December 19, 2005
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カテゴリ: 映画
『運命じゃない人』(内田けんじ監督)は、アイドルをつかわず原作小説などなくても、さらに言えばカネをかけなくても十分におもしろいエンタテイメント映画が作ることができるという見本のような映画だった。

ネタバレしないようにこの映画のことを書くのは難しい。どこがおもしろいか、というか着想のおもしろさを書いても、半分以上はネタバレになってしまう。

脚本は監督自身が書いている。こういう脚本を書くことのできるのはかなりユニークな才能であり、普通の人のアタマとは違う「映画的」なアタマの構造を持っている人だと思う。

通俗的な2時間ドラマの脚本を書いている連中にぜひこの映画を観せてやりたいものだと思う。

きっと自分の仕事に嫌気がさすことだろう。

凡庸な才能ならテレビの2時間ドラマとほとんど変わらないものになっていたかもしれないストーリー。それが、カンヌで4つも賞をとることができたのは、ひとえに脚本の力によるものだ。

同じ時間軸を異なる側から描いたこの手法は、他に類例がないわけではない。この映画ほどではないが、サスペンス映画ではあたりまえに使われている手法かもしれない。

それに、この手法を使えるのは一度きりだろう。

同じ手法でもっといりくんだ内容の作品を作る方向へ行くのか、あるいは既成の映画文法をひっくり返すようなおもしろさを別の手法で感じさせてくれるのか。






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最終更新日  December 21, 2005 10:07:11 AM
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