笑ったり怒ったり・・・

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2026年09月26日
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カテゴリ: 本・書籍
2026年9月25日(金)

シルバーウィークに入る少し前から、背中、首の付け根あたりに痒みを覚えるようになりました。
最初は虫刺されかと思ったんです。
で、ウナコーワを塗って対処していました。
でも、シルバーウィークの間​に、どんどん痒みが広がって、やがて背中に線状のぶつぶつができてしまいました。

で、本当は昨日皮膚科に行こうと思ったら、なんと木曜休診。
仕方なく、今朝診察を受けに行ってまいりました。

シルバーウィーク+休診日明けということもあり、ものすごい患者さんの数。
こんなこともあろうかと、しっかり本を持ってきていましたので待つのは平気。

615ページの長編です。
冤罪について深く考えさせられる作品です。

実は再読。
数日前にBSで映画「正体」を放送していて、それを見て衝撃を受け、もう一度読み始めたというわけです。

2019年3月3日、護送中の殺人犯で死刑囚の「鏑木慶一」は脱獄します。
鏑木慶一は、まだ19歳。
若い母親と2歳の子を殺し、勤めから帰ってきた夫をも殺した殺人犯。
世間は、まだ未成年の殺人犯の脱獄に騒然とします。

その後、警察の必死の捜査にもかかわらず、鏑木慶一を捕らえることはできません。
この小説は、その鏑木慶一が名を変え姿を変え働きながら逃亡を続ける様子が描かれています。
小説を読んだときには、恐ろしいお話だとしか思わなかったのに、映画では横浜流星さんが演じる5つの顔を持つ逃亡犯が生身の人間として目の前に現れました。


横浜流星さん演ずる5つの顔を持つ逃亡犯の姿です。



プロローグは、どうやって脱獄をしたのかが描かれています。

一章は、脱獄から455日。
「桜井翔司」と名を変え、我孫子市にあるグループホームで介護士として働く鏑木慶一。
そして、2017年10月13日に発生した、井尾洋輔・千草夫妻とその子俊輔2歳の殺人事件のことが描かれます。


二章は、脱獄から33日。
牛久保土木で、ベンゾーと呼ばれる青年「遠藤雄一」として働く鏑木慶一。
現場で怪我をした仲間が、労災申請もされず、会社側から治療費も出ない。
ベンゾーが会社側と交渉し、お金を出させます。
ベンゾーは、六方全書を読みこんでおり論理で会社の担当者を従わせたのでした。

あ、私も建設会社に勤務していたことがあり、労災申請をすると元受け会社に嫌がられるからと、下請け会社は申請すらしないという話をたくさん聞きましたから、これは今も日常的に土木建設の現場で行われていることなのでしょうね。

三章は、脱獄から117日。
メディアトレンダーズという情報誌の在宅ライター「那須隆士」として働く、鏑木慶一。
社員の年上の女性「安藤紗耶香」の家で、一緒に暮らし始めます。
安藤紗耶香は、鏑木慶一が愛した唯一の女性。

四章は、脱獄から283日。
長野県菅平のスキー場の山喜荘というペンションで働く、鏑木慶一。
今回は、「袴田勲」と名乗っています。
そこには弁護士でありながら痴漢と間違われ冤罪を受け、弁護士でいられなくなった53歳の「渡辺淳二」が働いていました。
スノーボードが好きで、冬の間だけ山喜荘で働く明るい女子「亜美」
その「亜美」が滑りに行って戻ってこないことに気が付いた山喜荘で働く仲間は、夜のスキー場に捜索に出ます。
その時、的確に指示を出す「袴田勲」
警察への連絡も仲間たちに指示。
危ういところで「亜美」は発見され、命が守られます。
でも、もう山喜荘に「袴田勲」の姿が戻ることはありませんでした。

五章、脱獄から365日。
ミノリ製パンの工場に、「久間道慧」として勤務する鏑木慶一。
「救心会」という新興宗教の会員の「近藤節枝」と「笹原浩子」は同僚。
二人は、オレオレ詐欺にねらわれてしまう。
入信するふりをして「救心会」に近づく「久間道慧」
そして二人に「救心会」は宗教のふりをして信者から個人情報を得、それを詐欺に使っていることを伝える。
「救心会」に、警察の捜査の手が入る。
「笹原浩子」は、ただ一人の目撃者で生き残りの「井尾由子」の姉。


六章、脱獄から488日。
一章の有料グループホームに話は戻ります。
その有料グループホームには、3人が殺された事件の唯一の生き残り「井尾由子」が入所しています。
「井尾由子」を、姉の「笹原浩子」はときおり見舞いに来ています。
鏑木慶一は、危険を冒してまでなぜ井尾由子に近づくのか?


七章、正体。
エピローグ、白日。
ここは書けません。
でも映画を観た後で読むと、一つ一つの場面がより鮮やかに浮かび上がってきて、日本の司法制度や警察のメンツがどれほど冤罪を生んでいるかを考えさせられます。
辛い結末が待っています。

私たちがその立場になってしまったらと考えると空恐ろしく、そして冤罪で命を落とした人もいるんだという現実を考えさせられます。
染井為人さんは、「正体」を書いた作者として、この先の未来に悲しい間違いが起こらないことを願うばかりだと、結んでいらっしゃいます。
読み応えのある作品でした。
鏑木慶一を演じる横浜流星さんの抑えた演技。
それが、逃亡者として生きる鏑木慶一の無念を際立たせます。
原作も映画も、素晴らしい作品でした。





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最終更新日  2026年09月26日 04時19分44秒
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