日本語はダメか2

日本語はダメか2

2013.04.30
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賢くおとなしく従順だった。そして、美しかった。
 これまで付き合った(飼育した)どの生き物にも思いは残っているが、レラには特特特・特別な印象が強い。
 12歳で亡くなったのだから、洋犬の寿命としては普通だろう。
 従って、「思いが残る」というのは、若死にしたから(おかめインコのシャンシャンは1歳を過ぎたかどうかで、風に乗って消えていった)、という類いの感情とはまったく別のもの。

 ある意味で、なぜか「後ろ髪を引かれる」と言ったニュアンスが漂う切なさ・胸苦しさ。

 他のペットには感じたことのない、そんな思いさえ。
 もう一度逢いたい、逢ってしゃべりたい抱きしめたい、と強く思う。
 身体が大きく、ニンゲンである私に近かったからであろうか。
 いや、そんな単純な言葉では片付けられない不思議な感覚。尊崇にも似た感情。
 ただの犬、なのだ。なのに。
 雷が大嫌いで、雷鳴がとどろくや、二階の私の書斎へ飛び込んで来てヒイヒイとすがりついた。
 書き物で忙しいときに限って。
 たびたび。
 その辺にあった「孫の手」でその背中を殴った。
 あるいは、一階の洗面所に閉じ込めた(引き戸の角には、レラがかじった痕が残っている)。
三文文士どころか六文も計上できなかったくせに。

 この世を去った数多の先輩、身内、仲間・友人にも使わないような表現で思い出すしかない生き物。
 あの悠然とした「最後」の姿がこちらを引きつけて放さないのだろうか。
 そう、レラの前にいたヘンナ(シーズー犬。オス。22歳で死んだ)とクロ柴のエリ(メス。22歳で死んだ)の死に神と戦う姿が悲惨すぎたから、かもしれない。
悲鳴を上げ、泣き叫び、庭を、家の中をさまよい続けた二頭。昼夜を分かたず。
 それに比べると、悠然と消えていったレラ。最後の居場所だったサンルームの隅で。桜の花びらが舞う春の終わり頃。
 叫ばず、苦しまず、うろたえず。
 自分への課題が暗示されていて、それが胸を騒がせるのか。

本日、何十何年か前(の昼頃、らしい)にこの世に現われた、と母の言うこの自分。いわゆる誕生日・ハッピ・バースデー。十何本かのろうそくがケーキに刺さって。

時に私は妄言を紡ぐ。
 本当は29日の産声なのだが、役場へ届け出た父親が「29日とは畏れ多くもかしこくも」とほのめかされて、ついつい一日延期の30日に変わった、などと。
 生まれ出た時の一日や十日のずれがなにほどのものだろう、死ぬる時の一日や一年のズレがなにほどのことだろう。
 風が吹き荒れる2013年4月30日。

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最終更新日  2013.04.30 13:15:27 コメントを書く


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