システムエンジニアの晴耕雨読

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2016.03.21
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カテゴリ: 書評・読書メモ

【楽天ブックスならいつでも送料無料】18歳から考える国家と「私」の行方 〈西巻〉 [ 松岡正剛 ]
松岡正剛「18歳から考える国家と「私」の行方 西巻:セイゴオ先生が語る歴史的現在」

春秋社

2015年刊





 サン・シモン・・

≪フランスが王政復古した時期、社会を有機体としてとらえるべきだと考えるようになり、

 『産業』や『産業体制論』という本のなかで、

 「最も安価で支配が少ない社会体制」を編み出そうとします。≫

 「最も貧しい者から社会を考える」という思想およびう運動として、後々まで継承された。



 進化論を唱えたダーウィンは、



 社会にあてはまるなどとは一言も言わなかった。

 しかし、「社会は進化する」という思想は、

 サン・シモンやダーウィンの思惑と離れて、

 進化論は、人間の明日に向かっての希望としっかり結びついてしまった。



 中井久夫『分裂病と人類』の中で、

≪人類がギリシア以来の精神病にかかってきたことを証しました。≫

 そんな昔から苦しんだ人類は、

 まず宗教や信仰をつくり、

 ついで社会の制度とか国家のしくみや自由市場の拡張を行った。

 近代では、民主主義や自由資本主義に広がった。




 行き過ぎればファシズムになると指摘した。




 19世紀末、列強がアフリカ分割やアジア侵略をへて、

 次々に「帝国主義」に突入する。

 その結果、列強は20世紀初頭に、全世界の84%を支配するまでになった。


 第一次世界大戦で、帝国主義列強による世界分割以来の世界地図は一変する。



 古い政治組織では、20世紀型の総力戦は戦えなかった。



 イギリスの中東での三枚舌・・

 フサイン・マクマホン協定・・大戦後にアラブ人の国家の建設をイギリスが支援する

 バルフォア宣言・・パレスチナにユダヤ人のための民族的郷土をつくる

 サイクス・ピコ協定・・イギリス、フランス、ロシアの間で結ばれたオスマン帝国領の分割を約した秘密協定

 イギリスは、インドでも二枚舌を使っていた。 




 朝鮮戦争・・

 1950年6月、ソ連に後押しされた北朝鮮軍11万人が38度線を越境し、

 わずか3日でソウルが陥落する。

 その後、国連軍が、仁川に上陸しソウルを奪還。

 この状態に中国が危機感を持ち、100万の軍隊をもって参戦。

 マッカーサーは戦域を一挙に拡大して、「反共アジア」をつくりだそうと考え、

 ウラジオストックから北京まで、なんど26都市に原爆を落とすことを計画した。

 さすがに、トルーマンは、この計画を停止させ、マッカーサーを解任した。


 ちなみに、

 湾岸戦争は、たった一週間で、広島の原爆の5倍もの爆弾を落とし、
 二週間後には、その15倍の爆撃でイラクを壊滅させた「正義の戦争」なるものだった。



 ところで、日本はどうなのか?

 第二次大戦後の日本は、アメリカ軍に統治されていた新植民地だった。


 赤坂真理『東京プリズン』・・

「日本国は、開国させられた屈辱とショックと危機感から戦争の世紀に打って出て、

 奇跡の快進撃を遂げた末、

 深入りしすぎて大負けし、国を焦土として無条件降伏するまでになった。

 その間、変わらなかったのは天皇の実在、

 もうひとつは日本が一貫して他者のルールの中で戦わざるをえなかったことだった」



 日本人の勘違い・・

 日本人は現在の日本に「かつての日本」があると思いすぎている。

 ドナルド・キーンさんは、「純粋な日本」はほとんどなくなっており、

 そのへんのスーパーや寂れた商店街にあらわれている、という。




 20世紀を理解するための本・・・

 ジョヴァンニ・アリギ『長い二〇世紀』(作品社)

 ウルリヒ・ペック『危険社会』(法政大学出版会)

 スラヴォイ・ジジェック『厄介なる主体』(青土社)

 ・・各々20世紀を「資本で語る」「リスクで語る」「厄介なる主体で語る」


 石牟礼道子『はにかみの国』(石風社)

 ・・昭和に生きてきた時代社会のすべてを『はにかみ』という言葉に託した。


 ジョン・ダワー『吉田茂とその時代』(中公文庫)

 『敗北を抱きしめて』(岩波書店)

 ジョン・ダワーは、「敗北を抱きしめた国」と見立てた。


 佐野真一『昭和虚人伝』(ちくま文庫)

 『巨怪伝』(文春文庫)




<目次>
第8講はたして社会は進化しているのか
第9講二〇世紀の哲学と文学が暗示したこと
第10講「イギリスのまちがい」と「日本の失敗」
第11講アメリカの資本主義と大衆の力
第12講インターネットとイスラム主義の問題
第13講歴史認識問題と日本の語り方
第14講編集的世界観を求めて





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最終更新日  2016.05.08 18:20:11
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