PM
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