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Ryu-chan6708

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2006.09.03
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カテゴリ: 読書感想
私: 第百三十五回芥川賞は伊藤たかみ氏の 「 八月の路上に捨てる 」 にきまり、それが「文藝春秋」9月号に全文掲載されたので、読んだよ。
 この号は 別の記事 を読むために買ったのだが、 この芥川賞の決定のときの八人の選考委員の批評がバラバラで、山田詠美、河野多恵子の二名が積極的にこの作を推薦しているのに、宮本輝、石原慎太郎、池澤夏樹、村上龍の四氏はかなり否定的だね 。
 それで興味を引かれ、一体どうなっているのと知的好奇心が湧き、読む気になったんだ。

A氏 :読んでどうだった?

私 :確かに、話の展開としてはうまいね。
 河野多恵子がいうように 「 不如意な結婚生活と離婚を扱って、簡潔な文章からさまざまにたどる人間の妙味の豊かさには尋常ならぬものがある 」
 文章表現や話のもっていきかたがうまいと思ったね。

A氏 :石原慎太郎や村上龍は何故、否定的だったのだろうかね。

私 :村上龍は、「 何を伝えるのかという意志が希薄で、『現代における生きにくさ』描く小説にはうんざりだ 」という。
 石原慎太郎は「 離婚を扱っているが、離婚という芯に重みがあるものをチラとでも感じなかった 」という。
 宮本輝も「 多くの働く人々が見るもの、感じるもの、味わうものーーー。それらを超えた何かが小説の芯として確かに沈んでいなければ、その小説に何ほどの意味があるのかーーー 」という。
 池澤夏樹は「 前回も思ったが、なんでこんなにビョ―キの話しばかりなのか?まるで日本全体がビョーキみたい 」とある。

 たしかに、この小説は読んでそれで終わりだね。
テクニックがうまいだけに「それでどうなんだ」という感じが強く残る 。
 俺は昔、ちょっと、自動販売機の補充作業の会社の業務に関係したことがあるが、この孤独の仕事を長い間つとめ、年をとってから管理職になった人を知っているが、大変だね。

 村上春樹の「 アフターダーク 」のほうがまだ、社会性があるね。

A氏 :要するに芯や深みがないということか?

私 :この小説を読む直前に 「 国家の品格」街道 三島由紀夫の「春の雪 」 を読んだね。
 これは、 原武史氏 によると「国家の品格」でいう「 もののあわれ 」に関連して「 たわやめぶり 」を扱っているとのことだ。
 三島由紀夫のメッセージは明らかで、この後、続く「奔馬」で 明治以来、失いつつある日本人の真髄は何かを考えるものだとしているね 。
 三島由紀夫には、死んでも伝えたいメッセージという芯があったのかもしれないね。
 天皇の「人間宣言」には反対だったしね。

A氏 :「春の雪」はどうだった?

私 :朝日新聞の原武史氏は、「 た わ やめぶり 」と言っていたが、辞書にはこれはなく、「 た お やめぶり 」だね。「わ」と「お」が違う。
 新聞記事の間違いだね。

 一方の「 たおやめ 」(手弱女)」は「大辞林」に「やさしい女。しとやか女。」とあり、反対語として「 ますらお 」をあげている。
 「たおやめぶり」は女性的で温厚融和な歌風とあり、万葉集の「ますらおぶり」に対したものであるとしているね。
 「春の雪」の文体は旧仮名遣いだからちょっと読みにくいが、華麗な文章だね。
 品格があるね。
 これは「八月の路上に捨てる」のテクニックと全く違うね。

しかし、まだ、「奔馬」を読んでいないので分からないが、「春の雪」を読んだ感じでは「たおやめぶり」は感じなかったなぁ。

A氏 :何故?

私 :これは明治の終わり頃の貴族階級の若い男女の恋愛物語だが、女性のほうがしっかりした感じだからだよ。
 男のほうがむしろ女々しい感じがしたね。
 しかし、最後に好きな女のために死ぬ。
 その執念はすざましい。

これが次に読む予定の「ますらおぶり」を扱った「奔馬」とどういう関係になるかだね。

 しかし、いずれにせよ、「八月の路上に捨てる」の男女関係とはまったく異質だね。
 こちらは軽いね。
 池澤夏樹がいうように時代がビョーキなのかもしれないね。
 人間が軽くなったというビョーキにね。

 これに危機感を持った「国家の品格」が問題になるわけだね。
八月の路上に捨てる

【DVD】春の雪






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Last updated  2006.09.03 06:57:15コメント(0) | コメントを書く


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