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Ryu-chan6708

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2006.08.27
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カテゴリ: 読書感想
:探偵トニーは、マフィアに追われているジョニーを14階からサービスエレベーター(従業員用エレベーター)で逃がす手配をしたのは、 その2 でふれたね。
 トニーはジョニーがサービスエレベーターで逃げ、下でレンタカーを借りて逃走するように段取りする。
 そのレンタカーを借りられるように、その旨記入した名刺をジョニーに渡す。
しかし、ジョニーがその通り逃げるかわからない

A氏 :何故?

:それは、 ジョニーは初対面の探偵トニーが自分を逃がしてくれるというのに半信半疑であったからだよ。
 それは、次のジョニーの部屋をトニーが出る両者のやりとりの文でわかる。
 例のごとく、稲葉氏訳を赤字、清水氏訳を緑色、英文を黒字で示す。

トニーはくるりと廻れ右して戸口へむかった。そして肩越しにいった。
『あまりぐずぐずするなよ。色男。こっちだって気は変わるかもしれない
』」


 「 トニーはかかとでぐるりとうしろを向いて、ドアの方に歩き始めた。彼は肩越しにいった。
『あんまり時間をむだにするなよ。おれは気が変わるかもしれないからな
』」


 Tony turned on his heel and started for the door. He said over his shoulder: “Don’t waste a lot of time, handsome. I might change my mind.”

男はむしろ平静な口調でいった。
『現にいまだって、おれを奴らに売っているのかもしれねえしな』
トニーはふりかえりもしなかった。
『それくらいの賭けはやむを得ないさ
』」


男はいった。しずかな声だった。
『いまだって、おれをさすかもしれないんだ』
トニーは振り向かなかった。
『そいつはあんたも承知なんだろ
』」


The man said, almost gently: “You might be spotting me right now, for all I know.”
 Tony didn’t turn his head. “That’s a chance you have to take.”


A氏 :探偵トニーが逃がしてやることをジョニーが疑っているのは、“You might be spotting me right now, for all I know.”でわかるね。
 spot は 目をつける、監視する 、というような意味があるからね。
 for all I knowは「 もしかしたら、ひょっとすると 」という意味だから、確かに、トニーの好意を疑っている言葉だね。
 しかし、That’s a chance you have to takeは「 これはお前が生かすべきチャンスだよ 」という意味ではないの?
 訳の意味とちょっと違う気がする。

:いずれにせよ、 探偵トニーは、ジョニーが彼の提案通りの方法で逃げるかは一抹の不 安を持って部屋を出ているね
この前に日記 のようにエレベーターの準備をして、下のロビーに降りるが、ロビーのラジオ室には、ジョニーの愛人だったイブがいた。
 そこで、ちょっと話している後に、急に次の文が出る。

トニーはぎこちない視線を床に落とした。 小波が背筋をはしった 。彼はそれが消えるのを待った。寒気はゆっくりと去っていった。
そこでまた、ゆったりと椅子に沈みこみ、華奢な指を大鹿の歯のうえに組んだ。
耳をすませていた。 ラジオにでなく―――もっと遠くの、不確かで、ぶきみな物音を聞こうとしているのだった。それはただ、不思議な夜のおくへ走りさっていく自動車の安全な唸りにすぎないのかもしれなかった。
 『ねっからの悪人というのは居ないものでね』と、トニーが大きな声で独り言をいった
。」


彼はからだを固くして、ドアを見た。
小さな波 が背骨をつたわった。彼はそれが消えるのを待った。それはゆっくり消えていった。
それから、彼はおちついて椅子に座り直し、きゃしゃな指でオオジカの歯を握った。
彼は耳を傾けた。  ラジオにでなく―――遠くの、何かわからぬ、恐ろしい音に。あるいは、車が安全に夜の闇に消えて行く音に。
『しんから悪い人間は一人もいない』と、彼は声に出していった
。」


「He looked stiffly at the door and a ripple touched his spine . He waited for it to go away. It went slowly. Then he sat back, relaxed again, his neat fingers clasped on his elk’s tooth. He listened. Not to the radio---to far-off, uncertain things, menacing things. And perhaps to just the safe whir of wheels going away into a strange night.
“Nobody’s all bad,” he said out loud.」


A氏: 最初の出だしの文の訳が両者で差があるね。
 英文通りなのは清水氏訳のほうだね。
 問題は、なんで、ここで 探偵トニーの背骨に小さな波がはしったのだろうかね

:そうだね。
 日本語的には「 ゾッとした 」というような意味だろうか。
なんでゾッとして、それがおさまっていったのか。
 ミステリィであるし、この文の理解のポイントだ。
 まず、君はこの箇所を時間で並べるとどうなると思うね。

A氏 :まず、ドアの方を見て背中に小波がはしる。
 次にリラックスして椅子に座る。
 それから、外の音に耳をすませる。
 そして「悪人はいない」と大声でいう。
 でも、なんだか、この流れの意味がすっきりしないね。

:俺は、君のいう 時間順序を変えた仮説 で英文を読んでみたんだ。
 そうすると流れがすっきりするね。

A氏 :どういう仮説?

私: 背中に小波がはしるのは、外の音を実際に聞いたからだと思う
 それから椅子にリラックスして、そして、「悪人はいない」と大声でいう順序だ。

A氏 :そうすると He listened.は「耳をかたむける」ではなく、「彼は聞いた」と訳すことになるね

:トニーは、ジョニーがトニーの勧告通り脱出するだろうかと不安だったのだが、彼は 「遠くの、何かわからぬ、恐ろしい音」を聞いたので、緊張で背中の小波が最初走った。
 次に 、「おそらく車が安全に夜の闇に消えて行く音」を聞いて安心してそれが消えたのだろう
この音はジョニーがトニーの勧めにしたがって脱出したことを推測させるから、トニーはリラックしたのだろう

A氏 :なるほど、そのほうが「 背骨の小波 」の意味のスジが通るね。
 だから、リラックスしてから「悪人はいない」と大声でいうことになるのか。

私: だから、Nobody’s all badは「ねっからの悪人というのは居ないものでね」とか「しんから悪い人間は一人もいない」という意味よりも、意訳すると「 やった!俺の思った通りになった。ジョニーは悪いやつではない 」ということになるね。
 だから、He listened以降の訳は 彼はラジオでなく―――遠くの、何かわからぬ、恐ろしい音。おそらくジョニーの車が安全に夜の闇に消えて行く音を聞いたのだ 。」 となるね。

A氏 the safe whir of wheelsとthe があるからジョニーの車となるのかね。
 これでトニーの背骨をはしる小波の意味もわかったような気がするね。

He listenedの意味が深いと思うね。
 本当は、この以下の文は、 Then he sat backのリラックスする前 にくると、日本人にはわかりやすいのではないかね。

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Last updated  2006.08.28 08:06:41
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