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保険の異端児・オサメさん![]()
すなわち「乞う」とは「恋」。相手への関心、その深化・同化を表す。
添削小屋亭主としては、大店の生徒さん、隠居の生徒さん、恋している人妻、恋人募集中の女性、会社の会長などなどに「書くこと」とはすべて「恋文」「詫び状」「借用書(証)」で代表される、とお伝えしている。
その心は「本気かどうか」ということだ。
本当に相手を求めているか、本当にお詫びをしたいか、本気で金を借りたいか……。
政治家のなめらかなご説明、、お役人の捕まえどころのない用語、不祥事を起こした後のお詫び会見の言葉などには、その場限りの手練手管が見え隠れすような日本語と表情。
いかに掲げる「恋文」は切ない心をしきりに訴えている心情が行間ににじんでいる。
やま、と相手を呼んだ竹下夢二(こちらは、かわと呼ばれた)が画学生の笠井彦乃(本名・しの)にあてた恋文の一文である。
竹久夢二の恋文
手紙二通とも拝見。情義をつくした文面、いぢらしくも
たのもしくもおもはれて、よんでしまつてから煙草のむ咽喉のふさがるのを覚えた。おとなしくその日のくるのを待つて居よふ。七日といつても玉葉の帰つてくるのは月半になるとおもはれる、それだつておとなしく待つて居ります。ほんとう言へば玉さんだつて女だからお察しはないが男といふものは――いや此頃のこのもどかしい私のだゞつ児は、女の肌に遠い性的不安と、またそのために何も出来ない怠慢から来る創作慾の混乱と滞渋に原因してゐることは誰れも知つて呉れない。また言へもしない。だからその心持を単純に言ひあらはすと「生活に欠陥がある、 やま
に逢ひたい、 やま
と寝たい、いつまでもいつまでも、そして輝くやうに起き出て、ほのかななつかしい氷つた涙のやうな製作をしたい。」
それで、「たゞもう早くきてほしい、何が何でも逢ひたい」となるのだつた。
言ひわけのつもりでこんなことを書いたら、また、早く逢ひたいと書きたくなつた。
やま
御免ね。
一番賢い方法は、いまのところ やま
が一番よく知つてゐるんだから安心して(内心悄然としてだが)待つてゐるよ。ときたま外へ出るといろんな女が目につく……女といふよりは
(以下 略。全体の半分くらいを再掲)
そして着物が目に入る」と書かれ、相手にどんな着物を着せようか、とつづっている。
逢いたい気持ち、すなわちこれは、作品が読者との間に結ぶ<恋愛関係>とも言えよう。
読んでー、こっち見てー、と書き手は乞うている。恋をしている。