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ひや、と首を竦めながらも、咄嗟にユーノの体は反応した。
雨が降り、夕闇の中で一つ一つ敵を誘い込み追い込む場所を確認し終わって、レスファート達のところへ戻ろうとした矢先、南門付近で響いた激しい叫びと怒号に振り向いた瞬間のことだった。
抜き放った剣を構える前に体を引いたのは正しかった。首間近を掠めた切先、既に懐まで接近を許したと気づいて、体を捻りながら周囲を睥睨する。降り始めた雨の中、通りを前後から満たすようにじりじりと迫る集団、マントを羽織っていたのをそれぞれに脱ぎ捨てていく。奇襲を避けたユーノの挙動で、マントが邪魔になると判断した辺りが並ではない。
「…貴公らは何者か」
呼び掛けたのはこちらの緩みを演出している。こんな状況で、まだ「何者か」を問うような神経では、さっきの動きは偶然だろうと思わせたかった。同時に薄暗闇の中、灯ひとつも掲げずに詰め寄る敵の情報が欲しかった。
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今までの話は こちら
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