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4月の声を聞いたとたん、なぜか急に食べたいものがあった。それは単身赴任(山形)で離れて暮らしていた夫が、昨年の春体調を崩し、再検査をするために上京したおり、なんと「蕗みそ」を作って持ってきてくれたのだった。身体のさぞや辛かった時だったろうに…。
2ヶ月ぶりに見た夫は激やせはしていたものの、まさか!僅か1週間の検査入院が「肝臓癌の末期で余命1ヶ月」と宣告されようとは、誰もが想像だにしなかったこと。夫のたっての希望で10年間暮らした田舎に行き、短い闘病生活の末に夫は帰らぬ人となってしまったが、それから「蕗の薹」の苦みは夫の味となった。
先日贈り物をしていただいたばかりの夫の姉に「蕗の薹」がどうしても食べたい!とたのんだ。「まだ雪があるけど探してみる」と言っていたが、早速送ってくれた。懐かしい田舎の品々が届き、その中に姉の作った「蕗みそ」も入っていた。
私は「蕗の薹」の天ぷらを作ることにした。天ぷらの衣は「卵を入れないで酢を少し入れるとぱりっと揚がるよ!」姉は料理が上手で「おいしく作るコツ」をなんでも知っている。
姉の「蕗みそ」のレシピは、「蕗の薹を一晩水に浸けゴミをとる→きれいな水に半日浸ける→熱湯に重曹と蕗の薹を入れ(さっと茹でる)→ひと晩水にさらす→水分が無くなるまで堅く絞って細かく刻む→酒、みりんで炒め→砂糖は隠し味に少し→弱火で蕗の薹と味噌を混ぜ合わせる→好みで一味唐辛子を使ってもおいしい」とのこと。
私の作った蕗の薹の天ぷらも姉のおいしい「コツ」のお陰だから、当然ながらぱりっと仕上がり、とてもおいしい!!。蕗の薹の天ぷらがこんなにおいしくて、蕗の薹を食べてこんなに落ち着くなんて、年を重ねた証拠だと思うけれど、蕗の薹は、料理が趣味だった夫の最後の味だったから…。姉さん、有り難う。
はるかなる風を覚ましてふきのとう 小野口繁(新版・俳句歳時記)所収
