さくさく堂のシナプスな存在

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2006年06月06日
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友人から、日本語研究の論文コピーが届きました。
これ見て勉強しろって? ありがたや~

んで、まだ読む時間がとれませんが、読んだら急に違うこと言っちゃったりして(笑)。

----

今日はリライト関係について書こうと思っているんですが、最初の例文に、だらだらとしまりのない文がありましたよね。

   あっ、タナカさんはちょっと今日は遅れていて、まだ到着していないよう
   なので、来るとは言っていたんですけれども、2番の議題を最初にやった
   ほうがいいような気もしますが、そういえば2番については資料の不備が
   あったそうですが、その辺、先に事務局お願いします。



   タナカさんは今日は少し遅れています。
   まだ到着していませんが、来るとは言っていました。
   先に、2番の議題を最初にやったほうがいいような気がします。
   そういえば2番については資料の不備があるそうです。
   先に事務局お願いします。

いったん、こういう整理をやって(実際に文章にするか、頭の中でやるかは好みの問題)、その後に「である」調まで持っていきます。

   タナカさんは今日は少し遅れている。
   まだ到着していないが、来るとは言っていた。
   先に、2番の議題を最初にやったほうがいいような気がする。
   そういえば2番については資料の不備があるそうだ。
   先に事務局お願いする。

(ちなみに、こういう文は嫌いですけど)

「「である」調で簡潔な文章に」という指示があったら、もれなく話し言葉のもつれをリライトすることも含まれてくるということですね。

もっとやっかいな例文を作成してみます。

   地域の人たちとの体験は、小学校の6年生の男女に保健師さん、
   助産師さん、青少年指導委員がかかわりまして、いろいろな体
   験をさせて、薬物の危険性の話だけすると、学校も「まだ……」

   自分たちがお父さん、お母さんになるにはどうしたらいいかとか、
   優しい気持ちを持って人に触れ合うこととか、優しい気持ちを取
   り戻すことや、人との触れ合いという、2時間ぐらいかかりますが、
   やり出すと子どもたちが変わっていくのが見えるんです。

こういうの、話し言葉にはよくありますよ。見事に文末がありません。
私はこういうのを「断定回避型話し言葉」とか「地滑り型話し言葉」とか言っていますが(ウソウソ、今つくった)、これに文末を入れてみますね。

   地域の人たちとの体験は、小学校の6年生の男女に保健師さん、
   助産師さん、青少年指導委員がかかわりまして、いろいろな体
   験をさせて [います] 。
   薬物の危険性の話だけすると、学校も「まだ……」とか、いろ
   いろな意見がありますので、命の大切さから教育 [をします] 。
   自分たちがお父さん、お母さんになるにはどうしたらいいかとか、
   優しい気持ちを持って人に触れ合うこととか、
   優しい気持ちを取り戻すことや、人との触れ合いという
[ことを話しています] 。
   2時間ぐらいかかりますが、やり出すと子どもたちが変わっていく
   のが見えるんです。

ほら、文末を挿入したら、とりあえず意味としてはつながりましたね。
ここまでできれば、これを「「である」調で簡潔な文章に」することは可能です。 (ちなみに、こういう文は嫌いですけど)

   地域の人たちとの体験は、小学校6年生の男女に保健師、助産師、
   青少年指導委員がかかわり、いろいろな体験をさせている。
   薬物の危険性の話だけすると、学校も「まだ……」とか、いろ
   いろな意見があるので、命の大切さから教育をしている。
   自分たちが父親、母親になるにはどうしたらいいか、
   優しい気持ちを持って人に触れ合うこと、優しい気持ちを取
   り戻すことや、人との触れ合いということを話している。
   2時間ぐらいかかるが、やり出すと子どもたちが変わっていく
   のが見える。


ただし、本人が発言していない言葉を書き加えてよいかというのはテープ起こしには重要で、そのクライアントとコンセンサスを得ておかなければならない問題です。
「「である」調で簡潔な文章に」という指示を出したクライアントが、原発言の書き換え、発言していない言葉の付け足しを前提に話しているかは、最初に確認しておかなければならないことです。
「いやいや、テープ起こしなんだから、勝手に変えてもらっちゃ困るんだよ」というクライアントさんはきっといますよね。


一方、「意味を改ざんしなければいいから、読みやすくきれいにまとめちゃって」というクライアントさんもいるでしょう。というか、「「である」調で簡潔な文章に」との依頼を出す方は、全員そうであってほしいのです。

しかし、読みやすくきれいに、つまりリライトとなってくると仕上がりはさまざまで、「意味さえ改ざんしなければ、何でもあり」ならば、次のような大胆なリライトも可能になります。

   自分たちがお父さん、お母さんになるにはどうしたらいいかとか、
   優しい気持ちを持って人に触れ合うこととか[を一緒に考える時
   間にします]。
   人との触れ合い[の中で]、[だんだん子供たちが]優しい気持ち
   を取り戻[していきます]。

これはやりすぎではありますが、もともと原発言が「断定回避型話し言葉」で、論旨がゆるいせいです。こういう文はいかようにもリライトできてしまう。このぐらい強めのリライトをすると、するっと読めるようになります。前後を通して読んでみてください。

リライトをすると、多かれ少なかれ意味の改ざんが行われてしまいます。「改ざん」と言ってしまうと過激ですが、テープ起こし者の文脈の理解度によって、文章のニュアンスが変わってくるわけですね。

私は、これは当たり前のことだと思っています。同じ授業を聞いても、生徒のノートは全部違うものができますよね。それと同じです。

「言葉の言い換え、付け足しもしていいから、意味は変えないで、読みやすくきれいにまとめて」というのも、結構大変な作業なのがわかってきました。とほほ

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こんなことを書いていると、「である」調を依頼するお客さんがいなくなっちゃうんじゃないかと思いますが、私はテープ起こしを依頼したいのなら、「である」調自体がよろしくないんじゃないかと思っています。

だって、二人称の文は削除でしょ?
言葉の言い換えはありでしょ?
話していない言葉も付け加えちゃうんでしょ?

お客さんに、「記録として全文を残しておきたい」というお気持ちがあるなら、「である」調はお勧めできません。

この手の依頼が必要なのは、「話し言葉を簡潔にして、意味が通るような要約原稿にしてほしい」という場合だと思います。
要約原稿ならば、要約のできる人に依頼しなければなりません。「こいつ、話の内容わかってんのか?」というのではお話になりません。
そして、できれば文章の解釈が自分と似ている人がいいんだろうと思います。「こういうふうに要約するのは、自分は好きじゃないなあ」と感じる原稿は、自分とは相性が悪いんです。

テープ起こしって、誰に頼んでも、だいたい同じものが仕上がってくると考えるお客さんは、結構多いのではないかと思います。でも、初めての依頼で「である」調を依頼するのは、一種のギャンブルに近いかもしれません。

※ 文中のリライト例は実験的に作成したもので、実際の納品原稿とは異なります。





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最終更新日  2006年06月06日 11時10分45秒
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