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2004年06月17日
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テーマ: 中国&台湾(3345)
カテゴリ: カテゴリ未分類
 北京の朝はひんやりとやさしい。今日は6時に起きた。ウランバートルに向かう列車はここを7時40分に発つ。あわただしく準備をして、北京の街に別れを告げた。出発の瞬間、制服に身を固めた車掌が各車両ごとに整列し、発車のベルが鳴り終わった瞬間に、一糸乱れず、そろって列車に乗り込んだ様は、何かの儀式を見ているようで、目に焼き付いた。

 僕は今回、軟臥車を選んだ。少し失敗したと思った。何しろ僕の車両には僕のとなりの部屋に、東洋系アメリカ人の4人組みがいるだけで、他には誰もいない。僕は4人用のコンパートメントを一人占め状態だ。はっきりいって寂しい。帰りは絶対に硬臥にしようと固く心に誓う。

 列車はのんびりとしたスピードで進む。あたりの景色は深い緑から、薄い緑、そしてついには茶色い世界へと姿を変えていった。列車は思い出したように小さな街に止まっては、何人かの乗客を拾っていく。けれども彼らは決して軟臥には来ない。この列車は、ここが中国かと疑いたくなるほど新しくてきれいで、だから硬臥だって十分に快適そうだ。

 いつしか、隣の集団と言葉を交わすようになった。彼らはキリスト教の集団で、僕にしきりにキリスト教の布教をしようとする。退散する機会を失った僕はいつの間にか聖書と彼らがくれたM&Mチョコレートを手に握らされていた。これからの旅は、宗教の移りかわりを感じる旅でもある。だから僕は、そのバイブルを鞄の中に仕舞い込んで、思い出した時に少しずつ読むことに決めた。

 空はその青さを増してきたようだ。立体的な雲が浮かぶ。太陽がだんだんと僕らの近くに降りてきて、そして山の向うに消えていった。羊飼いたちは、僕らに向かっていつまでも手を振っている。僕は彼らにわかるように、出来るだけ大きく手を振りかえす。これもきっと一つの出会いだ。

 太陽の姿がようやく見えなくなり、暗闇があたりを支配しはじめた頃、列車は国境の街に滑り込んだ。係員が列車に乗り込んできて、さほど厳重でもない審査を簡単に済ませた。そのあと列車は工場のようなところに入り、台車の交換作業を開始する。この駅には3時間も停車する予定で、乗客も一度降りることが出来るのだそうだが、僕は、タイミングを逃して、そのまま工場まで連れて行かれてしまった。モンゴルと中国では線路の幅が違うので、台車を取り替える必要があるのだ。一両一両を切り離して、それぞれの客車を固定する。そしてそれをわずかだが持ち上げて、下の車輪の部分を引き出し、それをクレーンで持ち上げて新しいものと交換した。その一連の作業は見ていて、それはそれでなかなかおもしろいものだった。

 2時間ほどかけてその作業をした列車は、また国境の駅に返ってくる。そして、その駅で食事などを楽しんでいた乗客を拾っていく。僕は車掌に何とか交渉して、駅のそとの売店に行き、やっとのことで、夕食を調達した。もう11時をまわっていた。駅を離れると、列車はモンゴルとの国境を通過した。国境には高さ1メートルほどの柵がつづいていた。その先の暗闇の中にボーっとモンゴル側の国境の駅が見えてきた。

モンゴルの入国検査官が僕の車両にやってきて、入国のスタンプを押してくれる。日付はもう18日になっていた





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最終更新日  2004年06月17日 13時44分38秒
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