≪2015年11月5日の記事≫
胸腺腫が再発した秋田県湯沢市の元小学校教諭、KSさん(60)は、2010年夏から抗がん剤治療を受けた。しかし、胸膜に散らばった腫瘍(しゅよう)への治療効果はほとんど確認できなかった。
「このままで、いいのかな」。迷いも生まれていた。
その頃、平鹿総合病院(同県横手市)の主治医、斉藤礼次郎(さいとうれいじろう)さん(56)から、「別の病院にも、話を聞きに行ってみませんか」と、セカンドオピニオンを受けることを勧められた。
斉藤さんは肺や食道専門の胸部外科医だが、患者数が極めて少ない希少がんである胸腺腫の患者は、年に数人担当する程度。胸腺腫の中でもKSさんのように再発する患者自体が少なく、斉藤さん自身も症例数が比較的多い病院の医師の意見を聞いてみたかった。
肺がんなど患者数が多いがんなら標準的な治療がガイドラインとして示されている場合が多い。だが、KSさんのように希少がん患者の場合は、選択した治療が正しいのか判断する物差しが少ない。文献を探し、学会で同じような症例が取り上げられる時には足を運び、情報収集に取り組んでいた。
セカンドオピニオンは、東京都内の症例数が比較的多い病院に聞きに行くことになった。「良い治療法が見つかれば、秋田から通うか、アパートでも借りて東京に住むことを考えよう」
対応した医師からは、いくつかの治療方針が示された。抗がん剤治療を続けるか、腫瘍が大きくなったら放射線治療をするか、しばらく経過観察をするか――。
「絶対的な治療法は、ここにもないんだ」。KSさんはそれまで、症例数が少ない病院で治療を受けることに不安もあった。だが、どこであっても、いくつかの選択肢の中から主治医と相談しながら、治療を受けるしかないようだ。
「悩みに悩んで、今もまだ悩んでいる。お互い一緒に勉強しているようなものです」と斉藤さん。
KSさんは、治療への迷いも含めて正直に話してくれる斉藤さんに、信頼を感じていた。現実的には、高齢の夫の両親もいる家を離れて治療を受けることも難しい。地元で治療を続ける決意が固まった。
主治医の斉藤礼次郎さん(平鹿総合病院)=秋田県横手市
このKSさんは、主治医のほうからセカンドオピニオンを勧められています。そのうえで、結局、主治医と相談しながら治療をすることを選択しています。納得のうえで治療に臨むという効果は大きかったと思います。
私の場合、抗がん剤治療を受ける前のセカンドオピニオンはそうでした。2つのセカンドオピニオンで示されたのは、やはり抗がん剤治療、薬の名前も同じでした。
6クールの抗がん剤治療後、次の治療法を選択する際のセカンドオピニオンでは、一つの医療機関で、粒子線治療という主治医からの候補にはあがっていなかった治療法の紹介を受け、最終的にこの粒子線治療を選択しました。
このKSさんのように主治医からセカンドオピニオンを勧められることは稀だと思いますので、患者側から遠慮せずにセカンドオピニオンを聞きに行くことを切りだすことが大切だと思います。そのとき大切なのは、自分でセカンドオピニオン先を選択することです。主治医と同じ大学系の病院だと、同じような視点のオピニオンにしかならなかったり、主治医に遠慮して同じ意見しか出なかったりするからです。あくまでも私の個人的な見解ですが。
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