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2010.05.21
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カテゴリ: わくわく児童文学
小学校の卓球部を舞台にしたシリーズの第1作を読んだ。

○ストーリー
小学校6年生の大地の通う東小のエリアでは,卓球の市の大会は11月にしかない。6年生にとっては引退試合となる重要な大会だ。この大会でベスト8,できればもっと上を目指していた大地だが,6年生が3人しかいなかったため,5年生の大人しい純とダブルスを組むように指示をされる。不満に思っていた大地を,意外な事件が襲う。果たして大地は大会に出場できるのか?

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主人公の大地は,卓球の才能もあり,行動力もあるキャプテンとして登場する。児童文学のスポーツ物としては,やや変わった設定だ。

だがある意味で「すでに完成されてしまった主人公」として登場した大地に,いくつもの試練が訪れる。まずは希望する相手とダブルスのペアになれず,チカラの劣る5年生とペアとなってしまう。次に同じ小学校の女子卓球部で内紛が起きていることを知るが,解決ができない。そして極めつけは大地の家庭を襲う事件だ。

大地は現代の子どもらしく,「他人が自分に何を期待しているか」を敏感に感じて,なるべくそれに応えようとする。だから感情に任せて怒ったりしないし,仮に多少感情に流されてしまうと後悔もする。家庭で問題が起これば,それを解消するために手伝おうともする。

だがそれにより見えてくるのが,大地や,ひょっとしたら読者が思っている「正しい行動」というものが,必ずしも「他人が期待している行動」とは異なるということだ。

この経験を通じて,大地は自分自身で設けていた枠を超えて成長したのだと思う。



タイトルの「チームふたり」は,もちろん大地と純のダブルスのペアのことも指しているが,物語の中では大地の父と母の夫婦のきずなを表す言葉としても登場する。

この物語の中軸は間違いなく,スポーツ物だ。だがかつてのスポーツ物で,チームメートたちが目指すものは試合で勝つことに統一されていたように思うが,現代で重要なのは多様な価値観だ。

学校のスポーツクラブなので,大会を目指す人もいれば,その時間楽しくスポーツをできればいいだけの人もいる。そうしたことをハッキリと口にできるか?そしてそうした他人の考え方を容認できるか?それが多様性だ。

ラストシーンで,主人公の大地が立っている場所は,冒頭に想像した場所と同じかも知れない。けれども大地は,いろいろな悩みを乗り越え,他の人の考え方知ってから,そこに立っている。

こうして見ると,作者の吉野万理子って,なかなかポイントを押さえた巧みな作家なのかも知れない。残りのシリーズも楽しみだ。

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イラストは宮尾和孝だ。130ページはなかなかの迫力。









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Last updated  2010.05.22 17:32:14
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