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私 : 10月の「異論のススメ」 は「 保守 」とは何か関するものだね。
「保守」の論客 と言われる 佐伯 氏は、 しばしば、 安倍首相は「保守色」の強い政治家 だ、などといわれるが、同じ 自民党 でも 、先日亡くなった 加藤紘一 氏は「リベラル」だ とされ、それでわれわれはつい何かを理解したつもりになってしまうという。
しかし、今日の日本には「リベラル」おろか、「保守」という確かな思想が存在しているのだろうかと疑念を呈しているね。
A 氏 :もともと、 フランス革命 が生み出した 自由 、 平等 、 人権 などの 普遍性 を唱え、それを政治的に実現すべく 市民革命 によって権力を掌握した 革命派 が「 リベラル」 ( 左翼 )であり、それに 抵抗 して、 伝統的社会秩序 や 伝統的価値観 を 重視 したのが「 保守 」だね。
私 : イギリス の 政治家 であった エドマンド ・ バーク が「 保守思想の父 」と呼ばれるのは、彼が、 フランス革命 が掲げた革命的な社会変革や人権などの 抽象的理念 の 普遍性 を批判したからで、 改革 は 漸進的 で、その社会の 歴史的構造 に即したものでなければならない、と彼は述べた。
なぜならば、 人間 は 既存 の 権威 を 全面的 に 否定 して、 白紙 の上にまったく 新しい秩序 を うみだすことなどできなく 、 人間の理性的能力には限界があり 、それを補うものは、 歴史のなかで作り上げられた慣習的秩序や伝統の尊重 である、という。
これが 本来の「保守 」であり、今でも イギリスに強く根を張っている という。
A 氏 :ところが、 近代社会 は、系譜的にいえば、 フランス革命 の 革命派 の 流れの上に成立 し、 自由、平等、民主主義、人権主義などの普遍性こそが近代社会の基本理念 になってしまったわけだ。
これを「 リベラル 」というなら、 近代社会は「リベラル」な価値によって組み立てられており 、「 保守 」はいわば「 リベラル 」の 暴走 を いさめる役割 を与えられたものになる。
私 :ところが、話が混沌としてくるのは、 アメリカが現代世界の中心に躍り出てきた からで、もしも アメリカの建国の精神という「伝統」に戻る なら、そこには、 個人の自由、平等、民主主義など「リベラル」な価値が見いだされる ことになり、ここに、 イギリス などとは異なった アメリカ型 の「保守」と「 リベラル 」の 対立が生まれた と 佐伯 氏は指摘する。
「伝統」を破棄して革新的な実験に挑むことが「進歩」だとする意識がアメリカには強い。
こうした 進歩主義 を警戒するのが「 保守 」だというなら、 アメリカには本来の意味での「保守」はきわめて希薄である となる。
A 氏 :ところが、 日本 では、 アメリカとの同盟 を 重視し価値観を共有する者を「保守派」だ という。
するとどうなるか。
アメリカと協調して自由や民主主義の世界化を進め、たえざる技術革新によって社会構造を変革することが「保守」ということになる 。
構造 改革 にせよ、第4次産業革命にせよ、急進的改革を説くのが「保守」だというわけだ。
私 : 佐伯 氏は、「 保守 」の本質は、 近代社会が陥りがちな、急激な変革や合理主義への抵抗にある、 と思い、それは、社会秩序を、抽象的な普遍的価値に合わせて急激に変革するのではなく、 われわれの慣れ親しんだ生活への愛着を大事にし、育ってきた文化や国の在り方を急激には変えない、という精神的態度 だという。
そして、この「 本来の保守 」 の 姿が今の日本ではみあたらないという。
では、 日本会議のように神道の国家にもどろうとするのが「保守 」なのか。
自民党 の憲法草案の「 家族」重視 は「 保守 」ではないのか。
残念ながら、 佐伯
氏は、それらに具体的にふれていない。