りらの徒然日記

りらの徒然日記

2005年09月25日
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カテゴリ: 短歌
 昨日は、ライオンズの劇的な勝利に思いっきり酔って、その後、お友達に誘われた短歌のイベントに出かけました。
 で、帰ってきたのが23:30頃。
 それから、よせばいいのに、またあの興奮を思い出して、ひさびさ、チョー興奮&長文日記を書いてしまったので、寝るのがめちゃくちゃ遅くに…。

 なのに、今日は、8:00過ぎには目が覚めてしまいました(苦笑)
 どうして??
 前にも書きましたが、例の完徹以来、すごく早く目が覚める日が未だに続いています。

 前振りが長くなりましたが、ここのところ野球ネタ炸裂状態で、短歌のことをちっとも書いていなかったので、久しぶりに書いてみようかな、と思います。

 最近、大口玲子さんの『東北』という歌集を読み直してみました。
 最初に読んだ時も、ぐっと惹かれるものがある歌集だと思いましたが、時間をおいて改めて読み直してみると、最初に読んだ時とはまた違う感慨もあったりして、いいですね。

 私も、同じような(と思われる)病気でずっと苦しんできたものですから、余計にそう思うのかもしれません。
 大口さんの歌は、主観と客観のほどよい混ざり具合がいいのだろうな、と思います。
 特に、つらい体験を歌にする時は、主観ばっかりでは読者がついていけなくなってしまうでしょうから。
 一歩離れて自分を、状況を見つめることで、却って心情がよく伝わってくる、当たり前のことかもしれませんが、そういうことを改めて実感させてくれました。

 例えば、こういう歌が好きです。

打ちあげられ打ちあげられて海岸によこたはる我か点滴終へて

ひとり部屋にひとりとなれば「患者」とふ肩書きのみにてすべて事足る

「大丈夫」と言つてしまつてから不意に雪より冷えて泣く我がゐる

 三首目なんか、ものすごく共感できますね~!
 「不意に」という言葉は、短歌では安易に使ってはいけない、とよく言われるのですが、この歌ではすごく生きていると思います。
 二句目から三句目にかけての句またがりのリズムも、「不意に」という言葉を持ち出す上で効果的。

 自分の状態を雪と対比させたことで、質感がよく現れていると思います。
 結句が「我がゐる」で終わっているのも、泣く自分と、それを上から見ている自分とがいるような、ちょっと不思議な感覚にさせてくれます。
 そういう不思議な感覚にさせられることで、作者の不安感が、実感として共感できるものになっているように思われるのです。

 そして、もう一つ思ったのが、旧かなって魅力的! ということです。
 大口さんの歌は、旧かなの魅力を存分に生かし切っているように思います。


 理由は単純で、「自分が普段使っている言葉こそが、自分を一番うまく伝えられる」と思っているからです。
 何というか、身の丈にあった歌を詠んでいきたいという感じかな。
 その考えは、今も変わらないし、当分変わることはないと思います。

 でも、こういう旧かなの魅力たっぷりの歌集を読んでしまうと、かなりぐらぐらきてしまうんですよね(笑)
 旧かなには、旧かなでしか表せない微妙なニュアンスというものがあると思うので。
 例えば、こんな歌。

夕雲の質感があるくるみパンちぎつて食べて逢ひにゆくなり

言ひ得しやどこか壊れてゐるやうなみづの器の紫陽花に雨

 一首目の「ちぎつて」「逢ひに」、二首目の「ゐるやうな」など、旧かなならではのしっとり感、落ち着き具合が出ていると思います。
 これが「ちぎって」「逢いに」「いるような」だったら、ちょっと軽すぎてしまうような気がします。

 ま、今の自分では、旧かなのニュアンスは使いこなせないだろうし、先に挙げた考えは変わっていないので、これからも新かなで読み続けるとは思いますが。
 でも、旧かなの素晴らしい歌にもっともっと出会いたいな、と思うのも事実です。







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最終更新日  2005年09月25日 11時00分32秒
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