知的漫遊紀行

知的漫遊紀行

PR

×

Keyword Search

▼キーワード検索

Profile

Ryu-chan6708

Ryu-chan6708

Calendar

Favorite Blog

まだ登録されていません

Freepage List

2006.08.27
XML
カテゴリ: 読書感想
私: はじめて村上春樹の小説を読んだよ。

A氏: レイモンド・チャンドラー街道 かね。
 でもなんで「 アフターダーク 」を選んだの?

私: 単純さ。村上春樹ガイドみたいな情報がなかったので、図書館ですぐ借りられるのを選んだ。
 2004年の作だね。
 有名な「 ノルウェイの森 」は予約が多くて長く待たされそうだったからね。

A氏 :大体、君は小説というとミスティリーものが主ではないの?


 そのせいか、現代の小説はなんだか浅くて興味が湧かないようだ。

A氏 :読書の感想は?

私: 村上春樹は高校時代から、 レイモンド・チャンドラーのファン だったとのこと。
 英語でも読んでいる。
 同氏は、翻訳をやるとその人の日本語の文体も影響を受けるというようなことをどこかのエッセイで書いていた。
この「アフターダーク」を読んだら、まず、その文体が日本の今までの小説とかなり違っているのを感じたね。

A氏 :どういう風に違うの?

:文章が基本的に短い。一行に二つの文が出る。長くても、一つの文が二行を超えない。
 志賀直哉より、もっと歯切れがいい。
 それに 実在の固有名詞

A氏 :固有名詞?

:レストラン(ファミレス)と書かないで「 デニーズ 」とか「 すかいらーく 」とかなる。
セブンイレブン
 店のバック音楽も パーシー・フェイス楽団の「ゴー・アウェイ・リトル・ガール」 などと表現される。
 そして、 人のしぐさ、姿、服装、持ち物などをはじめ、描写が具体的で詳細だね。

A氏 :それは君が言うところの チャンドラースタイル ではないの?

私: そうなんだ。それで「あぁ、これが 村上春樹スタイル なんだ」と思ったんだ。
ところがどうも違うらしいんだね

A氏 :何故?

私: 俺は、読んでからインターネットで読者のレビューを見るんだが、この本には330余のレビューがあった。
 ところが、 人によって評価が全く違うんだね
 その原因の一つに文体があるんだ。
 今まで、一人称が基本だったらしいね。
 それがこの小説は 三人称スタイル になった。

A氏 :しかし、文章は簡潔になったのだろう?

:だから今までは哲学的な内容が多かったのに、さらりとした内容なので物足りなくなるのかね。
内容のなさに失望した。前作『海辺のカフカ』のすばらしさはどこへ行ったのか 」というレビューがあるね。
 あるいは「 デビュー作からのファンにとっては、たぶん全然面白くないでしょう 」となる。
 「 買って損した 」というレビューもあった。

 ところが、逆に文体の変化を高く評価する読者も出る。
 例えば「 作品の完成度は今まで長編とは比較にならない程高い。前作『海辺のカフカ』はすばらしかったが、『アフターダーク』はさらにすばらしい 」というレビューもある。
 あるいは「 今まで同氏の作品を読むごとに難解な表現や、象徴的な言葉が出てくるのが多く、とまどって考えさせられることもあったが、この作品は音楽を聴くように滞りなく流れていく 」というようなレビューもある。

A氏 :基本的にどういうストーリーなの?

要するに東京らしい都市の夜中の12時頃から、翌朝の7時頃までの二、三人の主人公らしい男女の動きを中心に淡々と書いたものだ。
 ちょっと幻想的な部分があるがね。
 時刻を示す時計の絵が、話の切れ目ごとに出ているのは斬新だね。
 ちょっとした事件はあるが、 ストーリー性はほとんどない。
明確な結末もない。
 それがまた批判を浴びることになるし、他方、そのほうが深いという好評にもなっている。
 読者心理としては複雑だね。

A氏 :ということは、この本は村上春樹作品としては特殊で、入門書としては適切でないということかね。

それも正反対の二つに分かれるね
 「ノルウェイの森」のような本来の村上春樹作品から読むべきだという意見と、逆に、わかりやすいから入門編としてこの本をすすめるという意見もある。

A氏 :まぁ、最初に「アフターダーク」を選んだのは、正解ということかね。

私: やはり、文章力というのは重要だね。
 そのせいか、次のような趣旨のレビューもあったよ。

 「 村上春樹ファンだが、この作品は古くからの春樹ファンには物足りないと感じている人が多いだろうが、私にとっては、非常に現実感があり、読後何ともいえない静かな気持ちになったのは、これが初めて。今までは、頭で理解していたが、今回は実感として伝わってきた

 「 いままでの村上春樹の作品のなかで、自分自身が物語の一部なんだということを一番感じさせてくれる作品だ

A氏 :チャンドラーと比較してどう?

:この「アフターダーク」は長編というより中篇だね。内容的に小編に近い。
 村上春樹は長編を書くのが基本的に好きだと言っているね。
 小編は一気に書くらしいね。
待っている 」に比較すると、やはり、「待っている」のほうがいいね。
 「待っている」は深夜午前1時から、午前3時くらいまでの1つのホテル内の小説だから、もっと範囲がせまいがね。
 「アフターダーク」には幻想的な部分が出てくる。しかし、「待っている」はそういう表現はなしで、事実を淡々と述べながら、読者に想像させるしくみがうまいと俺は思うね。
 しかし、評価は読者によって当然違うと思うがね。

アフターダーク





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2006.08.28 08:01:44コメント(0) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: