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2004年08月03日
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テーマ: 中国&台湾(3345)
カテゴリ: カテゴリ未分類
 重い荷物を呪っていた。この重い荷物が僕の肩と腰にずっしりとのしかかる。僕らは峠の坂道を歩いて登っていた。この先いったいどうなるのかわからない。けれども、日が暮れるまでに何とかしなければいけない事だけはわかっている。ただ、僕の心に、不思議と不安感は無かった。

 旅に出て、80日が経った。実はこの80日目と言うのは僕にとって記念するべき日にあたる。僕は前にも一度世界一周旅行というのをしている。その時は今回のルートとはまるっきり違って、横浜から船でロシアのウラジオストックへ、その後シベリア鉄道を駆使して、ロシアを横断し、東ヨーロッパから西ヨーロッパ。パリからニューヨークに飛び、サンフランシスコから東京というコースだった。そしてその全行程が79日間だったのだ。だから、今日、80日目というのは、僕にとって未体験ゾーンへの突入というわけなのだ。

 貧しい旅立った。金銭的にもそうだったが、僕の中に余裕というものが無かった。だからいつも気をはっていて、誰か現地の人が近づいてくるたびに、こいつは俺を騙そうとしているのではないかと思い、いつも邪険に扱っていた。知り合った日本人とばかり一緒に行動していて、そんな狭い日本人社会の中でも、尖がって、虚勢をはっていた。後悔の多い旅だった。けれども、そんな経験があるからこそ、今回の旅があるのだと思う。以前旅をした時は79日も旅をしたと思っていたが、今回この79日間を振り替えるとあっという間だったような気がする。けれども密度の濃い、良い旅をしていると自信を持っていえる。今回の旅はこれからまだ先が長い。けれどもいつもどこかに心の余裕を忘れないでいたいと思う。

 さて、そんな記念すべき一日は旅を始めていらい二人での移動となった。パートナーは言うまでもなくもうザンギリ頭ではない、「ザンギリ君」である。そしてそんな一日の締めくくりに、僕らは峠道を見知らぬ中国人一人と三人で歩いて登っていたのだ。もうそろそろ一時間になる。

 中旬を定刻に出発したバスは順調に卿城を目指した。途中壁のように立ちはだかるあきらかに富士山よりは標高の高そうな山々を眺めながら、例によっていくつもの峠を越えた。チベット人にとって峠のてっぺんというのは神聖なものらしく、そこに差し掛かるたびに、後ろのおじちゃんはなにやらお祈りを始めた。最初満席で出発したバスも、途中で人がどんどん降りていき、ガラガラ状態になる。今日のバスはいつも乗っていたミニバスと違って、大型バスだったので、人が少なくなると広く席を使えたので、とても快適だ。

 さて、もう一時間ほどで卿城に到着でしょうと言うところで、事件は起こった。というのは、連絡の不行き届きなのか、中国ではそもそもそういう事が当たり前なのかは解らないが、いきなり目の前の道の左半分が無くなっているのだ。というのは、工事の人が道の左半分を掘り返してしまっているのだ。その先はすぐ川になっていて、右側には大きな木が生えている。これでは大型バスは通れない。バスの幅と道の幅を計ると、わずかだがバスの幅の方が小さい。けれどもその道が半分無くなっているところを越えるとすぐにカーブしなくてはならなくて、それが大きなネックとなる。

 それでも道の端っこを木や石で補強したり、窪んでいるところを土でうめたりしてバスは何とかそこを通ろうと試みた。2回試みて、2回目はあとわずかで後輪がその細いエリアを通過出来そうになった。ところが、やはりカーブすると後輪が掘り返した穴に落ちてしまいそうになる。あきらめたドライバーは僕らに一人5元づつを返して、後は自分らで何とかしてくれとさじを投げてしまった。

 そういう訳で僕らはしょうがなく峠を歩いて登っているわけだ。ここから卿城までは27キロあるのだそうである。一人の中国人が俺に付いて来いという感じで歩き出したので、僕らも慌てて彼に着いていく。時間は6時。あと2時間ほどであたりは暗くなる。だからそれまでに卿城とまではいかないが、どこかの村に着く必要がある。急がなければいけないのは分かっているのだが、僕の荷物はとても重く、だからどうしても歩みはのろくなってしまう。それでも坂道を下っている時は良いのだが、上り坂になるともうどうしようもない。

 何台か追い抜いていくジープをヒッチハイクしようとしても、みんな冷たく無視していく。なんだか「ドロンズ」や「猿岩石」の苦労が分かるような気がする。身軽で、本来この辺に住んでいるので薄い空気にもへっちゃらな中国人の彼と、僕との間の差は広がるばかりだ。もう、バックバックの中に入っているいろんな物を捨てたくなってきた。そんな疲れた僕の様子を察して、ちょっと休もうかと彼は言ってくれた。歩きはじめて既に1時間が経っていた。岩の上に座って、なんとか息を整える。その時に後ろに人をいっぱいのせたトラックがやってくるのが見えた。手を挙げると、5元で行ってくれるそうだ。助かった、これでなんとか卿城までたどりつけそうだ。



 もう何でもよいので、とりあえずみんなで飯を食いに行った。他愛のない話で盛り上がって、10時過ぎに宿に帰ってきても、まだバスは到着しない。これは明日もバスが出ないかもしれないなあと思っていたところ、10時半過ぎに理糖からのバスがようやく到着したという情報がはいった。明日はまた早起きだ。





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最終更新日  2012年04月19日 06時58分08秒
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