松尾大生の独り言

松尾大生の独り言

2011.02.11
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十年ちょと前、まだ、独身の頃、今の息子の実の母親と、まだ結婚する前、……彼女と札幌の琴似の街を歩いていた。

今の妻がそばにいるのに、……ハッと息を呑むような、スタイル抜群の妙齢の美人と目が合ってしまった。ハーフのような顔立ちの、若い頃のジォディー・フォスターそっくりの美女。琴似のモスバーガーの店の前あたりだ。美人は声をかけてくれ、……という合図を目線で送ってきた。ところがそばに、今の妻がいた。……俺と美人が、目と目で会話しているのに気がついた今の妻が、怒り始めたから、さすがに美人に声をかけることはできなかったのだが……。

ちょうどその時、モスバーガーの横の路地で、二十代半ばくらいのガラの悪いチンピラ風の男と、その彼女らしい二十代前半くらいの女性が激しく口論を始めていた。

挙げ句、ガラの悪い男は、自分の彼女に、暴力を振るい始めていた。殴る蹴る。髪の毛を鷲掴みにして、地面を引きづり回していた。

俺は美人が去って行くのを指をくわえて眺めつつ、暴力男も観察していた。

(暴力はプレイ中だけにしておけよ)

と内心、舌打ちしていたら、やはり、横から暴力男を見ていた今の妻が、

「助けてあげて……」

と、俺にいう……。



「クォラッ、やめろ……」

と低音でドスをきかせてカツを入れた。俺は今でこそ温厚な中年オヤズになったが、当時はまだ、外人等とのストリートファイトで鍛えたドメスティックな迫力が残っていたのだ。我ながら、迫力のある兄ちゃんであったとおもう。

暴力男は、ビビって自分の彼女に暴力を振るうのをやめて、

「すんません」

と俺に謝ってきた。

「ボンズこら、謝る相手がちがうだろう?」

と、今の妻が見ていたので、本当は、さっきの美人のことで頭が一杯の癖に、格好をつけて、良い人のふりをしていたら、暴力を振るわれていた女の子が四つん這いになりながら、俺のことを見上げて、すがるような表情で凝視していた。あの時の涙でグチャグチャの顔が忘れられない……。

解決したし、今の妻にも格好いいところが見せられたから、俺は急いで、さっきのジォディー ・フォスターを探した。もういなくなってしまっていた。ジォディー・フォスターを探している間に、暴力男とその彼女も、消えてしまっていた。

あのカップルは、一時は暴力を止められたが、その後も、暴力の関係は続いたことだろう……。

俺の印象では、だいたい四人か五人に一人くらいの割合で、女性に手を上げる、暴力男は存在していると思う。

ドメスティックバイオレンスは世代間伝播するものだから、暴力男本人も、抑制が利かないと、本で読んだことがある……。各種の依存症と同じなのだ。



俺?

もちろん、合意のもとのプレイ以外では女性に手を上げたことは一度もない。

それどころか、今は妻から、毎日毎日、言葉の暴力を受けている。時には、軽く蹴られたり、パンチされることもある奴隷の生活だ。

妻からの虐待を防衛する為に、区民センターからもらってきたドメスティックバイオレンスの避難所、シェルターのパンフレットを電話の上の壁に貼って、

「いざとなったら、息子を連れて駆け込むからな!」



まあ、俺は、いいんだ。言葉の暴力で常に胃は痛いが、息子からの愛情を人質に取られているから、耐え忍ぶ奴隷の暮らしに甘んじよう。息子、命……。

問題は世間に数多い暴力夫の存在だ。

なぜ、女に手を上げるのだろう。プレイならばわかるけど……。

ドメスティックバイオレンスを振るう男性の自助サークルって、聞いたことがない……。あるのかな? 無いのならば断酒会などをモデルにして、抑制の効かないドメスティックバイオレンス夫の誰かが率先して作るべきだと思う。

ドメスティックバイオレンスの結果、選択肢は二つしかないであろう。治療か、離婚である……。

ドメスティックバイオレンス夫は、刑務所か精神病院にしばらくブチ込んで、頭を冷やさせればいいかもしれない……。

世の女性達よ、結婚前に、ドメスティックバイオレンス男かどうか、見極める目を持って欲しい。

ドメスティックバイオレンス男は、恋愛時代時代は優しいように見えても、結婚してから豹変する奴らが多いみたいだから……。くれぐれも、気をつけるべし。

残念ながら、彼氏の親やその親に、ドメスティックバイオレンス夫がいなかったか、さりげなく上手に尋ねるくらいしかないかな。あと、ドメスティックバイオレンス男の人相。爬虫類系の人相の男には、いくら格好よく見えても注意。井上ひさし氏じゃないが、男は人格が顔に出るから、顔の造作は別にして、品のない男性にも注意。行動や言葉づかいは、いくらでも擬態することは可能だが、人相に現れる品性の汚さ低さは、どんなに美男子でも隠せないもの。

ところが、恋は女性を盲目にさせるもの。判断はおそらく不可能だろう。

できれば彼氏を経験豊富な年輩者に、たくさん会わせて、意見にしっかりと耳を傾けることだ。

気をつけて……。

ところで……。

あのジォディー・フォスターちゃん、今頃、どうしているだろう。いい女だったなァ……。




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Last updated  2011.10.11 03:02:36


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