東方見雲録

東方見雲録

2023.11.09
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カテゴリ: 建築

和歌山県立近代美術館の入り口前の広場に展示された「中銀カプセルA908」=和歌山市吹上1丁目、同館提供
© 朝日新聞社

 「50年前にこんな物を発想したのが面白い」「今のおしゃれなワンルームマンションみたい」。故黒川紀章氏の設計で東京・銀座に建てられ、昨年惜しまれつつ解体された「中銀(なかぎん)カプセルタワービル」。カプセル型の居室が8月から、和歌山市の和歌山県立近代美術館に展示されている。来館者が円窓から中をのぞいていく。記者も特別に内部に入って見せてもらった。
 高さ2・5メートル、長さ4・2メートル、奥行き2・7メートルの立方体のカプセルは、近代美術館の入り口前のスペースに置かれた。4種ある間取りのうち、長辺の壁に円窓がついたタイプの居室だ。

電化製品はすべて取り付け式。ブラウン管テレビ、電話、小型冷蔵庫、エアコン、ソニー製のテープレコーダーがある。ベッドと壁に収納される机もあり、機能性を重視した宇宙船を想像させた。
 ユニットバスのトイレの脇の備え付けの小さな灰皿や、直径1メートルほどの円窓の蛇腹のブラインドのデザインがかわいらしい。

 ただ、大抵の家にあるものがない。たとえば台所の設備。カプセルタワーは都会で働く人が住むために設計されたが、食事も外食が基本の生活を想定していたのかもしれない。建設当時あまり普及していなかった電子レンジは備え付けられておらず、洗濯機の置き場もない。

 カプセルを興味深げに眺めていく来館者に聞いてみた。愛知から和歌山に観光に来た藤本秀輝さん(63)は、銀座にあったカプセルタワーを見て、変わった建物があるなと思っていたという。「50年前にしたらとても近代的だったでしょうね。でも今も十分通用する部屋だと思う」
引用サイト:​ こちら ​



内装
円窓と備え付けの機器
広さは10 m2で、幅2.3 m、奥行き3.8 m、高さ2.1 m。カプセルにはオフィス、ホテル、マンションの3タイプがあり、グレードも、スーパーデラックス、デラックス、スタンダードの3種類が用意され、色も白、黒、オレンジ、青の4色から選ぶことができた。ベッドとバスが不可欠な装備品として最初に導入が決まり、バスルームはできるだけスペースが小さくなるようにデザインされた。窓やブラインド、ベッドマッドは特注されており、中でも特徴的な円窓は黒川お気に入りの意匠で、都知事選に立候補した際の選挙カーでも用いられている。

サラリーマンに必要なものを揃えた完結型ユニットで、ラジオ、ステレオ、テープデッキ、カラーテレビといった娯楽設備、仕事に必要なデスク、本棚、計算機に加え、冷蔵庫、電話のような生活必需品が標準化されていた。販売価格には歯ブラシや毛布の料金も含まれており、身一つでカプセルを利用開始することができた。


北浦和公園に展示されている中銀カプセルタワービルのプロトタイプカプセル

保存活動
建物玄関に置かれていたモデルルーム用のカプセルは、2011年から2012年にかけて開催された「メタボリズムの未来都市展」において六本木通り沿いに展示された。開催終了後に森美術館は黒川が設計をした埼玉県立近代美術館へ寄贈した。さいたま市の北浦和公園彫刻広場に美術品として配置され、内装が綺麗な形で残っており、外から観賞することが可能となっている。美術館側は月に1回アスベスト濃度を検査しており、不安の声に対応している。

保存・再生プロジェクトは、中銀グループから地権を買い取ったCTB合同会社と交渉し、解体の際に25個のカプセルを保存用に取り外し活用していくことに合意した。2023年にはアメリカのサンフランシスコ近代美術館への収蔵や、松竹が新しく創設するイベントスペース「SHUTL」への展示が決定している。

黒川事務所はLAETOLIと共同でカプセルタワーの設計情報に紐づいたNFTを販売した。購入者はカプセルタワーの3次元データに基づき自由に建設が可能で、設計側が再建を公認する例は世界的に珍しかった。
こちら



“レジェンド物件”の一部だった2つのカプセルを取得したのは、東劇ビルに本社を置く松竹株式会社。シャトルプロジェクトリーダーの山﨑基氏によれば「リースではなく、譲渡されたものです。松竹グループのミッション『日本文化の伝統を継承、発展させ、世界文化に貢献する』にもとづいて取得しました」といい、今後はカプセルを保存しながら、このスペースで美術・工芸作品の企画展示・販売や映像を使ったイベントなどを行っていく。シャトルのカプセルは一基からレンタルすることができ、独自のイベントを行うこともできる。

 取得へ向けた松竹の動きは早く、「解体が始まる前、『中銀カプセルタワービル保存・再生プロジェクト』が譲渡先を探していると知り、代表の前田達之さんにコンタクトを取りました」(山崎氏)。その前田氏によれば「受け取りたいと連絡をいただいたのは、松竹さんが最初か二番目。それぐらい早かった」というから、松竹のカプセル保存と活用への本気度が伝わってくる。遠くない将来にあり得る隣接する東劇ビル(竣工1975年)の建て替えの際には、場所を移して活用していくという。


車輪をつけて“トレーラー”に
 この2基以外ですでに行き先が発表されているのは、淀川製鋼所、米・サンフランシスコ近代美術館(SFMOMA)、和歌山県立近代美術館・博物館に渡った3基と、東京・銀座の銀座シックスで11月10日から12月25日まで期間限定で展示されることが決まった1基。3基はオリジナル内装、銀座シックスで展示される1基はスケルトンカプセルだ。

「ヨドコウ」としても知られる淀川製鋼所は、カプセルに車輪をつけてトレーラー化し、自由に動けるようにした。前田氏によれば、これは設計者の黒川紀章氏が思い描いていた案の延長線上にあるという。

「黒川さんは週末などに所有者がカプセルをタワービルから取り外し、車で移動する、という構想を持っていたんです。実際にはビルから取り外すことは不可能でしたが、解体したことで50年越しに実現しました」

引用サイト: こちら

銀座で「中銀カプセル」11月10日から期間限定で公開展示 GINZA SIXの1階エントランス
日刊スポーツ
街をデザインした建築家で芸術家黒川紀章氏(故人)の手がけた「中銀(なかぎん)カプセルタワービル」から切り離されたカプセルのうちの1基が11月10日からクリスマスまで「GINZA SIX」で公開展示されることを26日、GINZA SIXが発表した。展示場所は銀座中央通りに面した最も人通りのある場所になる予定。

今回の展示は、クリエーティブ集団YAR(ヤール)が1970年代の音楽機材などを使ってカプセル内を装飾し、往年の名曲レコードのイメージを注入して現代のリスニングルームを再現したもの。黒川氏が建物の基盤を残しながら、25年周期で1つ1つのカプセルを脱着して建物の新陳代謝をはかっていく「メタボリズム」を建造物にした構想を表現した内容になっている。
こちら


引用サイト:NHK  こちら

解体の記録 動画  こちら

関連日記:2022.07.21の日記   こちら

関連サイト:【黒川紀章の建築10選】メタボリズム建築とは?   こちら





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Last updated  2025.12.09 06:19:42
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