気ままなデジカメ片手の散歩路

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2008年08月02日
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カテゴリ: 写真散歩
読み終わるのが もったいないくらい

じっくり ゆっくり 味わい 堪能した。


『言問橋』杉山隆男(文藝春秋 2006年)


読了したら 胸がキュンと した。。。



      ・     ・     ・

   父親から受け継いだ「やよゐや」の暖簾を守り還暦を過ぎた
   足袋職人の前川慎治。
   8月のある日、店を訪れた女性の矢がすりのひとえを見た瞬間に、
   少年時代に淡い恋心を抱いていた少女・雪乃の俤が甦ります。

   市井の片隅でひっそりと生きる男の生に秘められた仄かな彩りを、
   鮮やかに描いた・・・

   (文藝春秋の内容紹介から)

      ・     ・     ・


舞台となっている

慎治の家「谷中」

子供の頃、垣間見た「根岸」

雪乃の母の料亭『都鳥』がある「向島」を


8月のある日 歩き バスに乗って

心象スナップしながら 散策してしまった。

∵‥∵∴‥∵‥∴‥∵‥∴‥∵‥∴‥∵∴‥∵‥∴‥∵∴‥∵‥∴

谷中の言問い通り




谷中の路地




   女は目当ての先が見つからないらしく、
   帯にはさんだ紙片のメモをとり出して、
   たしかめては、行きつ戻りつしながら
   定まらない足どりで表戸の前を過ぎていった。




谷中の風鈴




谷中の蓮




   父と慎治を乗せたトロリーバスは、

   その名の通りにとろりとろりと
   大きな図体をもたせつかせながら走っていた。

   国電や蒸気機関車に引かれた列車が
   ひっきりなしに行き交う線路を跨ぐ寛永寺橋だが・・・



寛永寺橋





   「こらっ、ガキのくせに、のぞきなんてしやがって」
   かと思えば、艶然と微笑んで、
   わざとスリップの肩ひもを外しかけながら、
   あと少しで胸のふくらみがこぼれてしまうという
   その寸前に、眼が点になっている子供たちに向かって、
   バアーカと舌を出してみせる女もいた。




入谷鬼子母神





   千代紙の裏には、薄い和紙でできた栞が貼り合わせてあった。
   谷中いせ辰の銘が入った紙の上で、
   右肩上がりに尖った文字が踊っている。

   <七夕の夕方五時、言問橋のたもと。
    入谷鬼子母神の朝顔市に行こうね>




言問橋で五時






バスから






   バスはやがて無数のきらめきの粒子をのせた流れの中、
   言問橋を渡りはじめた。






バスから言問橋






   不意に雪乃は慎治の手をとって、
   その手に力をこめてきた。
   「でもね、わたし、決めたことがひとつあるの」
   慎治の眼を視線で左右からしっかりと固定し、
   瞳の奥に直接訴えかけるように言う。
   「慎ちゃんにわたしの足袋をこさえてほしいの」




向島の窓






向島の料亭




   近くでポンプ車や窓を叩き割る手斧を
   運び出していた消防士たちが雪乃に気づいて、
   「行っちゃ駄目だ!」「誰か止めろ」と
   口々に叫んでいる。



言問橋の火事



∵‥∵∴‥∵‥∴‥∵‥∴‥∵‥∴‥∵∴‥∵‥∴‥∵∴‥∵‥∴


沢木耕太郎のアシスタントから
読売新聞記者を経て
ドキュメンタリー作家になった と知っていたが

こんな 品格のある 情感たっぷりの
小説を書するとは 知らなかった!

実に うれしい な!





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最終更新日  2008年08月03日 01時02分26秒
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