東方見雲録

東方見雲録

2003.03.07
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カテゴリ: 2003
早春の花には黄色いものが多い。
ヒイラギナンテンもその一つだ。

いつも見慣れた風景の奥でポツンと輝くものがあった。
それは、咲き始めたヒイラギナンテンの黄色の小花だった。


ツバキの根元に一株、放射状に広がった葉の軸の中央に黄金のごとく座して輝いている。

ヒイラギナンテンはその名のとおり、ヒイラギ葉をした複葉の植物で、ナンテンと同じメギ科。常緑低木で庭の下草、根締めに利用される。日陰、湿地に強い。

中国原産で江戸時代、日本に渡来したらしい。
日本庭園にもなじむ風趣があり、生け花にも用いられる。
特徴的な葉の形、中心から放射状に広がる葉はまとまり感と他を引き立てるアレンジ性を併せ持っている名脇役だ。


それは雄しべの授粉テクニックである。それも早業ときている。

花の構造は、中央に1本の雌しべ、その周りに6本の雄しべが花弁を外に向かって押し広げるように配置されたごく普通の構造である。
ちょっと他と異なるのは、雄しべの基部を軽く触れると、瞬時のうちに花の中心である雌しべに向かって曲がってくるという特徴がある。先端に触れても屈曲しない。

それはなぜか。雄しべで花弁を押し広げて、蜜(みつ)を求める昆虫が動き易くする一方、昆虫が雄しべの基部に触れるや否や、コンマ何秒かで昆虫の背中に花粉をつけるため曲がるのである。
また、雄しべは屈曲することで、雌しべの柱頭に触れることはない。その結果、自家受粉を避け、花粉をつけた昆虫によって、他の花での受粉・結実が可能となる。
何と合理的な仕掛け、仕組みであることか。

早春、日陰で花開く植物の生きる知恵は奥深い。
この仕掛けのために葉の配置も、花の位置、輝きも存在しているようだ。

朝から降り続いていた雨。夕方には上がった。
溜まった湿気を振るい落とし、こざっぱりした雲が西から東へとすごい勢いで流れていく。
行く雲の下面は街の明かりでか、ほの赤く色づき輝いていた。



2022.04.24イメージ画像追加





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Last updated  2022.04.24 19:06:49
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