螺旋の白昼夢日記

螺旋の白昼夢日記

January 12, 2004
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 いつも読みかけては中断しているのが、セルバンテスの『ドン・キホーテ』である。

 名のみ知られて読まれざる名作のひとつだ。いつかは読破したいと思っている。

 このセルバンテスに「ガラスの学士」という短編(岩波文庫『セルバンテス短編集』所収)がある。
 主人公は自分の体がガラスになったと思いこんでいる学士。
 ところがこの狂人は、なぜか人気があり、いつも取り巻きがついている。
 そして、取り巻きのあらゆる質問に、気の利いたピリカラ毒舌で答えてみせるのである。
 現代でいえば、ビートたけしのような人なのだ(少し違うかなあ)。

 思うに、ビートたけしから「狂」の部分を取り去ってしまったらただの人になってしまうだろう。

 ビートたけしは、やはり「狂」の人でなければならない。

 『論語』子路篇には、「中行を得てこれに与(くみ)せずんば、必ずや狂狷(きょうけん)か」の言葉がある。
 付き合うなら中庸の人がいいが、それが見つからなければ次善の策として「狂」の人と付き合うのがいい、というのである。
 ここでいう「狂」の人とは、進取の精神で、とりつかれたように前に進もうとするが、手足がついていかない者のことだという(呉智英『現代人の論語』)。
 つまり、もの狂おしく、常に前に突き進もうと必死になっている者の姿が思い浮かぶ。
 私にとっての、ビートたけしとは、このような人だ。

 全然、話がそれてしまった。
 セルバンテス「ガラスの学士」の主人公も、狂気が治ったとたん、ただの人になり、それでもついてくる取り巻きから逃れようと戦士への道を選ぶのである。

 それにしても、体がガラスになってしまうという着想、やはりセルバンテスはただ者ではない。





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Last updated  January 12, 2004 02:24:48 PM
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