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2004年06月20日
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テーマ: モンゴル!(22)
カテゴリ: カテゴリ未分類
 北京に帰る列車のチケットを購入するのにも難なく成功して、今日は郊外の草原にあるゲルに向かう。といってもそこへ行くのは5時過ぎらしい。10時まで明るいこの国では、5時は充分真昼の範疇に入ってしまう。その間街をふらつこうかとも考えたが外の暑さに参ってしまい、おとなしく部屋にいて「モンゴル語」ととりとめのない会話をしていた。彼は少し絵をかくらしく、パステル技法という代物を見せてもらったりしていた。

 5時になり、フロントガラスにひびが入り、窓が閉まらないオンボロ車で50キロ程先のゲルの村に向かう。何故か「おしゃべり」も一緒だ。彼は相変わらず旅のパートナー探しに必死で、今、ゲルにいる日本人青年一人を口説きに行くのだとはりきっていた。その青年とは中国で何度か一緒だったらしい。車は最初きれいな舗装道路を進み、それからでこぼこに穴のあいた舗装道路を進んだ。しばらくいくと、道路の舗装も途切れ、更にはその道すら無くなった。そして、その先に白くて丸いゲルが6軒見えてきた。そこが今日から4日間僕がお世話になるゲル集落である。

イドレーからいろいろとゲル生活の注意事項を聞かされる。
「あそこにある水は神聖なものだから、使っちゃいけない」
「トイレはこのゲルの裏手から全部だ。好きなところでしてくれ」
「腹が減ったらこの老女に言ってくれ。何か作ってくれるから」
「馬に乗りたくなっても、この老女に言ってくれ。ガイド付きでその辺を案内するよ」
「この辺一体を歩くのは構わないが、ゲルが見えなくなるところまでは一人でいかないこと」
などなどだ。ただっぴろい野原で、野糞を決め込むのには、少し抵抗があったが、その他はとくに難しいことも無く何とかやっていけそうだ。「おしゃべり」はゲルに滞在している青年を口説くのに失敗したらしく、すごすごとイドレーと一緒に帰っていった。



 この集落にはゲルが6つあり、そのうち2つが僕らのような旅人に対して開放されている。そして残り4つのゲルに4つの家族が生活していた。ゲルの入り口はすべて南を向いており、北側に3つのゲルが2メートルくらいのせまい間隔で並び、南に150メートルほど行ったところに、もう3軒のゲルが50~100メートルくらいの比較的離れた間隔で並んでいる。旅人用の2軒のゲルはくっついて並んでいる北側のゲル2軒で、北側のもう一軒のゲルの住人が僕らの世話を焼いてくれる。僕はその中でも一番西側のゲルを「たそがれ君」と一緒に使うことになった。

 さっそくお腹が減ったので、さっきイドレーに言われたようにその旨をおばあちゃんに伝える。そうするとすぐに夕食の準備をしてくれた。どんなものを食わされるのかちょっと不安に思っていたが、予想に反してとてもうまい。ご飯の他にもジャガイモと人参、それに牛肉をいためて塩、胡椒で味付けしたものが出てくる。これはここでの食事もこれから充分に期待が持てそうだ。

 飯を食ったら早速南にある3つのゲルに遊びに行く。真ん中のゲルに行くと、中に案内され、ヤギの乳で煮出した塩っぽい味のするお茶をいただいた。この集落には子どもが7人いて、その子供たちは恥ずかしそうに、けれども好奇心いっぱいの目で僕の方を見ていた。隣のゲルから30歳のカンバさんがやってきて、うちのゲルにも来いと僕をさそう。そこでは馬乳酒とウオッカをいただく。馬乳酒はすっぱいがなかなか僕の口にあう。ウオッカはもちろん僕の口にあう。この馬乳酒はまだ造っている途中なのだそうで、おばちゃんが一生懸命長い棒で大きなカメに入っている馬乳酒をかき混ぜていた。なんでも毎年7月中旬に行われるモンゴル最大の祭り「ナーダム」で皆で飲むために造っているのだそうだ。「ナーダム」では馬のレースやモンゴル相撲が行われる。この集落からも馬レースに出るのだそうで、ナーダムの話になると皆の目の輝きが変わった。

 ところで彼らは写真が大好きだ。ゲルに入ると左右にベットがあり、真ん中にはストーブがある。そして、正面の一番目立つところに決まって写真が飾ってある。カンバさんのゲルに行くと、その飾ってある写真以外に、アルバムに収められた膨大な写真の束を見せられた。それならば僕もみんなの写真を撮りましょうと、カメラをとりに自分のゲルに帰る。そして、もう一度カンバさんのところに行くと、あたりはもう大騒ぎになっていた。集落中の人々がいつのまにか集まっており、さらに皆急いで自分の持っている一番良い服に着替えている。準備が整ったところで撮影開始。僕が持っているのはデジタルカメラで、撮った写真をその場で見せることが出来る。2枚撮ったところでこの映像を見せてしまったのが最後。みんな狂喜乱舞し、今度はここをバックにしてだの、兄弟二人で撮れだの、その後、40枚以上の写真を撮らされるハメになった。デジタルカメラはフィルムを必要としなくて、本当に良かったと思った。

 撮影が一段落すると、子供たちが何かを突然叫んで、一番東側のゲルに消えていった。どうしたのかと訊ねるとテレビなのだそうだ。そう言えば一番東側のゲルの前には「北の国から」がまだ連続ドラマだった頃活躍していた風力発電のプロペラみたいのが回っていた。そのゲルだけは電気が通っているのだそうだ。彼らは夏の間はゲルで生活しているが、冬になるとウランバートルでアパートを借りて住んでいるのだそうだ。モンゴルのゲルでの生活スタイルもどんどん変わってきているようである。





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最終更新日  2004年06月21日 13時52分54秒
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