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資産バリュー株とDOEの組み合わせで、東証プライム企業を探すシリーズ。
クラボウ、青山商事、三菱製鋼、ジャノメに続いて、今回は住友精化を見てみます。
住友精化は2026年9月18日時点で、
・株価 1,507円
・時価総額 約975億円
・PBR 0.92倍
・予想配当利回り 4.64%
となっています。
2026年8月にはDOE4.5%以上を配当の基準に加え、2027年3月期の年間配当予想を48円から70円へ引き上げました。
低PBRに加えて、配当方針も大きく変わった会社です。
私は住友精化を保有していませんが、この増配を支える資産と利益があるのか調べてみました。
住友精化は何を作っている会社か
主力は、紙おむつなどに使われる高吸水性樹脂です。
液体を吸収して保持する素材で、2027年3月期第1四半期の売上高約404億円のうち、約319億円をこの事業が占めます。
ほかにも、水溶性ポリマーや水素関連の装置などを扱う機能マテリアル事業があります。
2027年3月期の会社予想は、
・売上高 1,650億円
・営業利益 110億円
・純利益 80億円
です。
時価総額約975億円に対して、売上高は1,650億円あります。
ただし、売上高が時価総額より大きいだけでは、割安とは判断できません。
高吸水性樹脂の販売量に加え、原材料価格や為替の変動を受けながら、利益を維持できるかが重要です。
総資産約1,602億円の中身
2026年6月末時点の総資産は約1,602億円です。
主な資産は、
・現金及び預金 約152億円
・売上債権 約326億円
・製品、仕掛品、原材料などの在庫 約341億円
・建物、機械などの有形固定資産 約614億円
となっています。
一方、負債は約548億円、純資産は約1,054億円。自己資本比率は65.8%です。
時価総額約975億円は、まだ帳簿上の自己資本を下回っています。ただし、PBRは0.92倍まで上昇しており、1倍との差は小さくなっています。
ここで気になるのは、 資産の中身 です。
有形固定資産は、主に製品を作るための工場や設備です。在庫も販売して初めて現金になります。
住友精化は、余った現金や有価証券を大量に抱える会社というより、 事業を動かすための資産を多く持つメーカー だと感じました。
自己資本比率は高いが、現金が借入金を上回るわけではない
現金及び預金は約152億円あります。
一方、短期借入金は約97億円、長期借入金は145億円。合わせると約242億円です。
つまり、現金より借入金のほうが多い状態です。
自己資本比率65.8%という数字には安心感がありますが、それだけで「手元資金が豊富だから配当は安全」と考えるのは違いそうです。
会社は今後、自己資本比率の中期的な管理範囲を50~60%に設定し、資金を成長投資や株主還元にも使っていく方針です。
財務の余裕を、これからどう使うか。
そこが今回の銘柄の見どころだと思います。
DOE4.5%は、どの「資本」の4.5%か
住友精化は配当方針を変更し、原則として「配当性向30%以上、かつDOE4.5%以上」を基準にしました。
ここでいうDOEは、
配当総額÷前期末の株主資本
です。
2026年3月末の貸借対照表を見ると、純資産は約1,036億円ですが、そのうち株主資本は約879億円です。
差額には、海外子会社の財務諸表を円に換算した際の調整額などが含まれます。住友精化は、その部分をDOEの計算対象から外しています。
私が資産バリュー株とDOEの組み合わせを好きな理由の一つは、会社の資産価値の上昇が配当にもつながる可能性があることです。
ただし住友精化の場合、 有価証券の含み益や為替換算によって純資産が増えても、それだけでDOEの基準額が直接増えるわけではありません。
むしろ本業で利益を残し、株主資本を積み上げられるかが大切になります。
同じDOE採用企業でも、計算に使う資本は確認したいところです。
44円から70円への増配は無理がないか
住友精化は2026年4月に、1株を5株にする株式分割を行っています。
前期の年間配当220円は分割前の金額です。現在の株数に合わせると44円に相当し、今期予想の70円と比較できます。
今期の会社予想の1株利益は124.46円なので、70円を支払った場合の予想配当性向は約56%です。
会社予想どおり純利益80億円を達成できれば、配当は利益の範囲内に収まります。
ただし、 「今年は払える」と「長く払い続けられる」は別です。
2027年3月期は売上高の増加を予想する一方、営業利益は前期の約145億円から110億円へ減る見通しです。
設備増設に伴う固定費の増加などが影響します。
今後も原材料価格、為替、増設した設備の収益性を見ていく必要があります。
足元は好調。ただし利益の中身も見たい
2027年3月期第1四半期は、
・売上高 約404億円
・営業利益 約35億円
・純利益 約33億円
でした。
前年同期から大幅な増収増益となっています。
一方、高吸水性樹脂事業の利益には、円安や原材料価格の変動に伴う在庫評価の影響もあります。また、純利益には投資有価証券の売却益も含まれています。
第1四半期の好調さを、そのまま通期の実力と考えるのは早そうです。
私の考え
住友精化は、
・PBR0.92倍
・予想配当利回り4.64%
・DOE4.5%以上を導入
・自己資本比率65.8%
・今期は大幅増配予想
という点で、今回のシリーズに合う銘柄です。
ただし、株価上昇によってPBRは1倍に近づいています。9月18日時点の0.87倍と比べても、帳簿上の資産価値に対する割安感は少し小さくなりました。
また、資産の中心は在庫や工場設備など、事業に必要なものです。現金より借入金も多いため、「資産が多いから配当は安心」とは言えません。
私はDOE導入そのものよりも、 設備投資を続けながら純利益80億円を確保し、増配を維持できるか を見たいです。
住友精化は、余剰資産を取り崩して還元する資産バリュー株というより、厚い自己資本を背景に、これから資本の使い方を変えようとしている会社だと思います。
PBR1倍割れの理由が資産の過小評価なのか。それとも将来の収益に対する不安なのか。
PBR1倍まで残された上昇余地だけを見るのではなく、増設した設備が利益を生み、株主資本と配当を一緒に増やせるかまで追っていきたい銘柄です。
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