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2008.11.11
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「やさしいミステリー」の名手,加納朋子の短編集を読んだ。

○ストーリー
いつの間にか家に通ってくるようになったデブで憎たらしいねこ,通称「モノレールねこ」。だがねこは,赤い首輪の中に,ぼくとタカキとの手紙をはさんで届けてくれていたのだった。ねこがいなくなってから10年,ぼくが会社で出会った人は・・・

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なんだ,加納朋子って,ちゃんとキッチリした短編書けるんだ,と安心させられる一冊だった。ナイーブさを抑えてくれているおかげで,すんなりと読める。正直,フツー過ぎて,加納朋子の持ち味の,傷つきやすささえも薄れてしまっているような気がしたけど,こうした作風の変化も,たまには必要だと思う。

8編の短編の主人公たちは,かなりフツーの人々だし,ファンタジックな展開もほぼ無い。ミステリーの要素さえ,数えるほどしかない,というあっさり味だ。

だがその分,平和な人々は,家で暮らし,家族がいる。この短編集で,ある意味臆面も無く描かれているのは,家族の絆を大切にしている人々のことだ。いろいろな深さで傷ついた人々が,じんわりと癒されているのは,家族の心配りによってだ。

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ミステリーからも,ファンタジーからも離れ,ひとり立ちにはだいぶ心もとない気がするが,加納朋子が選んだのは,もっとも安心感のある家族の絆を中心にした短編集だ。



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各編について簡単に述べる。
「モノレールねこ」ブロック塀に収まり切れないデブさが,モノレールに似ているデブねこ。いつしか家になじんだねこだったが,ある日いなくなってしまう。・・・ペットを失くしたことがある人ならばぐっと来る。

「パズルの中の犬」真っ白いジグソーパズルのピースの中から顔を見せた犬。その犬に導かれ,こどもの頃暮らした家に行ってみたわたしは・・・平和です。

「マイ・フーリッシュ・アンクル」中学生のわたしは,30才を過ぎてもぶらぶらしている叔父と2人暮らしをすることになった。・・・いくらなんでもこの叔父さんはメイワクだと思う。

「シンデレラのお城」わたしと彼は,偽装結婚だった。しかも彼には幽霊の婚約者がいたのだ。・・・いちばんファンタジックな作品。

「セイムタイム・ネクストイヤー」最愛の娘を失くしたわたしは,年に一度だけ娘と会うためにホテルに泊まる。・・・ちょっとした映画のような作品だ。なかなか上品。

「ちょうちょう」新装開店のラーメン店の店長を任されたオレは,マナーをわきまえない客を怒鳴ってしまう。すると・・・昭和風のお話だ。

「ポトスの樹」ろくに働きもしないオヤジを毛嫌いしつつ育ったオレは,就職を機に家を出る。だが結婚,妻の出産によりいやおう無くオヤジとまた付き合うハメになる。だが事件は起こった!・・・オヤジの逸話が妙に多く,気合が入っている印象。

「バルタン最期の日」気の弱いフータに釣られたザリガニのオレを待っていたのは,気の弱いフータの母と気の弱い父だった。だが,そんな連中を助けるために,オレは自分の命を賭ける。・・・この短編のためだけでも,この本を読む価値はある。いいなあ。














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Last updated  2008.11.14 00:40:40
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