レインボーブリッジ

レインボーブリッジ

February 19, 2006
XML
断筆宣言後の作品。後の二つは少女が主人公であり、少年少女向けでもある。最初の二つは、身体障害者が主人公ないし主役級重要人物として出てくる。そして全ての作品に老人が主人公ないし主役級重要人物として出てくる。別に意識してこの三冊を選んだのではなくて、久しぶりに筒井を読んでみようかと手に取った物がたまたまそうだっただけであった。小学生の時「時をかける少女」をきっかけに筒井作品を読むようになり、中学時代でほぼ当時の出版物の90%を読み、残りを高校時代に読んだ、というくらい、結構読んでいたが、断筆宣言少し前からあまり読まなくなってしまった。(継続して購入した)最後に買った本は「旅のラゴス」だったかもしれない。この本も結構好きだ。

今回の3作品は、「完成度」という点では明らかに過去の作品を上回る出来であり、読みやすく一気に読んでしまった。上にも書いた「身体障害者」「老人」をクローズアップしているという点でオジリナリティがあるし、文章全体に漂う筒井調も健在で、一見少年少女向けでありながら強烈な個性を放っている。相変わらず人物のキャラ設定が画一的で薄く、記号化されているが、それすらも今や筒井流個性の表現の一つなのだろう。言葉の効果などを計算し尽くした日本語は、違和感で引っかかることなくすらすらと先に読み進める力がある。教科書に採用されるのも当然かと思われる。意識的に身体障害者を取り上げるのは、教科書に採用されたくないためじゃないか、と言う人もいたが、私は逆に、採用を狙っているのではないか、とすら思うのだ。スラップスティックではないこういった作品で、身体障害者を馬鹿にしたり、不憫な情を示したり、過剰に腫れ物を扱うような感じにすることなく、「片輪」や「びっこ」という言葉が文学的に必然性のある無くしてはいけない言葉であることを示したかったのではないか。もしこれが教科書に採用されれば、それが筒井の勝利なのだ。少なくとも、教科書に採用されてもおかしくない、自然な言葉そして小説だと皆が感じればそれでいいのだろう。

ただ、そういう思いが強すぎて、身体障害者と老人が前面に出すぎていると感じるのは決して穿った見方では無かろう。そこまで読者が悶々と考える、ということころまで計算していて、そのこともこれらの作品の強烈なオリジナリティ、個性だと言われればお手上げ、やられた感がある。しかし、意地悪く言えば、スラップスティックではない小説で用心深く計算し尽くしてこれらの一部差別用語といわれる言葉を使わなければならないことを筒井に強いている現状は、十分言葉狩りが行われている状態なのだ。

内容について全く書いていないことに気づいたが、それらは以下のリンクからレビューを見てください。

ヘル 愛のひだりがわ わたしのグランパ








お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  February 20, 2006 05:38:21 AM
[その他(車・ゲーム・書評等)] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

×

Keyword Search

▼キーワード検索

Archives

October , 2026
September , 2026
August , 2026
July , 2026
June , 2026

Comments

ryumia @ Re[1]:α700で撮る水中写真(07/29) とみやん33さん 底の部分だけ海水がつ…
とみやん33 @ Re:α700で撮る水中写真(07/29) 水中写真とはまたプロのお仕事って感じで…
ryumia @ Re[1]:α700で撮る水中写真(07/29) + えびせん +さん 噂に違わず魚は多いし…
+ えびせん + @ Re:α700で撮る水中写真(07/29) 魚が多いですね~~ カメラも人も水中撮…
ryumia @ Re[1]:ウォータープルーフXacti DMX-CA8(06/29) totoronsさん >なんだか恐ろしいw 恐…

Favorite Blog

マスタリーの道 tradorさん
遊びの時間 morehappyさん
株とワインと家庭菜園 やっぱ空売りだよねさん
!!逆転満塁ホーム… とれんどまんさん
株式投資必勝のテク… ガン360さん

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: