ひーちゃんのゼミナール 名古屋産業大学(現代ビジネス学科)・大学院環境マネジメント研究科)現代の社会・経済・環境・芸能・スポーツ・宇宙

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2020.03.31
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水際作戦としての新型コロナウイルス対策 本土持久戦へのシナリオ

 読者は、新型コロナ・ウイルスに関するニュースなどで、「水際対策」とか「水際作戦」と言っているのを聞いたことがあると思う。この言葉には、感染症と関連した深い意味があり、本書の理解のために必要なので、ちょっと解説しておくこととする。エボラ出血熱の時も盛んに使われた。また、戦記物を読むと、当たり前のように使われいる。
 水際作戦は、上陸してくる敵を水際で撃滅する軍事上の作戦で、歴史上次の4つの局面で用いられてき。まず、戦争時における水際作戦で、話をここから始める。今次の新型コロナウイルス対策に関して、戦闘状態をメタファーとして用いることに対しては、不適切な面もないではないと思いつつ、軍事とウイルス対策には共通点があることに鑑みて、あえてこのメタファーを用いることとする。
 敵艦隊が攻めて来る海岸に、砲列や土塁などの陣地を築き、地雷、機雷、鉄条網などの水際陣地を構築し、敵の兵隊や上陸用の舟艇、戦車に砲撃を加え、敵兵が上陸してきたら銃撃と歩兵の突撃で敵を撃滅するという作戦です。この場合、「玉砕」という捨て身の戦法が取られました。この作戦が功を奏すれば敵作戦に打撃を与え、戦局は有利に展開します。
 しかしながら、今回の新型コロナウイルスの場合もそうだが、攻める側が有利に展開している場合、逆に言えば防御に当たる側が守勢にある場合、この水際作戦をめぐる攻防は、防御側の敗北に終わります。今回のコロナウイルスを巡る水際の攻防は、防衛に当たる厚生労働省を中心とする検疫部隊が必死の防疫にもかかわらず、船内で感染が拡大し、乗客の中で陽性反応が出たものは、横浜港へ入港以前すなわち2月5日以前に感染していた、したがって船内での感染を防いだとする厚労省の言い分は言い訳であって、実は船内感染は進んでいた。水際作戦は、部分的には成功だった。
 陰性反応者を自宅等へ返した後発症し、陽性反応が出たものは、船内で感染したことは明らか。水際での感染を数的に少なく見せるためのトリック、大本営の発想だ。飛行機のチャーター便で帰った人々はおおむね水際で食い止めたと言えるが、クルーズにあっては、水際作戦は失敗であったと言ってよい。この時間的なロスが、海外からの感染者の飛行機での流入を許してしまった。詳細は、感染症終息後の専門家の検証を待ちたい。
 いやむしろ、成功するほうが不思議なくらい。しかし、失敗するまでもなく、敵ウイルスをもっと効果的に撲滅する方法はあった。船は隔離病棟ではないし、そのような構造になっていないので、リスクを分散する、つまり自衛隊の艦船や大学の船舶などを総動員し、3500名の乗員を分散し、司令塔を岸壁に設けて、隔離感染者を岸壁に急ごしらえの建物でよいから設置し、リスクを分散しながら防疫、水際作戦を展開することは可能であったように思う。
問題は、クルーズが入港する以前に、すでに日本の空港には多数の航空機が乗り入れており、この中には数は不明だが、大勢の中国からの観光客等が載っていたはずで、彼らは日本の各地へ観光などで歩き回っていた。しかも、武漢で新型コロナウイルスが出現したとされた後も、まるで野放しで武漢由来のコロナウイルスを体内に隠した人々が、日本の各地を歩いていた。本来なら、水際作戦というならば、この感染初期の段階で、空港で戦いは演じられなければならないにもかかわらず、サーモグラフィー赤外線と問診票によるチェックのみで、敵をスルーさせてしまった。この作戦ミスが大戦末期のレイテ沖海戦*の失敗と同じく、その後の戦局悪化へとつながっていく。
*第二次世界大戦中の1944年10月20日からの5日間、フィリピン周辺の海域を舞台にして、日本海軍とアメリカ海軍及びオーストラリア海軍の間で交わされた一連の海戦の総称。


 この水際作戦から「本土内陸持久戦」への転換は、チャーター機とプリンセス号の水際作戦がほぼ終結した後、先行して中国などからのサイレントキャリア(無症状感染者)の流入を水際で止められなかったことによる、国内での感染のバースト以降に行われることになる。
3月に入ってからはエジプト、スペイン、イタリア、フランスなどでの感染拡大期に、それら地域を旅行した人たちや帰国者が、国内で濃厚接触を繰り返して、国内での感染拡大を引き起こすことになった。こうして厚労省は「クラスター」理論を持ち出して、クラスターつぶしを感染症対策の戦法の中心に据えたのだった。市中を歩き回るサイレントクアリアは、どちらかというと、重きが置かれなかった。このことが検査体制の意図的な遅れ(法の制約)と重なっていたことは明らかである。いずれにしても「本土持久戦」の段階に入り、ウイルスとの攻防は正念場を迎えることとなった。「非常事態宣言」は時間の問題なのかもしれない。

 官公庁における水際作戦
 以下、wikipedhiaからの引用になるが、軍事的な用語以外での水際作戦には、自治体の福祉事務所が健康上・経済上の理由等で、生活保護法による生活保護受給を希望する生活困窮者に対し、担当職員(俗に「門前係長」とも形容される)が、耐え難い言動を並べ申請者を罵倒する、虚偽も含め様々な理由を挙げ申請書類を交付・受理しない(生活保護問題)、又は日本の警察、特に地域課、生活安全課等の警察官が、被害を訴え告訴状・被害届を出そうとする犯罪被害者に「民事不介入」という、もっともらしい理由を付けて、被害届や告訴状を受理しない、更にはそれに疑問を呈し抗議するような態度を取る被害者を脅迫するといった、所謂「門前払い」による母数減らしの職務態度が「水際作戦」とマスコミや弁護士から呼ばれる事がある。筆者は、大学院に通っていたころ、親戚の代理で未提出の住民票の異動届を出しに行ったとき、担当窓口で、庁舎いっぱいに響き渡るような大声で罵倒されたことがある。
 最後に、公衆衛生における水際作戦について触れておこう。年々新種の発生、流行が確認される新型インフルエンザ、あるいは突発的に発生し、各国で社会不安を起こすエマージング・ウイルス、エボラ出血熱やSARSやMARSといった感染症対策、そして今回のCOVID-19(新型コロナウイルス)などの公衆衛生において、その国の公衆衛生担当官庁が、病気が自国内で大流行してから予防・治療を行うのではなく、港や空港での検疫の強化、感染者の隔離といった初期段階での迅速な対処、初動対応を重視する事を、当該官庁もしくは報道関係で「水際作戦」と言うことは、すでにご承知のことと思う。うえにみた「本土持久戦」は、この最終局面の水際作戦として展開されている感がある。
 日本では、2009年の新型インフルエンザの世界的流行で、世界から日本へH1N1亜型を持ち込まれるのを防止するため、厚生労働省が水際作戦を実行したが、流行防止には何の意味もなかったとされている。
(フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』を参考にした)
(2020-4-1)





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最終更新日  2020.03.31 11:42:41


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