日本酒類文化振興会

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2009/12/09
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テーマ: お酒大好き(5776)
カテゴリ: 日本酒
「夏子の酒」の漫画家、尾瀬あきら氏がラベルを描いた「るみ子の酒」で有名な森喜酒造場。
るみ子とは蔵元の専務であり、麹づくりの責任者をしておられる森喜るみ子さんのお名前。

この蔵のもともとの銘柄「妙の華(たえのはな)」は、信仰心高く「妙法蓮華経」が由来とのことですが、酒造に不可欠な井戸を掘り当ててくれたのが住職だったということです。

森喜酒造場は、製造量200石の全量純米蔵ですが、麹の仕込みは全量麹蓋による文字通り手づくり蔵です。

今回はさらに山廃の純米吟醸という、蔵人の汗を感じるような貴重なものです。

taenohana.jpg

ここで、講談社漫画文庫「夏子の酒第5巻」のあとがきに、尾瀬あきら氏によって書かれた森喜酒造場、るみ子さんの苦闘・奮闘ぶりを、同社のホームページより転載します。

<ここから>
「前略
 只今、平成三年六月二十二日午前一時です。先だって買ってきた『夏子の酒』を読み終えたところです。

 私も実は、造り酒屋の跡とり娘として生をうけました。
大学を卒業し、製薬会社へ勤務しておりましたが、父が脳梗塞で倒れ、急遽主人と結婚し、家業を継ぎました」

 こんな書き出しで始まるお手紙を私の元に送ってくれたのは三重県伊賀地方にある、たった二百石足らずの小さな小さな酒蔵、森喜酒造の蔵元、森喜るみ子さん。
銘柄は妙乃華(たえのはな)。

 『夏子の酒』の執筆中に、私はたくさんのお便りを読者から頂きましたが、その中でも夏子をほうふつとさせる、るみ子さんの一通はひときわ印象的でした。

「私も夏子の如く、麹と酒の香りとタンクのもとで育ち、物ごころつかぬうちからお酒の味を覚えました。
小学生の時には、すでに槽口からしたたる荒走り (酒槽に積まれた酒袋から圧力をかけずに、自然流出してくる最初の酒) のおいしさを心得ていて、
学校から帰ると槽場でこっそり盗み利きをしていました。
夏子のように銘柄を当てられる利き酒の達人ではありませんが″おいしいお酒″は解ると思います」

 彼女が子供の頃には能登から五人の蔵人が半年間住み込みで来てくれて、
活気のあった蔵も今では杜氏と麹づくりの責任者だけ。


蒸米をタンクに入れ、上槽を手伝うという。

「私は来季も、夏子の様に蔵に閉じこもると主人に宣言しました。
やがて生まれてくる三人目の子のためにも、母としてがんばるつもりでおります」

 この手紙をきっかけに、私と親しい蔵元や酒屋さんが、「放っておけない」とばかりに伊賀にとび、、蔵仕事を手伝ったり、アドバイスしたりという素敵なつながりが生まれました。
『るみ子の洒』はそんな状況の中から生まれた純米酒です。


『夏子の酒』をもじつたものではないか...という意見もありましたが、
これほど的確なネーミングは他に見当りませんでした。

現在、るみ子さんは日本酒に携わる女性の全国的なネットワーク
を作ろうとはり切っています。
三重県上野市の森喜酒造は、生き残ってもらいたい蔵のひとつです。<以上>


こうした蔵のストーリーを知ってしまうと、飲むほうも思い入れをもって肩に力が入って飲んでしまいます。
造る方も思い入れが強いですから、小さな蔵らしい個性的な酒だなあといつも感じています。





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Last updated  2009/12/09 12:46:37 PM
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フジイ@ Re:瀧鯉・純米酒(神戸市東灘区・昔は木村酒造、今は桜正宗)(03/21) 震災前、酒蔵の門で眺めていたら杜氏のか…
よしたか@ Re:若竹・プレミアム純米大吟醸(静岡県島田市・大村屋酒造場)(11/05) 息子と静岡の娘さんとの婚約の席で、若竹…
星野 勝@ Re[2]:名人 安東焼酎のこと(08/09) 北岡さん ご丁寧にありがとうございます。…
北岡慶太郎@ Re[1]:名人 安東焼酎のこと 星野さん 色々と有り難うございました。近…

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