東方見雲録

東方見雲録

2024.08.28
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カテゴリ: スクラップ
2003.08.28の日記 こちら

桐一葉 日当たりながら 落ちにけり


実は「桐一葉」とは、【桐の葉が一枚落ちるのを見て、秋の訪れを実感する】、さらには【小さな動きから衰亡の前兆をとらえる】といった意味で使われる言葉なのです。

中国や日本の古典の中で、単に木の葉という以上の意味を持って使われてきました。

そして、明治期の文学者、坪内逍遥が明治27年(1894年)から翌年にかけて発表した歌「桐一葉」という歌舞伎のための戯曲があります。

初演は明治37年(1904年)で、広く世に受け入れられる話題作となりました。関ケ原の戦い以降の混乱し、衰退していく豊臣家をテーマに、豊臣家の忠臣片桐且元(かたぎりかつもと)を主人公として描かれました。シェイクスピアの影響も受け、古典的な台本から脱却し、新たな歌舞伎を求めて書かれた画期的な意欲作でした。

そんな片桐且元(かたぎりかつもと)の言葉として「桐一葉落ちて天下の秋を知る」があります。

これは、表面的には桐の葉が一枚落ちて、世間はすっかり秋であると実感するという意味にとれますが、豊臣家の家紋が桐の意匠であったことから、豊臣家の滅亡を悟り、嘆く言葉とされます。

そして、初秋の候にふさわしい【桐一葉日当たりながら落ちにけり】の句は、明治39年(1906年)8月末に詠まれたものです。

坪内逍遥の歌舞伎のための戯曲「桐一葉」の初演はその2年前ですから、高浜虚子もその歌舞伎を知っていたことでしょう。
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Last updated  2024.08.28 00:00:24コメント(0) | コメントを書く


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