私のことである。一番難儀するのは地下街から地上に上がった時だ。
方向感覚に乏しいのかまず迷ってしまう。啓蟄に地上に這い出した虫
の如しか、否、虫だってちゃんと方向感覚を持っているかも知れない。
さすれば私は虫以下ということになる。
どうしてなんだろう。デパートやスーパーのトイレから出てくる時でもはて
どっちに行くのかなぁ~と女性のトイレの方向に歩いたりして危うく痴漢に
間違われそうになることもある。用を済ませ売り場に戻ろうとしてもトイレは
大抵奥まった場所にあり、それも2~3回角を回らせられるから我が三半
器官はすっかり狂わされるのだ。余りキョロキョロすると尚更怪しまれるし
すまして何気なく歩いて出ようとして通路を間違うのである。
虫なら触覚とかアンテナがあるのだろうが人間には三半規管とか方向を
察知する機能はどこにあるのだろう。きっと私のその機能が衰えているの
かも知れない。
だから昔から初めて行った街で行きたい先を探す時にはいつも難儀したもの
である。地図を手に持ち90度回転させたり180度逆さまにしたりしても特定
出来ないことがある。これだけは死ぬまでついてまわるのだろう。
でも京都の街はその点、分かりやすい。これまでそう間違ったことはない。
我が故郷札幌の街もよく似ている。それは碁盤の目のようなつくりになって
いるからであろう。
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