「先生に来てもらうのに、汚いから掃除してよ」
「お母さんは来て貰わなくていいんだけど、来てもらうの?」と聞くと
「当然じゃん」と言うので、丁寧に掃除した。
先生から電話があったときにもう一度聞くと
「待ってる」
先生がみえて、いつものようにプロ野球の話をしていた。
帰るときに先生が、まだ分からないけれど4月からも来られるか移動になるかは来週分かるとおっしゃた。
息子は
「全然大丈夫でしょう。まだ先生1年だし。去年も移動になったのは、嫌な先生ばっかりだったから、先生は絶対大丈夫ですよ」
と言った。
「それより、いつも自分の方ばっかり好きなこと話ていてすみません」とも。
先生は
「全然そんな事無いよ。R君と話していて、色んなこと教えてもらえて、とっても嬉しいよ」と言って下さった。息子は下を向いてはにかんでいた。
先生が帰ってから、疲れた~としばらく休み、
「先生移動なんてありえないよね」と聞くので
「支援の先生だから他の先生と形態が違うから分からない」と答えると
「あ~ドキドキする。違う先生なんてイヤだな」と言った。
そして何時もどおりゲームをした。
昼を食べた後、仕事中の私のそばで話しかけてた。
「ほんとに小さいことでドキドキするよ。」
「ドキドキするの?」と私。
「俺、もう学校になんて行けるわけ無い。
よくあんな精神状態で学校に行っていたと思うよ。
本当に毎日恐怖だった。
宿題は絶対忘れないように。提出物はきちんと出さなきゃ。
高校は落ちないか心配で。」
「そっかあ。怖かったんだね」
「怖いなんてもんじゃないよ」
「そうなんだ。その上毎日脅されるし」
「え?」
「先生がいつも内申や提出物でプレッシャーかけるでしょ」
「ああ。大きい声出せとか。あいつらホントおかしいよ。牢屋だよ。中学は刑務所だ」
やっと吐き出せたと言う顔だった。
「俺、絶対弁護士になる」
息子はそう言った。
その後心療内科に行った。車から降りて
「Rのしたいようにしていいんだよ。もう病院はいいと思ったら来なくてもいいから」と言うと
「いや、どうせ暇だし、たまにこうやって外に出るくらいは丁度いい」と長男。
「お母さん、もう全然心配してないよ。Rは絶対大丈夫」そう言うと
「え、ずっと心配してよ」と長男。
思わず振り向くと恥ずかしそうに
「あーここ1年前から来てたんだな」とスポーツリハビリの部屋を窓越しに見ている。
「そうだね」
「すごい早い1年だった。こんなに早く過ぎた歳は無いよ」と息子。
「そうだね」頭の中で色々な場面が過ぎる。
「俺にとって中身の無い1年だった」
「そんな事無いよ。いっぱい悩んで苦しんで色んな事を考えてたのをお母さん知ってる」
「俺の心の中なんて分かるわけ無いよ」
「そうだね。分かる訳ないね」
帰りに山に沈む太陽を長男と見た。 
本当に大きな太陽だった。