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私 : 日本人は、本来、歴史上、文書好きの国民 だったはずだ。
それで、3人のうち、 日本の歴史専門家の磯田道史氏と保阪正康氏のインタビューに興味をもった。
まず、 日本史全体の専門の磯田道史 氏は、 歴史家として過去の様々な記録を読むと分かるのは、江戸から明治までの日本は、細かく正確に文書を残す記録大国だった ということだと 指摘 。
その日本の国がいま「改ざんする」「うそを書く」「残さない」という公文書3悪で歴史に残る問題を起こしてきた。
A 氏 : 江戸時代に細かく記録を残すようになった のは、 農民と武士 が離れて暮らすようになり、 武士が統治の役割を担うようになったから で、 武士は、領地での出来事の細かい記録を積み重ね、よりよい統治を行おうとしたのだ という。
250年を超える江戸時代に日本人に染みついた記録をとる癖 は、 明治時代に力を発揮 し、 福沢諭吉や岩倉具視の海外使節団が残した西洋の詳細な記録は共有され、急激な近代化を支えた。
私 :しかし、 日露戦争に勝ってから記録の軽視が始まり 、 太平洋戦争の時代にはひどい状態になり 、例えば、 台湾沖航空戦 では、 実際には米軍の空母と艦艇を撃沈できていないのに、「多数沈めた。大戦果だ」と国民に伝えた 。
うその情報を基に立てた作戦で南方の島に送り込まれた兵は、いないはずの米艦隊に遭遇して多数が戦死。
太平洋戦争の時代にはうその多い「大本営発表」が有名だね。
A 氏 : 今回の公文書改ざんは、国が主権者たる国民から歴史を奪う悪質な行為だと磯田氏は指摘 。
「首相案件」と言ったか否かが問われている柳瀬唯夫・元首相秘書官(現・経済産業審議官)は「記憶にない」と、面会の事実を認めていないが、各省や愛媛県 に残っていた文書の記述で、事実が明らかになってきた。
財務省 の福田淳一事務次官によるセクハラ疑惑辞任も、音声記録の存在が決め手で、文書や記録が残っていることはとても重要 。
私 : 磯田 氏は、 文字に記録された王がいる国らしきものが九州にできて約2千年 。
議会政治になって130年足らず、国民主権 になって70年余り、一連の問題で公文書への高い意識が生まれつつあると、日本の進化の歴史の一つだと思いたい という。
ちなみに、 記録文化があった幕末にも、うその文書が出された ことがあった。
それは、 桜田門外の変 で、 大老だった井伊直弼の首を民衆が見ていたのに、井伊家は、直弼は生きているという偽りの文書 を出し、 幕府は天下万民の信用を失って倒れるきっかけとなった。
見えているものに対してうそをついたら、政権は短命化すると、歴史が証明する教訓だ と、 磯田 氏はいう。
A 氏 :インタビューした 2人目の保坂氏は、 昭和史や戦争史に詳しい。
戦前が終わり戦後が始動した1945年8月に、日本各地で起きたのは、連合国側による責任追及から逃れるため、役人や軍人が公文書を大量に焼却する事件で、資料の焼却を指示自体も隠蔽しようとする徹底ぶり だった。
公文書の重要性は、戦争指導者を裁く東京裁判でも明らか になり、 不当な戦犯容疑だと被告側が自らの潔白を証明したくても、証拠となる公式記録を焼却していたので、仕方なく雑誌や新聞の記事を法廷に提出する者もいた。
公文書が焼かれた国には、歴史の空白が生まれ、戦争の政策がいつどう決定され、どう進められたのか、戦後に国民が知ろうにも手がかりとなる記録がない。
私 : 米 国は敗戦直後の日本に、戦略爆撃調査団という大規模な調査組織を送り込み、戦争政策の決定過程や被害実態などを、要人から聞き取ったり埋もれた資料を探したりして調べ上げた。
悲しいことだが、 その報告書は、“あの戦争”を日本人が知る貴重な資料 になった。
ただ、米 国の視点で書かれたもので、戦後の日本では、ジャーナリストや研究者が関係者へのインタビューや、要人の日記の分析から、史実を固め、空白を埋める作業をした。
A 氏 : このブログ でもとりあげた、 日本の敗戦時の姿を描いた名著 、 ジョンダワー著「敗北を抱きしめて・ は、 著者が外国人であったのは残念 だね。
保坂 氏は「 私たちは確かに、為政者に政治を任せます。ただ、歴史を確定させる権限までは渡していないはずです。戦前も今も日本の為政者に欠けているのは歴史への責任意識、歴史への良心だと私は思います 」という。
私:保坂 氏は、「 首相が退任したら5年以内に回想録を公表するよう義務づけることから始めてみてはどうでしょう。米国ではしばしば大統領や側近がすぐれた回想録を発表しますが、日本の昭和史の特徴の一つは、首相が回想録を著す例が少ないことだからです 」という。
誠実に書かない元首相もいるだろうが、 執筆に備えて資料を残そうとはするはずで、そうした回想録や資料は、国民が歴史の教訓とは何かを学ぶ機会になる と思うという。
政治家の書く本はあまり売れないと言うが、歴史の記録としては貴重なものになるだろう 。