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Ryu-chan6708

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2006.09.04
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カテゴリ: 読書感想


私 :これは 「国家の品格」街道 での三島由紀夫の長編小説だ。 昨日読んだ「春の雪」 の続編になるね。

A氏 :「春の雪」が「たおやめぶり」、「奔馬」が「 ますらおぶり 」を扱うとしたものだったね。

私 :三島由紀夫はライフワークとしての大長編小説として 豊饒の海 」 を構想した。
 これは4部作からなり、第1巻が「たおやめぶり」、第2巻が「ますらおぶり」、第3巻が「異国ぶり」、第4巻がSF的な内容というものだ。
 このうち、第1巻と第2巻が先に発刊されて、「春の雪」と「奔馬」という長編となる。
第4巻の原稿完成後、例の自衛隊での自殺となるんだね。

A氏 :「 奔馬 」はどうだった?

私:「春の雪」を受けているね。これで「春の雪」が何か完成しない終わっていたのが理解できたよ。
 「春の雪」の舞台から17年後となり、ガラリと扱うテーマが拡大するね。
「春の雪」はいわゆる王朝絵巻のようなスタイルだが、「奔馬」は昭和7年頃の世界恐慌後の日本経済の疲弊、社会格差の拡大、特に東北の農村の疲弊などの国情が大きく小説のメインに登場するね。
 「奔馬」には、1876年10月の 神風連の乱 の思想が背景にある。

A氏 :旧熊本藩士の神道関係者で結成された 敬神党 が起こした乱で、明治政府の熊本軍を襲った事件だね。

私: 三島由紀夫はこれに強い関心があり、この「奔馬」の基調をなすね。
 この敬神党は神道の信仰心が非常に強かったため周囲からは「 神風連
 明治七年、県庁で神職の試験が行われたとき、この派の人々がまるで申し合わせたようにその答案に「 人心が正され、皇道が興隆すれば、弘安元寇の如く、たちまち神風吹き起こって、夷敵を掃攘するであろう 。」と説いたので試験官が驚いて、彼らを「神風党」と呼んだのに始まるという。

A氏 : カミカゼ と神道の結びつきはその頃からかね。

私 :神道では、 祭政一致
 だから、明治維新のときに王政復古の詔勅が下ったとき、その伝統が生かされると期待されたが、 明治に散髪廃刀が許可され、人心はすさみ、卑俗が勝利するようになると考え出したという。

A氏 :当時から、神道は皇室と結びつきやすかったのだね。それが、昭和になると軍国主義の中心となるんだな。
天皇のために死ぬという考えとつながるね。

私 :この「奔馬」では、 剣道三段の20才くらいの青年がこの敬神党の考えに信服し、十人くらいの若者と当時の財界、政界の大物を襲撃する計画をするが、実行前にことがもれて捕まる。
 裁判では、軽い刑で終わるが、その青年は財界の大物を暗殺し、自らも自殺して終わる。

 このストーリーに「春の雪」に登場する人物がからむということになるね。

A氏 :藤原正彦氏の「国家の品格」では、「 もののあわれ 」は日本の中世文学の多くが、これに貫かれているとあるね。

私 :「春の雪」は王朝文学の「 浜松中納言物語 」を下敷きにしているという。
 題名のように、四季の描写がすばらしいね。
 しかし 、「 奔馬」のような神道と結びついた死生観は、「国家の品格」の「武士道」とは違うようだね 。
 三島由紀夫は晩年、神風連に興味を持ち、「 日本に帰れとか、明治に帰れとよく言うが、どこに帰るかあいまいだ。そこで『英霊の声』や『二・二六事件』の精神の純粋のものは神風連のそれに通じているとみてもらってもよい 」と言っているね。

A氏 :だから、天皇は 現人神 でいてほしかったのだろうね。

私 :しかし 、「二・二六事件」で、天皇御親政を目指した青年将校のひとりだった磯辺は、 昭和天皇に謀反者とされる 。
 彼は獄中で昭和天皇を恨み「 天皇陛下、なんという御失政でありますか、何というザマです。皇祖皇宗におやまりなされませ 」と書く。

 やはり、天皇個人でなく、 万世一系の天皇家というのが信仰の中核 にあるのだね。
 それは 天照大神から続く系列 だね。

三島由紀夫全集(13)決定版





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Last updated  2006.09.04 06:50:51
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