東方見雲録

東方見雲録

2025.04.03
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カテゴリ: ランドスケープ




東京港の中心部に浮かぶ「ごみの島」(東京都江東区海の森3丁目、中央防波堤内側埋立地)を、2007年度〜2015年度に、都民参加で27万本もの樹木を植栽、順調に生育して2025年3月、「海の森公園」が開園する運びとなりました。夢の島もかつてはごみの島(人工島)でしたが、今では夢の島公園などに変身しています。
引用サイト: こちら

江東区・海の森公園グランドオープン 領土紛争を乗り越えた歴史




東京湾には、数多くの広大な埋立地が造成されています。お台場の南方に浮かぶ「中央防波堤埋立地(中防)」もそのひとつで、ここが今回の舞台となります。


中防は、暫定的に「江東区青海地先」という住所が付されていました。江東区とつきますが、実際には江東区ではありませんでした。なぜなら、中防は東京都の大田区・江東区が帰属を主張し、その境界が長らく確定していなかったからです。


なぜ、そんな紛争状態になっていたのでしょうか? 大田区・江東区の主張を整理しておきましょう。


大田区は高度経済成長期に差し掛かるまで、海苔の養殖が盛んでした。しかし、東京湾の埋め立てによって海苔の養殖事業者は廃業に追い込まれました。大田区は主要産業を放棄した補償として、東京湾に整備された埋立地の帰属を主張しています。


一方、江東区の主張も高度経済成長期に原点を求めることができます。高度経済成長期、東京の人口は爆発的に増えました。人口増加によって深刻な問題としてゴミ処理が持ち上がります。


当時、東京23区内にはゴミの焼却施設は少なく、焼却処分が追いつかない状態でした。そのため、焼却されないままのゴミが溢れました。窮余の策として、東京都は多くゴミをそのまま東京湾で処分することを断行。未処理のゴミは、後に江東区に帰属して夢の島という町名になる土地に埋め立てられたのです。


未処理のゴミが不衛生だったことは否めず、悪臭や汚水の原因になりました。また、埋立地から大量のハエが発生し、それら大量のハエは住宅地に飛来し、近隣の江東区は通常の生活を送ることができなくなったのです。





東京都港湾局や国土緑化推進機構、国際日本森林文化協会といった団体の活動によって定期的に植樹が進められて公園整備の下地が整えられてきました。
筆者は2000年前後から中防に関心を抱き、定期的に同地を訪問していました。中防は関係者以外の立ち入りを厳しく制限しています。中防へと立ち入るには、それなりの名目が必要でした。

筆者は取材という名目で立ち入り許可を受け、たびたび中防を訪れました。また、東京都をはじめとする公的機関が主催する植樹イベントを取材することや東京都が散発的に実施する一般公開にも足を運びました。


2005年に訪問したときは産業廃棄物が山積みされているような状況で、とても公園地になるとは想像できないような風景でした。その後もイベントなどで植樹が実施され、行政による整備も進められましたが、中防の風景は変わり映えしませんでした。




プレオープン中に一般開放されていた海の森公園内でも大型重機によって整備が進められていた(2015年10月撮影)

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まだ五輪開催が決まる前の中防は、手つかずの未開拓地といった風景だった(2011年5月撮影)
ゴミが山積みされた中防から、遠くにフジテレビ新社屋の球体展望台を望むことができた(2005年6月撮影)

五輪開催が決まる前の中防は、ゴミによる埋立地という言葉がしっくりくる場所だった(2005年6月撮影)

手つかずの未開拓地だった中防から13号地を望むと、フジテレビをはじめとする巨大な建物群が見え、対照的な風景が広がっていた(2005年6月撮影)
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中防の問題で気になることが、まだ残っています。東京地裁の判決によって、それまで決着がつかなかった中防の帰属問題は一気に解決しました。中防の争いでは、「どれだけ取るか?」といった面積ばかりに注目が集まりました。しかし、大事なことが抜け落ちています。それは「どう取るのか?」といった線引きの仕方です。というのも、中防の南側には約480ヘクタールという新しい埋立地「新海面処分場」が造成中だからです。

東京地裁で争っていたのは、あくまでも中防の帰属でしかありません。新海面処分場の帰属は判決に含まれておらず、その帰属は決まっていません。中防の面積は約500ヘクタールですから、それと同じ規模の埋立地がまだ帰属未定地のままになっているのです。帰属未定地の新海面処分場を自分の区に組み込むには、新海面処分場と自区の境界線が接していることが望ましいことは誰の目にも明らかです。
東京地裁が示した判決では、大田区・江東区に帰属する中防の区画は江東区の方が多く新海面処分場と接しています。これだと、帰属未定地の新海面処分場の大半は江東区になることが予想されます。そうした状態になったので、再び紛争を生む可能性を残しているのです。
引用サイト: こちら


関連日記:2023.11.11の日記  海の森公園   こちら
関連日記:2023.10.10の日記  東京港埋立地関連 全体図  こちら
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Last updated  2025.04.03 13:08:39
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