日本語はダメか2

日本語はダメか2

2007.12.10
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 もちろん、新宿の駅から目的地までタクシーに乗ったことはあった。新宿の駅を通過したことはあった。
 だが、日曜日、人ごみにもまれながらさまよったのは、実に久しぶりだった。
 厚生年金会館近くも歩いた。かつての店は見つからなかった。別の路地を歩いた。秋山駿や柄谷行人たちと議論した店は見つからなかった。墓地の近くを探した。芸大学長、平山郁夫とカウンターに並んだ店。見つからなかった。
 寒かった。飲み仲間の顔を思い浮かべながら寒さを感じ、堪えた。みな、どこで何をしているのだろうハート
 寒風のまっただ中に、独り自分がいた。
 こちらが飲み歩き議論し恋をし喧嘩をしていたその前にも、浦島太郎が何人もいて、こちらと同じようなことを感じ、考えて歩いていたであろう繁華街の道、道、道。

 ゴールデン街を歩いた。毎晩のようにそこここにいた自分。

 こちらがさまよっている頃も、アンダーグラウンド芝居があちこちで客を集めていた。
 花園神社を横切る。ああ、思い出す女人たち。一の酉二の酉。


 昨夜の喧噪・疲労から解放されてみれば、心は蘇軾の詩の世界のようだハート

  春夜     蘇軾
  春宵一刻直千金 春宵一刻(註1) 値(あたい)千金
  花有清香月有陰 花に清香有り 月に陰(註2)有り
  歌管樓臺聲寂寂 歌管(かかん)の楼台 声細細
  鞦韆院落夜沈沈 鞦韆(註3)院落(いんらく) 夜沈沈(ちんちん)

  (註1)一刻 一時間を四刻にきざんだので今の15分。ほんのひととき
  (註2)陰(かげ) 元々は暗い部分。ここでは普段より暗い月。くもり空。


  春の宵はまあ、匂いも気配ももったいないくらいに辺りにこもっていて
  花はみずみずしい香を放ち、月は恥ずかしげな顔を半分隠している
  歌や楽器でにぎやかだった店も屋台も、今はひっそりと静まりかえり
  しんしんとふけてゆく公園に、あれ、人も乗っていないブランコが揺れている
                          (平成青色吐息訳)





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最終更新日  2007.12.10 10:15:40 コメントを書く


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