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2004年08月23日
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テーマ: 中国&台湾(3345)
カテゴリ: カテゴリ未分類
 5時に起こされた。まだあたりは真っ暗で、熟睡の最中だったので、何がなんだかわからない。今日は長距離の移動をするので、早くに出ないと間に合わないと、トンファさんが朝から張切っている。寝ぼけマナコのまま、訳の解らないうちに、僕らはジープに揺られていた。時計を見ると5時43分だった。暗闇の悪路を走るのは少し緊張する。だから、走り出すとすぐに僕の目は冴えてしまった。

 チベットへの旅に出てから、「街が見えてくる」という感覚を実感しはじめた。何も無い草原や山の中を走っていて、前方に建物が見えてくると何故か安心する。ようやくあたりが明るくなり始めた、7時頃、色札の街が見えてきた。ちょうど皆が起きだして、朝の煙を煙突から吐き出しているところだった。朝もやの中のこんな光景は、まるで絵画の世界のようだ。大連から丹東に向かう列車の中で見た光景を思い出した。その色札の街を、ジープは猛スピードで通過してしまった。

 川のほとりで突然車が停まった。温泉が湧いているのだという。確かに川のあたりは硫黄の匂いがして、手を入れるとぬるいお湯が沸いていた。みんなでタオルを持ち出して、手や顔を洗ってリフレッシュする。このあたりから、鳴きうさぎを見るようになった。それまでヤギやヤクそれに馬などはあきるほど見ていたのだが、黒い小さな陰が道路を横断するのを何度か見かける。

 そのうち穴だらけの草原をジープは走った。その穴は全部鳴きうさぎの巣だ。「人民帽」によるとこの鳴きうさぎは日本では北海道の一部にのみ生息していて、天然記念物にも指定されているそうだ。トンファさんに頼んでしばらく車を停めてもらう。そして草原に下りてみると、そんな天然記念物がいたるところにうようよしている。穴から穴へと猛スピードで走り抜けて行くさまがとても可愛かった。けれども空には大きな鷹が、そんな獲物を狙っていた。

 そのあとそんな鳴きうさぎの草原を車は何時間も走った。良く見ると穴の中からこちらの様子をうかがっている。一度は道の真ん中で昼寝をしている鳴きうさぎがいて、危うくジープに引かれるところだった。このあたりには、鳴きうさぎの他にも珍しい動物が沢山居た。濃紺の色をした、カラスよりも少し小さ目の鳥や頭が白く、尾が黒いすずめ大の鳥が印象に残った。エンジンを冷やすために川のほとりで水を汲むために止まった。そうするとそこには子ヤギの群れがいて、トンファさんが一匹捕まえてみせてくれた。

 昨日は山の緑や土の茶色に目を奪われていた。けれども今日は青だ。空が青い。そしてその光りを反射してか、川の水が深い藍色をしている。峠の上からみた、真っ青な川は、まるで絵の具を流したような色をしていた。ちなみに今日も3つの峠を越えた。最初と最後の峠の高さはわからなかったが、2番目に越えた峠は4860メートルだった。壁はラサまでいくつ用意されているのだろうか?

 色札の街から更に5時間半かけてようやく次の街、雅安多に到着した。それまでは小さなテント村をいくつか見かけた他は、街らしい街を見る事はなかった。そしていいかげんお腹を空かしていた僕らは、なんとか街の小さな招待所を発見して飯を食うことにする。けれどもそんな小さな街にろくなメニューがある筈も無く、カップラーメンと硬いドーナツのようなパンを腹に収めた。バターの入っているチベット特有のお茶がおいしかった。奉仕してくれた女性は、民族衣装を着ていて、長い髪にはさまざまな石のような飾りをつけていた。奇麗だなと思ったとともに重たくないのかなとも思った。招待所の前で、うろうろしていると、暇そうな男達が集まってきた。僕らを見て「香港人か」と言う。面倒くさいので、そのままそうだと言っておいた。

 雅安多からはしばらく街が続いていた。といっても次の巴青の街まで50キロ、それから今日宿泊する事になった索具の街までそれから30キロの距離だ。その間は思い出したようにテントが出現するほかは、果てしなく草原が続いている。もちろん鳴きうさぎ付きだった。空気がとてもおいしい。草と高山植物の匂いがとても気持ち良かった。川は相変わらず、深い藍色をしていた。流れの穏やかなところでは、鏡のように山や空、それに雲を写していて、それがまたなおさら感動を誘った。

 4時頃、索具の街に着いた。ここも人口何百人かの小さな村だ。街の外れに古いチベット寺院が見える。食事を取って少し休んだ後、一人でこの町外れのチベット寺院を歩いて目指した。チベット寺院は丘の上にあって、ゆっくり歩いて登ったつもりなのに、息切れがし、動悸が激しくなった。改めてここが高山である事を思い知らされる。チベット寺院の前で、談笑している年老いたお坊さんに、中を見せてもらいたいことを伝える。けれども今日はもう時間が遅いので、明日来てくれと体好く追い返されてしまった。中の壁画を見れなかったのがとても残念だった。そのあと訪れた「人民帽」も結果は同じで、僕の前例があったものだから、あっさりと追い返されてしまったそうだ。






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最終更新日  2012年04月07日 17時44分58秒
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