せび邸

せび邸

2004.10.14
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カテゴリ: 映画
私、しつこいですか? (涙)

ホラーだっていい作品はいっぱいあるんですけどねぇ。。


「さまよう魂たち」作品本体のレビューです。
前置きがありますので、よければ こちら を先にご覧下さいませ。


この作品について語りたいことは3つあります。
最初は、ともかくこの作品を語ってみたいです。これってやっぱ、映画鑑賞の原点であり基本だって気がするんで。
次に、ヒッチコックに捧げられたオマージュの指摘をしてみます。

最後は、ユングの元型(プロトタイプ)を用いた対話シーンについてです。
主人公とその他の登場人物が1対1で喋るとき、主人公の話し相手は主人公の元型であるかのように弁舌をふるい、それによって作品は、悪霊退治系のホラー・コメディというメインストーリーに、主人公の精神的な葛藤の物語を重ね合わせることに成功しています。また、とある元型たちのモラル・ハラスメント寸前の、サディスティックな弁舌は、この映画の<怖さ>の本質を形作っています。ちなみにこの映画には、残虐シーンはいっさいありません。


1.ともかく語るっ
あらすじを再度書くとこんな感じです。
交通事故を起こし、同乗していた妻を事故死させたフランク・バニスター(マイケル・J・フォックス)は、そのときの衝撃で死者の魂(=幽霊)が見えるようになる。その<特技>を利用して、彼はインチキ除霊師を生業とする。3人の幽霊を仲間に引き入れ、ポルターガイスト(やらせ)を起こさせ、それを鎮めたかにみせて、金を巻き上げるのだ。しかし彼が住む街には、実は強大な「死神」がいすわっており、その魔手はやがて、主人公が心引かれる人妻ルーシー(お美しいトリニ・アルヴァラード)に及ぼうとする。。しかも「死神」が起こした事件の犯人はバニスターだと考えるFBI特別捜査官ダマーズ(ヘンタイ)が登場し。。


もしかしたらこの日記を読んでこの作品見てみようなんて思ってくれる奇特な方がいるかもしれないので、ネタバレ部分は省略してみました。。
上に梗概を書いた部分で、全110分のうちの70分くらいの分量に当たります。
残りの40分間で意外な真相が明かされつつ、物語はハッピーエンドに向かうんですが(そしてかなりご都合主義なまとめ方しちゃうので、気になるヒトは気になるでしょうが)、ここまでの型破りな内容で、十分もとはとれると思います(250円っ! ←いや。。これ、別のサイトのお約束やん。。汗)。
なにが型破りかというと、めちゃくちゃ聖林謹製(柊林謹製?)のノリでありながら、まずインチキ除霊師が主人公だということ。
これをマイケル・J・フォックスのような陽性キャラが演じるので、いい味が出てます。
次に人妻がヒロインであること。
どうするつもりなんだろう、と、思ってたら、わりとあっさり展開してました。。(汗)

FBI心理捜査官系の映画そのものを戯画化したみたいなキャラ設定で、演じるのが「死霊のしたたり」で死者の蘇生を試みたマッドサイエンティスト役のヒト、というのもなんかオシャレに思えました。
判事と呼ばれる幽霊は、ウエスタンの世界を背景に持ってるようです。
ルーシーを演じるお美しいトリニ・アルヴァラードは、「タイムズ・スクエア」(1980年)の少女の片割れだったようです。。あのときもかわいかったよなぁ。。


2.ヒッチコックっ
「サイコ」で見られるわりと有名な仕掛けの中に、これから起こる出来事や惨劇を違った形で予告する、というのがあった気がします。すぐに思い出せるのが1つしかないのですが、それは「サイコ」の冒頭でお金を横領する女性が勤めていた事務所に掛けてある絵画が、後に現れるベイツ・モーテル近くの景色にそっくりだったりする、ということです。その風景画とそっくりな雰囲気のシーンが後にあらわれる、という仕組みです。
いわば映画内予告とでもいうようなこの手法をピーター・ジャクソンは、2度用います。



これはルーシーと夫との夫婦関係の状態を表現しているとともに、誰がヒロインであり、バニスターとの関係がどうなっていくのかを、予告しています。この映画の展開に夫婦の離別が必要ないなら、彼女の立位置はバニスターの後ろでなくてもいいでしょうし(流れ的にバニスターの視線の外にいる必要はあるとしても、ですが)、ワン・ショットで彼女とバニスターをおさめる必要はないのです。
この予告により、見る側は(てか、私は、ですか。。汗)、この夫婦がどのような形で決別し、どのようにルーシーとバクスターが近づいていくのかを、楽しみにすることができるわけです。


もうひとつの予告は、街を歩いているバクスターが葬儀に向かう車の列と出会う場面です。
彼は通りすがりの大男とぶつかり、しりもちをつくのですが、その大男の着ているTシャツにプリントされた絵が、後に登場する「死神」にそっくりなのです。
これにどういう効果があるのか、私にはよくわからないのですが、予告に気付けばニヤリとできるのは間違いないです(笑)。また、この「死神」のTシャツに出くわす直前、バクスターは車に轢かれそうになります。このシーンの意味が私には解読できませんでした。どなたか分かる方いたら、教えて下さい。
ついでながらこの作品内のとある屋敷には、ヒッチコックそっくりの人物の肖像画(ただし眼鏡をかけている)があります。バクスターはあるなりゆきから、この肖像画を破壊することになるんですが、これは「ブレインデッド」でもヒッチコックの強い影響下にあったピーター・ジャクソンの、なんらかの決意表明かもしれないと思いました。


長くなったので3についてはまた明日。。
私、最近長くかけるようになってきて、調子にノリすぎてます。。
ええかげんちゃう映画のこと、喋りたいがな。。(涙)





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Last updated  2004.10.14 22:49:53
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Comments

セビセビ @ Re[1]:元気です(06/17) blue rose2792さん あそことはまた別のあ…
blue rose2792 @ Re:元気です(06/17) それはなによりでした。 ほっといたしま…
セビセビ @ Re:やっぱり!?(01/22) せしるんさん おぉ。。 だいたひかる…
せしるん @ やっぱり!? 私も鳥居みゆきを見たとき、戸川純を思い…
セビセビ @ Re[1]:とあるプチ・オタの見たいもの探し(01/18) sally-1020さん ご無沙汰っす^^ 絶望…
sally-1020 @ Re:とあるプチ・オタの見たいもの探し(01/18) ご無沙汰しております。 先日は有難うご…

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