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Ryu-chan6708

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2006.09.21
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テーマ: 戦争反対(1248)
カテゴリ: 読書感想

終戦後日記

私: 徳富蘇峰 という人は、明治・大正・昭和の三つの時代に常に時流に乗って指導的な役割を果たした言論人で、戦後、A級戦犯容疑を問われたが、言論の自由の米国的な考えで他の言論界の容疑者とともに、釈放された。
 昭和32年、95才でなくなっている。
 この本は日記とあるが、彼が敗戦直後から約半年にわたって、逐次書いた79のエッセイ集だね。
 口述筆記のせいか、実に読みやすいリズミカルな文章で、厚い本だが、一挙にひきつけられるように読んだよ。
 その後の60年にわたる戦争責任などを扱った本の内容をすでに先取りしている感じだね。
 7月に出た新刊だ。

A氏 :昭和20年に書いた本が何故、今になって出版されたの?

:遺言であったとのこと。
 A級戦犯に問われるほどだから、 天皇を神とした国体維持派
 「 世界においてその特色を発揮しているのは万世一系の皇室があるからだ、それを占領軍がこわせば、第二のフィリピン、ハワイになるだけだ 」と言っている。
 しかし、このような 選民意識 がフィリピン人の虐待につながる原因となりやすいね。

A氏 :天皇には 戦争責任 はないという立場かね。

:いや、天皇はイギリス的な立憲君主制にこだわっていたと批判し、 明治天皇のようにもっと外交には関与すべきだったとしている
 もっともそうなったのは、昭和天皇を教育したり、支えたりした 幹部に責任 があるとしているがね。
 たしか、 昭和天皇自身 も敗戦の一つの原因としてまわりの幹部に恵まれなかったことをあげているという。


A氏: 敗戦の原因はどう考えているのかね。

:いや、その前に興味があったのは、敗戦間際に、かって、 日独伊の三国同盟 を結ぶときの外相であった 松岡洋介 氏と話す内容が書いてあるんだが、松岡氏は次の3つの理由で日本は絶対負けないと言っていたという。

 1つには、 日本の国体は伊勢神宮をもとしているから、必ず、神が助けてくれる
 2つには、直感だ。
 3つには、経験からくる直感だ。

A氏 :当時の国の上層部にいた人がそうだとは、笑うに笑えないね。

:敗戦時の首相の東久爾宮殿下は 一億総懺悔 だという。
 石原莞爾大将は 日本総体の道徳低下 だという。
 当然、著者は反論する。
軍の下克上 の指摘が出る。
 明治にも下克上はあったが、すぐに罰せられたが、 昭和では放置されたとも指摘する

A氏 :大東亜戦争は 侵略戦争 かね。

:いや、 自衛 だという。
 侵略戦争を言い出したら、 英国、アメリカ、フランス、ソ連のほうが先輩 だというわけだ。
 その 侵略に対する自衛 だという。
 ソ連の 火事場泥棒的行動 を指摘しているね。

A氏 :軍部の敗戦時の惨めな姿はどうだね。

:彼は、日本軍が負けたのは戦争だから仕方がないが、 負けたときに軍需品を私利私欲のために上から下まで横領した軍人や兵士には呆れて、この火事場泥棒的行動は許すことはできないとしているね
 意外に偉かったのは 杉山元帥 だとしている。
 4発のピストルを撃ち、自殺する。
 それをみて夫人も自殺する。

A氏 :自殺し損ねた 東条大将 については?

:自殺失敗は 山田風太郎 同様にきびしいね。
 単なる真面目な軍官僚に過ぎないとしているね。
 東条も成績はあまり優秀ではなかったらしいが、 幼年学校、士官学校、陸大という典型的なキャリアコース 出身だね。
 それから官僚については、興味あるのは、敗戦直後の9月末に首相の東久爾宮殿下が65名の各省幹部に対して言った次の6つの内容だ。

1.私利私欲でなく、国民の手足となること。
 2.良心的な国民となること。
 3.無責任なことなかれ主義とならないこと。
 4.国民の幸福を重んじ、官権万能を廃すること。
 5.紙の上の計画をしないでよく現場を知ること。
 6.能率的に仕事をすること


A氏 :なんだ、今とあまり変わっていなじゃないか。
 軍国主義時代から、すでに官僚は堕落していたんだね。

:日露戦争に比較すると、国民は戦争に対する一体感が乏しかったというね。
 軍人が偉そうに民間人と対応する行為が多かったそうだ。
 軍人の汚職もあったようだ。
一億一心ではなかった

A氏 日本軍の虐殺 については?

:とりあげているね。
 フィリピンの虐殺で 山下奉文大将の裁判 をとりあげ、彼は、皆、 部下が勝手にやったことで自分は無罪 だと主張するのにがっかりするね。
 特攻隊でも、20才くらいの若者は純粋だが、それ以上の幹部は遊んでいたというので憤慨しているね。
著者は日本軍を信じていたが、次第に事実が明らかになるにつれ 裏切られたと 言っている

A氏 :「国家の品格」が問題にすべき「武士道」は、実は、日露戦争以後、大正から昭和のはじめにかけて必要だったんだね。
 この時代に伝統的な「国家の品格」は崩壊していたんだね。
 その崩壊した頃、育った軍人が、満州事変あたりから幹部になるんだね。

:精神で勝つという精神論をもってね。

A氏: 靖国問題は?

私: これは深くふれていないが、 伊勢神宮、明治神宮、靖国神社などの日本の国家神道は宗教でないとして、マッカーサーのやり方は反対だね
 しかし、この国家神道は気をつけないと、精神主義になりかねないね。
 昭和の指導者は、先の松岡元外相のように神頼みとなっていたからね。

 いずれにせよ、敗戦の年の日本の生々しい現実を国体擁護の観点から知ることができる良き資料だね。
 解説の御厨東大教授は、理系も文系も学習する教養学部1、2年向けにいいテキストになるのではといっているね。





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Last updated  2006.09.21 08:30:17
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